フットサル

GAViC CUP ユースフットサル選抜トーナメント2016を見て

2016/03/29(火)

――東京へフットサルの大会を観戦しに行ったとか

賀川:「GAViC CUP ユースフットサル選抜トーナメント2016」という大会が東京の墨田区総合体育館で3月19、20日の2日間開催されました。U-18の各地域代表の大会でした。

――日本フットサル連盟主催の大会ですね

賀川:2012年に名古屋のオーシャンアリーナで全国規模の大会が開かれ、次の年から日本フットサル連盟主催の大会となっています。今回は全国9地域と開催地(東京都)の代表を含む12チームが集まりました。

――それにしても東京まで出かけるとは

賀川:大会にかかわりがあったこともありますが、なによりこの年代のフットサルの試合は見ていて面白いのです。

――もともとフットサルはサッカーと違って体育館内の狭いピッチだから、相手ボールを取れば、すぐシュートレンジに入りますからね

賀川:互いにバンバンシュートを打ち合うところ、そしてまた狭いスペースで巧みに相手をかわし、またパスをつなぐ面白さもあります。試合中見る側も緊張の連続ですよ。

――今年はU-18東京都選抜(開催地)とU-18新潟県選抜(北信越代表)の決勝となり、新潟がPK戦で優勝を手にしました

賀川:1次ラウンドでA、B、Cの3グループを勝ち上がった4チームが準決勝に進みました。準決勝を含めて、ゴールの奪い合いで、神奈川県選抜対東京都選抜の準決勝は7-5で東京が勝ち、新潟県選抜対静岡県選抜は8-2で新潟というふうに得点も多く入ったのですが、決勝は前半0-0、後半1-1という緊迫した戦いになり、PK戦(3人)の末、新潟が勝利しました。

――各府県の選抜チームということは、それぞれの個人能力も高い?

賀川:そうですね。なかには、日本代表に入るという選手もいたほどで、ボール扱いや、スピードに乗ったプレーに感嘆することも多かった。ボールの奪い合いが激しくて、この点でも見ごたえがありました。U-18という伸び盛りのプレーヤーの進歩が早く、毎年レベルが上がっている感じですね。体育館のスタンドは6分の入りで、もっと多くの人に見てもらいたいという気がしました。

――賀川浩賞の表彰があったとか

賀川:いろいろな縁のある大会で、大会の得点王に賀川浩賞を贈ることになりました。東京選抜の中村充選手にトロフィーを渡しました。とてもいいシューターですよ。

――大会全体の感じは

賀川:フットサルはフロアの上での試合で、サッカーとは少し違うところはありますが、手を使わず足が主になることは、まさにフットボールです。多くのサッカー人も、サッカーが未知の人も、小さなスペースで少人数でプレーできるフットサルを楽しんでもらえば、サッカーをするにも見るにもまた楽しみが増えるでしょう。

GAViC CUP ユースフットサル選抜トーナメント2016公式サイト

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仙台での第2回全日本ユース(U-18)フットサル大会を見て

2015/08/26(水)

――U-18のフットサルの取材に仙台まで出かけたのですね。JFA(日本サッカー協会)が主催するフットサルではユース世代の最高の大会です

賀川:私たちのグループの本多さんが早くからフットサルに取り組んできた。そして高体連の中塚先生たちとU-18世代の大会を開催することで、高校生年齢にも普及し、レベルアップをはかってきた。JFAがその考えを取り入れて、この世代の大会を主催し、ゆくゆくは全国選手権に持って行こうとしてくれたのでしょう。第1回は東京で、第2回は仙台を会場にしました。

U-18世代のフットサルは、いつ見ても面白い試合が多いのだが、今回は個人レベルもチームのレベルも高くなっていて、素晴らしい試合が多かった。大会を見終わった第1の感想はその驚きとともに、もっと多くの人にナマでこの面白いフットサルを観戦してもらいたかったということでした。

――今回はスカパーでの放送もありましたね。そういえば決勝の岡山県作陽高等学校 対 北海道釧路北陽高等学校は20分ハーフ合計40分の間に両チーム合わせてシュートが47本、7ゴールの生まれるシーソーゲームでした

賀川:私は22日に仙台市体育館で準々決勝2試合と準決勝、23日にゼビオアリーナ仙台での3位決定戦と決勝戦を見ました。

――近頃は地方都市に立派な体育館がありますが

賀川:仙台市体育館は各種のスポーツ教室も充実しているようでした。その催し物の表を見るだけでも感嘆してしまいます。もうひとつのゼビオアリーナも驚きの一つでした。第3回以降も仙台になると聞いています。

