なでしこの敗戦 キラリ光る進歩への意欲
澤さんとともに好成績を残してきた“なでしこ”たちの踏ん張りが期待されていたのですが、初戦のオーストラリアに敗れ、韓国と引き分け、中国に負け(1-2)、ベトナムに勝ち、北朝鮮(1-0)にも勝ったが、リオデジャネイロの本番への資格は失いました。
賀川:佐々木則夫監督は、ワールドカップの優勝と2位、オリンピック銀メダルという輝かしい成績を持ちながら、今度はアジア予選敗退です。色々な理由があるでしょうが…
――日本の組織サッカーが発揮されないように見えました。ロングボールの蹴り合いの場面を見ながら、どこのサッカーかと思うこともありました
賀川:なでしこリーグというトップクラブのリーグ戦がようやく世間にも関心を持たれるようになりましたが、そのリーグでの試合だけでは不十分だとしたら日本代表としての合同練習や試合の機会をもっと多くすることでしょう。もちろんJFAも“なでしこ”自身も新しい体制や練習を考えているはずです。まずはこれからのなでしこジャパンの再スタートを見つめていきたいですね。新しい選手の育成やベテランの選手の進歩などについて、それぞれのプレーヤーが自分の課題に向き合うことはこれからとても大事なことです。私は大会の後半の試合でもうれしい進歩を発見しています。
――というと
賀川:あとの2試合に右サイドバックで出場した近賀ゆかり選手(INAC)です。彼女はワールドカップ優勝メンバーで、神戸のINACの選手です。代表の右サイドは昨年のワールドカップで有吉佐織が進歩を見せ、故障があってしばらく出ていなかった近賀のポジションを務めていました。攻撃の2試合を近賀は右のDFで出場して攻守に良いプレーを見せたのですが、うれしかったのは彼女が従来のプレーよりも左足を使うプレーが多くなっていたことです。
――Jリーグでも右サイドの選手で右足のクロスはいいが、切り返したあとの左足のクロスは、相手のCDFへゆくまでにインターセプトされる、その程度の左キックが多いと言えますが…
賀川:右サイドへ出て、右足で蹴る能力は当然ですが、左足でのクロスも大切です(相手が、右足をおさえにかかるからです)。中盤でも左足を使えれば簡単な横パスはタイミングよく送ることができます。もちろん右に比べれば不得手な左足だから難しいことはできなくて当たり前、しかしいちいち右に持ち替えなくても左でシンプルなつなぎのパスを出せればそれだけ、チーム全体のパスワークがスムースに展開するのです。
――それを近賀がしていた
賀川:そうです。地味なプレーですが、これも一つの進歩なのです。新しく役立つプレーを一人の選手がひとつ増やすことで、チーム全体のパスの組み合わせも増えるのですからね。大試合でそういう新しいプラスを見せるというところに近賀ゆかりの進歩があり、なでしこのベテランたちにも進歩があるということです。
――ただし、そうした小さな進歩の積み重ねが大きな効果にならなかった
賀川:もちろん全体の進歩の度が少なかったのかもしれないが、ここの選手が30歳になっても上達しようという気構えでいることが大切だと思います。
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