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ゴールへの意欲が5得点を生む

2016/03/25(金)

2016年3月24日 埼玉
日本 5(1-0、4-0)0 アフガニスタン

――アフガニスタンに5-0で快勝しました。2018FIFAワールドカップロシア アジア2次予選の日本は7戦して6勝1引き分けとなりグループEのトップで29日に最終戦を迎えます

賀川:8戦目の相手シリアはアフガニスタンよりは手強い相手ですが、その前の格下相手のこの試合で監督は選手の組み合わせをテストできたと言えるでしょう。

――日本は珍しく2トップにしました。岡崎慎司と金崎夢生を組ませました

賀川:金崎は上背もあり(180センチ)いわゆるCF(センターフォワード)タイプ。この日も9本のシュートを放つなど得点への意欲満々のプレーを見せた。決めたのは後半33分のチーム5得点目だった。

――ハーフナーのヘディングの折り返しを突っ込んで体に当ててのゴールでした。金崎のゴールを目指す強い気持ちがこの日の日本チーム全員の姿勢を表していましたね。

賀川:そのチーム全体の積極性が新しい選手を起用した監督の狙いであったでしょう。選手間の競争も含めて…

――5得点を振り返ると

賀川:前半はじめから日本が攻め、アフガニスタンが守るという体勢になり、攻め込んでも多数防御の壁にはね返されていた。

――クロスからのヘディングシュートという手はあったが、はじめのメンバーでは相手ゴール前のヘディングは必ずしも取れていなかった。CKでも相手の方がはね返していましたね。

賀川:ずっと押し込み、右から左からのクロスの攻めを続けていた日本側が40分台すぎに押し返された。1点目のゴールは日本のDFからのパス展開で始まった。ハーフラインやや内から吉田が右前の柏木にパスを送り、柏木は右タッチラインぎわの酒井宏樹にパス。酒井は内側の長谷部に渡すと長谷部はひとつ止めてすぐ前方の清武につないだ。ノーマークで受けた清武は中央のスペースをドリブルし、ペナルティエリアすぐ外側、中央にいた岡崎にパス、岡崎は2人のDFの間でボールを受け、巧みなターンでゴールに向き直り、奪いに来たDFをかわして左足サイドキックで左ポストいっぱいにシュートを決めた。

――日本に押し込まれ、それまではエリア内に6人から7人いて防いでいたアフガニスタンはこのときペナルティエリア近くの最終守備ライン、その前方の守備ラインとの間に空白ができていた。そこを長谷部-清武のパスと清武のドリブルで突破し余裕を持って清武は岡崎へパスを出した

賀川:岡崎がボールを受ける前に2トップのもう一人金崎が右へ動いたのも効果があったはず。2人のディフェンダーが背後から岡崎をマークすることになり、その2人の間に岡崎がいる形になってしまった。このあたりがまたアフガニスタンの守備の感覚の低いところでしょうね。

――別の見方をすればその2人のディフェンダーの間でボールを受けたところが岡崎の上手さとも言えるでしょう。

賀川:岡崎はボールテクニックの上手さという点で高い評価を受けていないが、ゴール前の自分の働き場ではこのところとても落ち着いて見えます。レベルが高いイングランドのプレミアリーグの優勝争いのトップにいるレスターのレギュラーとして、ゴールを決め、チームに役立つ選手となっているという自信ができているように見える。その落ち着きとともに相手の意表をつく巧みなプレーもこなしている。このゴールはまさにイングランドのトップチーム・レスターのストライカー岡崎のゴールと言えるでしょう。

――後半13分の2点目清武のゴールは長谷部-金崎のパスを金崎がダイレクトで相手DFラインの裏へ送り、清武が走り込んで左足のダイレクトシュートで決めました

賀川:パスの攻撃の妙でした。金崎がボールを浮かせてそれがDFラインの背後に落下したところに清武が走り込みました。誰もが喝采したでしょう。

――後半18分には3点目が生まれました。右サイドの酒井がドリブル突破して、ゴールラインに迫り、なお内へドリブルしてペナルティエリア内に持ち込み、中へ送ったボールがアフガニスタンの選手の足に当たってゴールへ入りました

賀川:記録はオウンゴールですが、酒井のゴールへ突進していったドリブルと意欲に対するサッカーの神様のご褒美でしょう。

――4点目は清武の左CKをニアサイドで吉田が合せたヘディングです

賀川:ハーフナーが後半27分に岡崎と交代して入っていました。このCKもやはり194センチという長身のハーフナーが加わって相手の警戒が分散されていました。もちろんニアに飛び込んだ吉田のヘッドは彼の得意の形の一つですが、ハーフナー効果のあらわれのひとつです。

――そのハーフナーは清武のクロスをヘディングで折り返し、金崎のゴール(5点目)へつなげた。ジャンプヘッドは周囲のだれよりも高くかった。日本代表に“高さ”という武器が一つ加わるかもしれない。

賀川:本田と香川という攻撃の二枚看板なしでスタート(後半に香川を投入)した新しい組み合わせも良い結果を出した。もちろんアフガニスタンの力が弱いということもあるが監督にとってもテレビ観戦者にも埼玉スタジアムに集まった48,967人のファンにもまずは満足のゆく試合だったでしょう。

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