――優勝は岡山の作陽高校でしたね

賀川:第2回大会の観戦に出かけて驚きはたくさんありました。第1は仙台という町の賑わいぶりです。実は東北の大震災の後、何度か福島県のある町を訪れ、その町の復興計画とスポーツについて相談を受けたことがありました。そのときに比べると、仙台が震災復興の基地としてとても活気があるのに驚きました。タクシーの運転手さんも「仙台の一人勝ちだと周囲から言われるのですよ」と言っていましたが…

――もともと、伊達政宗のころの仙台は、豊臣、徳川に対抗する大きな気概を持っていましたからね。そうゼビオアリーナについても語ってください

賀川:スポーツ用品販売大手のゼビオがゼビオアリーナ仙台というすばらしい体育館を作っています。バスケットボールのプロのリーグの会場ともなっていたところで、まさにアメリカのバスケットボール会場という感じで、電光掲示の設備が充実しています。ゼビオグループが日本フットサル連盟のエグゼクティブパートナーになっていて、JFA主催のこの大会にもナイキジャパンやフロムワンなどとともに協賛企業となっています。

――町も賑やか、会場もよし、そして試合も見どころいっぱい…

賀川:フットサルという競技は今どんどん普及している最中だから、レベルも年々上がるのは当然ですが、私にうれしいのはU-18といういわゆる高校生のフットサルに、この世代特有の「ひたむきさ」が試合にあらわれていることです。試合時間が20分ハーフだから、広いスペースのサッカーに比べると狭いピッチで、味方のゴール前でボールを奪って一つパスをつなげれば、シュートレンジに入る、そのシュートを意識しつつ、さらに相手の守りを崩しにかかる場合もある、ということで互いに4人同士のフィールドプレーヤーの攻防は、スペースの広いサッカーとはまた別のスリルがあります。

――優勝した作陽はサッカーで全国区レベルの強豪校ですね

賀川:同校サッカー部の総監督の野村雅之さんは指導者としても有名ですね。フットサルに力を入れ、今回出場したチームは春からサッカーボールを触っていない。

――つまりフットサルに集中した?

賀川:という話でした。もともとサッカーの素質のあるプレーヤーが集まっている作陽の部活の中でフットサルをするグループを作り、指導の先生もつくわけですからレベルアップも進むのでしょうね。

――その作陽と北海道の釧路北陽高校の決勝も1点差の接戦でしたね

賀川:釧路北陽高校は決勝で初めて見ましたが、プレーヤーのひとりひとりがしっかりしていて、開始1分に左サイドからの松野史靖選手のシュートで先制しました。作陽がすぐに北陽のゴール近くでの今川朋睦選手の相手を背にしながらのプレーで同点にし、1分後に北陽がまた伊藤圭汰選手のゴールで2-1、4分に作陽の敦賀大河選手が同点とした。この衝撃的な4分間のゴール奪取から5分後に作陽が今川選手の得点で3-2とした。ここから作陽のキープ力がまさり作陽の攻勢となったが、シュートが決まらず前半は3-2で終わった。

――試合の流れから見て、作陽が勝つと思われたでしょう

賀川:そういう感じになったが、後半になると北陽が巻き返して互いに惜しい場面が増え、36分に北陽に同点でゴールが生まれて3-3となった。延長になるかなと思い始めたとき、作陽の決勝ゴールが決まって4-3となった。得点者は眞中佑斗選手。残り時間を示す掲示は36秒となっていた。

――苦戦はしたが、結局は作陽という感じでした

賀川:うーむ、攻めながら点を取れないとき、あるいは勢いが北陽に傾いたときには作陽のプレーヤーは守備の面でも相手に体を寄せ、こぼれ球のシュートチャンスにも2人が潰しに行くなど守りも堅かったからね。自分たちのダイレクトパスの攻めのコースを予知され、パスが回らなくなると、サイドでの縦の突破を図るなど、手詰まりになったときの展開の変化もできた。

――準決勝の対PSTCロンドリーナU-18も接戦でした

賀川:PSTCロンドリーナはフットサルのクラブで、31番をつけた植松晃都選手は日本代表に入ろうかという優れた技巧派。身体は大きくはないが(171センチ)、ドリブルシュートもうまい。右利きだが、相手の意表をついてシュートを決めていた。

