――ソチの冬季オリンピックが終わりました。若いころスキーやスケートを自分でも楽しみ、新聞記者時代にも取材経験が長かったから、大会中はずいぶん力が入ったでしょう
賀川:日本の代表もずいぶんがんばりましたね。深夜までアルペン競技を見ていると1956年のコルティナダンペッツォ(イタリア)で猪谷千春(いがやちはる)選手が男子回転で銀メダルを取った時のことを思い出しましたよ。テレビのないころ現地からの速報を深夜まで待って、スポーツ紙に入れたのです。
――スキーではジャンプ、スケートではフィギュアがいまでは日本では強くて人気のある種目ですね
賀川:ジャンプやフィギュアも採点法が一般ファンにも理解されるようになって、とてもわかりやすくなっています。これも競技の進化ということでしょう。
――冬の話からサッカーに移りましょう。2月22日にゼロックス・スーパーカップでJリーグのチャンピオン、サンフレッチェ広島と天皇杯優勝の横浜F・マリノスが対戦しました。天気もよく、4万人余の観衆が国立に集まり、サンフレッチェが2-0で勝ちました。
賀川:天皇杯の元旦決勝で勝てなかった広島のリベンジというところですかね。とても積極的でした。1点目は石原が右サイドをドリブルで突破し、ゴールライン近くからグラウンダーのクロスを送り、ゴール正面で野津田が決めた。ニアポスト際、相手GK榎本の前で佐藤寿人がボールにからみ、ボールが中央へ流れたのがポイントだが、石原がドリブルを仕掛ける前のトラッピングでマークをかわしたプレーも見事だった。2点目は後半にミッドフィールドでの奪い合いから野津田に渡り、ドリブルして前線の浅野にパスを送り、浅野がダイレクトで右足でシュートして決めた。
――いいシュートでしたね。野津田も浅野も19歳です
賀川:不勉強で彼らについてはよく知らないが、浅野のダイレクトシュートを見ながら、広島はいい選手を集めるのも育てるのもうまいと思いましたね。後方からのボールをダイレクトでシュートを決めるのは、練習で自分の型にしてしまえば、それほど難しいシュートではないけど、相手の裏へ出ることが多いだけに、飛び出してくるゴールキーパーとのこともあって、そのスペースの取り方に工夫がいるのでしょう。バルサでもDFライン裏へのパスを決められるのは、メッシ以外にはそう度々は見られませんね。
――浅野のゴールに皆が目を見張ったわけですね
賀川:動いた方向、スペース、タイミングがピタリだった。ドリブルして、そこへパスを出したのが19歳の野津田だからね。
――ACLが始まって、日本の4チームは横浜が敗れ、広島とセレッソ大阪が引き分け、川崎が勝ちました
賀川:相手にもよるでしょうが、ACLで対戦する相手は一般的にボールの奪い合いに強く、ファウルも辞さないところが多い。アジアのこのクラスを相手に自らの技術を発揮して勝ち抜いてゆくことで、日本のチームのレベルアップを証明できるでしょう。日程上の問題はあるにせよ、選手たち、コーチ、監督さんの工夫の見せ所ですね。
――関西では、ガンバ大阪と、ヴィッセル神戸が1年で復帰し、セレッソとともにJ1が3チームになりました。セレッソはディエゴ・フォルランの加入でさらに人気が高まりました
賀川:2010年ワールドカップの得点王で、南米選手権優勝チーム・ウルグアイのヒーローです。母方の祖父も、父親もプロ選手。いわば、ウルグアイのサッカー界の名家で生まれ育った。父親に言われて、両足でボールを扱うようになり、両足のシューターとしても評価されている選手で、182センチとCFとしては普通の大きさで技巧派だが、ウルグアイサッカーの強さも備えている。といって、いいパートナーのいないチームではあまり得点をしていないという記録もあります。柿谷や南野たちがどのようなペアプレーを見せるか楽しみなところです。
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