――作陽対ロンドリーナの準決勝は前半15分間で作陽が4-1とリード。後半にロンドリーナが追い上げて最後のスコアは6-5でした

賀川:前半に作陽のダイレクトパスが見事な展開となり、シュートも決まった。ロンドリーナも攻めたが、作陽の守りがしっかりしていた。

――前半の終わりにロンドリーナが4-2にしましたね。それを後半のはじめに作陽が力万雅哉選手の右サイドの突破から5-2としたのが大きかった

賀川:そのあとロンドリーナがGKに16番の吉森慎斗選手を起用して5人攻撃、いわゆるパワープレーに入った。ボールを奪われて無人のゴールへの作陽のシュートが入って6-2となってもロンドリーナは諦めずに繰り返して後半あと24秒という時に6-5まで迫った。

――すごい追撃戦でしたね

賀川:まさにフットサル、まさにU-18のフットサルという感じでした。

――3位決定戦はこのロンドリーナとエスパッソU-18(東海地域代表/静岡県)と対戦して10-4で勝ちました。エスパッソはブラジル人が監督ですね

賀川:クラブ内ではポルトガル語の会話が多いとか。静岡にブラジルからの日系人が多く働きに来ていて、その人たちの間に生まれたフットサルのクラブです。選手たちは個人的に上手だが、チームプレーという点で同じフットサルクラブのロンドリーナの方が少し上でした。この日は植松選手が冴えて一人で14本シュートし、6ゴール奪いました。

――小柄な吉森選手も4ゴールした

賀川:彼らは作陽戦での無念をはらすような試合ぶりでした。準々決勝でもいいプレーを見せてもらい、私にはとても楽しい2日間でした。

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第1回全日本ユース(U-18)フットサル大会を見て

2014/09/10(水)

――東京で第1回全日本ユース(U-18)フットサル大会 presented by BallBallがありました。見にゆかれたそうですね

賀川:U-18の全日本大会ですからね。準決勝、3位決定戦、決勝を観戦しました。もともとシックスの本多克己さんや高校サッカーの中塚義実先生たちが中心になって、名古屋で開催されていたU-18フットサル大会をJFA主催の全国大会にしようということになりました。

――参加チームは
(1) 9 地域から各1チーム(2) 開催地(東京都)から1チーム(3) 2012年度フットサル個人登録の登録者数上位6地域から各1チーム(北海道、東北、関東、東海、関西、九州)の合計16チームでした。これを4チームずつ4グループに分けて、まずグループリーグでの上位2チームが決勝ラウンドに進み、そこからノックアウトシステムで準々決勝、準決勝、決勝へと進みます。大田区と墨田区の体育館を使い、最終日の3決、決勝は大田区体育館でした

賀川:東京はそれぞれの区の体育館や、周辺のスポーツセンターの整備が立派にできています。もちろん人口からみれば、もっと必要なのでしょうが、両体育館とも設備の良いのに感心しました。

――前にもこの大会は見ていた?

賀川:名古屋での大会を見ました。昨年でしたが、U-18といういわば高校生世代の激しさと、積極性があらわれて、とても面白かったのを覚えています。高校サッカー部でこのフットサルの大会にメンバーを送り込んできたところもあり、高校のフットサル部のチームもありました。今度も同じようでしたが、名古屋オーシャンズのU-18のチームを決勝で見ることができたのはよかったといえます。

――名古屋オーシャンズは、この大会の直前に開催されたアジアフットサルのクラブ選手権で優勝し、日本一の上に、アジアNO1のタイトルを加えています。そのユース(U-18)ですからやはり強いでしょう

賀川:そうですね。1次リーグの成績を見ても、宮崎県立宮崎工業高等学校サッカー部(9-3)、宮城・聖和学園FC(7-1)、千葉・FC幕張(3-0)と大差で破って、準々決勝へ出てきて、ここでも岡山作陽高校を7-1で破りました。

――岡山作陽のサッカー部は中国地方の実力校ですね。フットサルのこの大会でも例年注目されるところですが、名古屋オーシャンズに大差で負けたのですね

賀川:オーシャンズの準決勝の相手は、滋賀県の野洲高校サッカー部でした。私は見ていませんが、スコアは4-2と接近しています。

――野洲高校のサッカー部は個人のドリブルを重視していることが知られていますね

賀川:このフットサル大会に出てくる選手は、サッカー部の一軍ではないようですが、ボール扱いが上手で、個人的にキープ力があります。まあ、野洲高校以外のチームに大量得点を奪って勝ち上がったオーシャンズですが、面白いのはオーシャンズに大敗した相手が、そこから何かをつかんで上位へ勝ち上がってきたことです。

――1次リーグで1-7で敗れた聖和学園FCが準々決勝4-4からPK戦で勝ち、準決勝で藤井学園寒川高校サッカー部を6-4で破り、決勝でオーシャンズに3-2で勝ったのですね

賀川:Cグループで野洲高校に4-7で敗れた香川の寒川高校サッカー部が準々決勝で帝京長岡高校サッカー部に2-2からPK勝ちし、準決勝で聖和に負けましたが、3決で野洲と対戦して、8-3で勝ちました。

――大会中の敗戦をプラスに変えた証でしょうね

賀川:U-18という年齢層の吸収力の高さ、そしてまた、一方ではこの年齢層の波の大きさというか、調子の変化をも見ることができました。

――決勝は大接戦でした

賀川:オーシャンズは個人の技術もしっかりしていて、パスを回す経路もフットサルをよく教えられているという感じがしました。まず4分にオーシャンズがリードし、聖和が同点にし、28分にまたオーシャンズが2-1にした。29分に聖和が決めて2-2、そして32分聖和が3点目を奪いました。このシーソーゲームの緊迫感に親戚の大仁JFA会長、小倉名誉会長たちもすっかり引き込まれていた様子でした。ボールをつなごうとするオーシャンズに対して球際の粘りで対抗し、トップにボールを当てて、そこからシュートチャンスという攻めを聖和が見せました。高校サッカー部のプレーヤーは体力もあり、体もいいので、その特色を生かしたいのでしょうね。

3位決定戦も寒川高校が前線へのロングボールをDFを背にしたプレーで生かして、得点を重ねました。野洲高校には疲れが見え、ドリブルのキープや突破が次の展開に有効につながらなかった場面が増えました。

――フットサル特有の技術はサッカーにも通じるのですか

賀川:狭い場所でのプレーですから、ボールを正確に止めること、これは足の裏(ソール)を使うことが多く、サッカーでも必要な技術です。ボールを蹴るのはインステップもインサイドもありますが、トーキックもよく使います。昔のサッカーではトーキックは基本技術のなかでも大事なもののひとつでした。最近ではあまり教えないのでしょうかね。指導者に賀川さんのころはフットサルがなかったのになぜトーキックのことをよくご存じなのですか、と尋ねられて驚いたことがあります。

――ワールドカップでもブラジルのオスカルはトーキックでシュートを決めました

賀川:古い話では、2002年のブラジルのエース、ロナウドもトルコ戦でトーキックで得点しています。私たちの時代には、クツの先端の固いサッカーシューズを履いてトーキックで点を決めていた先輩もいますよ。この人は、コーナーキックもトーで蹴っていました。雨の日のぬかるんだグラウンドでも使えるキックでしたからね。

サロンフットボールと言われていた時代に、日本にフットサルを持ち込んだセルジオ越後は、広い場所のサッカーであっても、それぞれの局面では狭いスペースのフットサルと同じなんだから、とよく言っていましたよ。

――フットサルが盛んになるということは、サッカーにもプラス

賀川:ブラジルのワールドカップを見て、日本代表のボール技術が上手になったと言っても、外国選手より上だとは言いきれません。ボールテクニックはこちらが上でなければ、体格に恵まれた外国チームに勝てないのです。その意味でも、フットサルの経験はとてもいいと思います。もちろん、フットサルそのものの面白味は別のものがあるので、ますます盛んになるでしょう。特にU-18のイキイキとしたプレー、迫力満点の試合は見ていても面白いものです。

――U-18の大会から、見るスポーツとしてのフットサルの面白味が伝わればいいですね

賀川:足を使って、ボールをゴールへ入れる、あるいはそれを防ぐフットボールという競技は、サッカーでもフットサルでもとても面白いものです。ブラジルのFIFAワールドカップを見てきた後で、U-18のフットサル大会を見て、ますますフットボールの面白さを感じるようになりました。

――U-18大会が発展するのを見守りましょう

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U-18フットサルトーナメント2014

2014/04/08(火)

――3月末のフットサル大会を観戦されたと聞きました。U-18の大会でしたね

賀川:「U-18フットサルトーナメント2014」でした。これまで名古屋で開催していたのが、今年は東京の駒沢体育館が会場でした。

――駒沢は1964年の東京オリンピックの会場でしたね

賀川:陸上競技場や体育館など多くのスポーツ施設を備えた総合運動公園という形です。東京オリンピックで日本代表がアルゼンチンに勝ったのも、ガーナに負けたのも、駒沢競技場でした。

日本サッカーリーグ(JSL)の会場にもなったことがあったし、64年秋の関東大学リーグで杉山隆一のいた明治大学と釜本邦茂の早稲田大学が対戦した時は、私も東京へ出てきて取材しました。国立競技場と同じで、当日の入場券売り場が急造で観客が長い列を作り、販売に時間がかかってキックオフが遅れたのですよ。

――そんなこともあった

賀川:会場全体も競技場や体育館の設計は東大のサッカーの大先輩、高山英華さん(故人)でした。建築の大家で、FWのウイングプレーヤーとして有名な選手でした。

――フットサルの試合は

賀川:最終日の準決勝、決勝はとてもすばらしかった。野洲高校(滋賀)と幕張総合高校(千葉)がファイナルに進んで、前半は野洲が6-2とリードし、後半に幕張が盛り返して、最後は11-7で幕張が勝つというすごい試合だった。

――野洲というのは、あのドリブルで有名な高校ですね

賀川:出場したメンバーはその野洲高のなかの控え組のようだったが、個人的なキープ力があり、それに対して幕張はよく動いて運動量と競り合いの強さで勝ったという感じでした。このU-18の大会は全国の高校サッカー、あるいはフットサル部のなかから地域の代表12チームが集まって3月27日から29日までの3日間に1次リーグ(3グループ)、準決勝、決勝を行った。私は昨年の名古屋での大会を見て、とても面白かったが、今年の大会も面白く、この年代のフットサルの急速なレベルアップを見せてもらった。

――ゴール数も多いですね

賀川:若いから、ともかく攻めて、シュートを敢行する。ゴールキーパーも大変だが、攻撃的で相手のシュートを誰かが体に当てて防いだ次の瞬間には攻勢に移ってシュートへ持ってゆくのだから、見ている側にもスリルが多い。

――高校年齢でのフットサルの進歩はサッカー界全体に見て?

賀川:明らかにサッカー界全体にも生きているでしょう。ボールをピタリと止める技が大切になりますからね。止め損ないやパスミスは一気にチャンスをピンチに変えてしまう。ボールテクニックを高めることになりますね。

――フットサル人口も増えています

賀川:この年代のプレーヤーはフットサルの同好会的なチームもあれば、高校サッカー部として、その地域の代表的な強豪校の選手もいます。多様な学校やクラブチームが参加していて、サッカーの全国高校選手権大会のような勝ちへの強い意欲も見られます。それでも決勝の後、ベスト4のチームが一緒になって楽しく輪になって踊っていましたよ。試合に負けて号泣していた野洲の選手たちもその輪のなかで一緒に騒いでいました。それがとても印象的でした。

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高校生世代のフットサルの面白さ ~U-18フットサルトーナメントを見て~

2013/04/05(金)


――3月末の土日は名古屋へ出かけたそうですね

賀川:あの名古屋オーシャンズの本拠地でもあり、フットサルのメッカともいうべき、テバオーシャンアリーナで全国9地域の代表と開催地(愛知県)の合計10チームが集まって優勝を争うと言うので、一度ぜひ見ておきたいと思ったのですよ。

――失礼ですが、米寿(88歳)のご老体で名古屋へ一人で…

賀川:たまたまパートナーがいなかったのですが、芦屋~新大阪、新幹線で名古屋は勝手知ったる道ですし、会場のテバオーシャンアリーナは名古屋で降りて新幹線の近くにあるあおなみ線の終点、金城ふ頭という駅のすぐ目の前にあります。大阪で言えば、新大阪駅から長居競技場へ地下鉄一本で行けるのと同じ便利さです。

――で、試合は

賀川:成績は別にお知らせしているでしょうが、高校生チームもクラブチームも技術が高く、この世代特有の元気さ、勢いの良さがあふれ出ていて、とても面白かった。

――記録を見ると、得点が多いですね

賀川:10分ハーフ、合計20分というのが1次ラウンドの試合時間でしたが、4-3、5-4などというスコアもあり、ゴールを奪い合いにゆくという姿勢が強くて、とてもスリリングでしたね。

――技術レベルの高さと若さですか

賀川:決勝は愛知の松蔭高校と広島の瀬戸内高校という、どちらも高校のサッカー部でそれぞれの地域での強チームですが、松蔭高はドリブル重視の指導のようで、相手を前にボールを小さくまたぐフェイクなどを連続して仕掛けて個人のキープと突破が特徴でした。1次ラウンドの4試合の合計得失点29-7がその強さを示しています。

――その松蔭がBグループの1位、Aの1位は瀬戸内高校ですね

賀川:ここは体格の良い選手が多く、攻撃展開はトップの選手にロブを当てて、そのポストプレーから次のパスやシュートへ持って行くというやり方です。松蔭が先制したのを瀬戸内の動きの量が勝るようになって、後半8分に同点とし、タイムアップ直前に宗近侑が決勝ゴールを決めた。

――劇的ですね

賀川:松蔭側に少し疲れがあったのかなあ。フットサルはまずボールを止める、蹴るの技術が大切なのはいうまでもないが、体の強さも大事だということがこの試合にも出ていました。

――3位決定戦は2-2でした

賀川:北海道の代表でやってきた帯広大谷高校がBの2位、東北のリベロ津軽と対戦した。青森や北海道は冬には体育館の中での練習が多く、サッカー部の選手たちもフットサルのピッチに慣れているのかもしれないが、私たち古いサッカー人には東北、北海道のプレーヤーがここまで技術アップしていることが驚きでした。高校サッカーと同じように、指導者の努力の成果を改めて見せてもらった気がします。

――賀川さん自身もフットサルにかかわってきましたね

賀川:セルジオ越後がブラジルからチームを招いて初めて“国際試合”をしたころからです。当時はサロンフットボールと彼は言っていたはずです。私自身は大阪府立体育館のこけら落としで、体育館内でサッカーができることを見せようという、当時の大阪府体育課長の岩野次郎さん(故人)の発案で、室内フットボールをしたことがあります。関西学生選抜対OB選抜という形でした。6人制の試合で技術の高いOB選抜に分のある試合でしたね。

――1950年代ですか

賀川:府の体育館を会場にして、大相撲の大阪場所(春場所)がはじまる頃の話ですよ。岩野さんは昭和2年の東京高等師範卒業で、筑波大学では中塚先生たちの大先輩、ドイツ留学の経験もあり、その時、体育館内でプレーする室内サッカーを見てきたとのことでした。まあ、催しはそれっきりでしたが…

――半世紀以上も前の話ですね。で、今度のU-18で特に感じたことは

賀川:ピッチの大きさ(40m×20m)からみて、ピッチ内のほとんどがシュートレンジです。若いプレーヤーは大胆に遠目からもどんどんシュートする。そしてまた、短いパスをするだけでなく、長いパスも使う、したがってテンポも早く、一瞬のうちに互いにシュートチャンスが交錯する。

――見ている者には面白い

賀川:フットボールはゴールを奪い合う競技だということをU-18フットサルで改めて気づきましたよ。もちろん若いプレーヤー特有の未熟さもあるが、体の切れがよく、動きがスピーディーだから選手たちには面白く、かつ大変だろうが、見ている者には楽しいですね。観戦しながら、もっとたくさんの人に見てもらいたかったと思いましたよ。

――技術的には

賀川:ボールを浮かさないようにするトラッピングは芝の上のサッカーでも重要なものです。足の裏を使う、いわばボールに上から力を加えることでコントロールする技術は今のサッカーの最高峰バルサの選手たちを見ても、通じるものがあるでしょう。また、狭いピッチだから、人数の少ない割にはパスの経路は相手に妨害されやすい。だから蹴るときにはボールを浮かせないテクニックと同時に、ボールを浮かせる技もとても大切になります。

――わずは15センチ浮かせただけで相手の足を越えて味方にパスが届く

賀川:それはサッカーでも同じですが、ピッチが狭い分、より必要な技でしょう。
まだまだいっぱいあります。セルジオの言うように、サッカーの技術のすべてが入っていますからね。

――それについては、追々聞くことにして…

賀川:とりあえず、とても面白かった。レベルの高いトップの楽しさはもちろんですが、若さあふれるU-18、いわゆる高校世代のフットサルの魅力はちょっと病み付きになりそうですね。

――今度が2回目で、前回もレベルが高かったということです

賀川:都合がつかなくて見れなかったが、今度出かけて行って、とてもよかったと思いました。メモを読み直して、またチャンスがあれば、このフットサルについてお話ししましょう。

U-18フットサルトーナメント公式サイト
U-18フットサルFacebookページ

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ワールドカップでフットサル日本代表の活躍

2012/11/17(土)

――オマーンとのアウェー戦に勝ちました。ブラジルワールドカップのアジア予選のB組首位をキープし、あと1勝で本番へゆけるところに来ました。

賀川:ホームで強いと言われるオマーンを破った。それも大黒柱の本田圭祐のひどい不調というマイナスをかかえての勝利です。日本代表の底力でしょうね。

――このアジア予選とは別に11月1日からタイのバンコクでフットサルのワールドカップが開催され、、日本は初めてグループリーグを突破して16強に進みました。

賀川:ノックアウトシステムの1回戦でウクライナに6-3で敗れた。0-6から後半に3点をあげて追い上げたのだが…

――カズが日本代表に入ったこともあって、注目度を増しましたね。本大会では日本の試合はテレビ放映もありました。

賀川:セルジオ越後が1970年代の後半に、当時ブラジルで「サロン・フットボール」と言っていたこのスポーツを日本でも盛んにしようと提唱したころからですから、私とフットサルとの付き合いは結構長いのですよ。

――今年の前半でしたね。当時JFA副会長だった大仁邦彌会長がフットサルの担当でもあった時に賀川さんとsankeiSALの誌面で対談したことがありました。その日にカズがフットサルに加わるという発表があった。

賀川:偶然だったが、縁があったのですね。カズというプレーヤーはサッカーが好きなだけでなく、すごい努力家で、まじめで謙虚で誰からも好かれ、尊敬されている。それでいて負けず嫌いだから、フットサルの日本代表に入っても、プレーの面だけでなく、チーム全体にとって大きなプラスになると思っていましたよ。

――スペイン人の監督、ミゲル・ロドリゴの指導もあって実力アップした日本代表はグループステージではチャンピオンのブラジルに1-4で敗れたが、強豪ポルトガルと5-5で引き分け、リビアに4-2で勝って16強に進みました。ポルトガルに0-5の大量リードされた後の挽回は見事でした。

賀川:フィールドプレーヤー4人、GK1人という構成からGKもフィールドプレーヤーのように攻めるパワープレーで5点を奪ったのはすごかった。ウクライナとの試合はパスを奪われて先制されてから、結局6ゴールを失ったのが響いた。まあ強豪相手の連戦を目いっぱい戦ったということでしょうね。

――テレビ観戦はいかがでした

賀川:高いレベルの技術を見せてもらえたから、とても面白かった。ピッチが狭いほか、ルールにも違いはあるが、何といってもフットボール。サッカーの面白みと、この競技独特の楽しさがありますよ。

――日本では愛好家は300万人を超えると言いますね

賀川:狭いピッチでできる、少人数のチームで交代自由、といった点からも手軽に入ってゆけるスポーツですからね。

――愛好家が多いわりには日本のトップリーグの観客数はそれほど多くないようです

賀川:日本の試合でも、上手なプレーを見られますよ。見て面白いということが浸透していけば、観客も増えるでしょう。今度のテレビ放映がきっかけになるといいのだが

――賀川さんの目で見たフットサルワールドカップの印象は

賀川:11月14日の準々決勝はブラジル3-2アルゼンチン、コロンビア3-1ウクライナ、イタリア4-3ポルトガル、スペイン3-2ロシアとなっています。これまで6回のワールドカップでブラジルが4回優勝、スペインが2回優勝しています。今度のベスト4に残ったのも、この両チームとコロンビアとイタリア…サッカー強国ばかりですが、どの国もサッカーの競技レベル、個人的なボールテクニックの高いところとして知られています。

――日本も最近はサッカー選手の技術の高さが欧州で評価されるようになってきました。
賀川:いい傾向ですが、その技術の中でもシュート力という点では、フットサルも上位チームと比べると差があるようです。サッカーの日本代表が欧州の強化試合でブラジルに0-4で敗れたのと同様でしょう。ピッチが狭いので、日本サッカー特有のランプレー、つまり動きの量で個人力をカバーする割合が少し違ってくるでしょう。個人力アップと狭いピッチ特有の戦術面での向上がなお大切でしょう。ミスパスの禁物なのは、サッカー以上ですね。

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