日本代表が3-2の勝利 U-23のアジアのトップ(続)
――前半0-1、後半始まってすぐに韓国が2点目を取りました
賀川:2点目を奪われたきっかけは、守りから攻めに出ようとしてハーフライン手前でボールを奪われたのですよ。後方からのボールをヒールパスで相手の意表をついたつもりの短いパスを取られたのです。
――奪ってからの韓国の攻めは鮮やかでしたね
賀川:7番のムン・チャンジンがドリブルし、ターンしてボールを戻しておいてもう一度右サイドから攻めた。ここからの速い短いパスをつなぐ韓国の攻撃は見事なもので、すべてワンタッチでした。ペナルティエリア右側いっぱいからのクォン・チャンフンのラストパスもダイレクトでした。日本の守りは左側(相手の右側)にひっぱられて中央のチン・ソンウがゴールを背にして足下でボールを受けたときにはマークはひとりだけでした。チン・ソンウは反転し、左足シュートで決めました。
――0-2になったとき、どう感じました
賀川:僕はテレビに向かって、ここからひっくり返せば君たちは男になれるぞと言っていました。
――そのあとも韓国のチャンスはあった
賀川:左からDFの2番の選手が左ポストまで持ち込んでくるという、きわどいプレーもあって、彼がポスト際から中へ入れたのをGK櫛引が足に当て、高く上がって右ポスト側へ落下、韓国側がヘディングした。ボールは高く外れたのでこちらは助かった。
――ヘディングしたのは7番でした。それでもこのあとに日本にはチャンスがあった
賀川:14分に大島に代わって浅野が入っていた。左サイドで原川が縦に走ってエリアの根っこから後方へのクロスを送り、浅野がシュートした。
――シュートは弱くて、GKキム・ドンジュンが正面でキャッチした
賀川:得点にはならなかったが、ボールがまわり、後方からの飛び出しもできるようになった。「いいぞ」という感じになった。久保のスルーパスも見事だった。
――このあとすぐビッグチャンスが来た
賀川:相手のロングボールをヘディングではね返し、右サイドで久保と矢島が相手と競ってボールを取り、矢島が相手のバックラインの裏へスルーパスを送った。
――矢島から浅野の位置が見えていたんでしょうかね。いいパスでした
賀川:中央から右斜め前へ走った浅野がペナルティエリア右より4メートルほどに入ったところで、飛び出してくるゴールキーパーの前で右足でシュートした。これが浅野だ、という感じでした。
――すばらしいゴールで1点返した後すぐに2点目がきました
賀川:相手のキックオフからのボールを取って左サイドから攻め、山中がコーナー近くからクロスを上げた。中央にいた矢島がジャンプヘッドでゴールにたたき込んだ。
――深いところからのクロスに対して、ニアサイド(ボールに近い側)に浅野が走り込んだ。それに相手もつられて生まれた空白地の裏へボールが落下し矢島が飛び込んだ。マーク相手の背後から走り込んで勢いにのったヘディングは止めようがなかった
賀川:韓国にとっては2失点は魔のような時間でしたね。しかし2-2となって韓国はまた攻めはじめた。
――ヒヤリとする場面も再びあったが、日本もカウンターで攻め返した
賀川:29分に矢島の足の調子が悪いと見て、豊川に交代させた。
――後半33分に、韓国はノッポの9番のキム・ヒョン(18番と交代)、8番イ・チャンミンに代わって、11番キム・スンジュンが入った
賀川:韓国の局面での競り合いの強さが少し落ちてきた。それでも攻めて点を奪おうと意欲を燃やしていた。35分にも韓国は左から大きなクロスを上げ、そのこぼれ球を右から攻め続けようとした。
――その韓国の攻めを防いだあとに日本のチャンスが来た
賀川:左から中央へ持ち込んでペナルティエリア中央、3メートル外からシュートしたのを遠藤がそのコースに入り、足に当てて防いだ。リバウンドのボールを拾って前方へ送り、相手DFキックしたボールが、センターサークル(相手陣内)に落ちるのを中島がダイレクトで前方へ送り、浅野が相手DFと競り合って、このボールを奪い、そこからドリブルでペナルティエリア中央に進入してすぐ、左足シュートした。ボールはゴールキーパーの右を通ってゴールの右端に転がり込んで、3-2と逆転しました。
――テレビになにか言ったとか
賀川:これで勝ったら「ベルリンと一緒だ」とね
――1936年のベルリン・オリンピック、あのスウェーデン戦の逆転勝ちですね
賀川:韓国はさすがに大したものですよ。2-3からでも何度も攻めた。しかしFKなどでも低いボールで彼らの高さを生かせないシーンも出てきた。日本にも40分過ぎに右サイドからチャンスを生む機会がありました。
――3点目からあとの両チームの選手たちの戦いは、互いの意地が出て見ごたえがあったが、気分的に有利な日本は相手の反撃を抑え込みましたね
賀川:48分に豊川のシュートが相手の背中に当たったあと、笛が鳴りました。
――1936年から、ちょうど今年は80年です
賀川:日本のサッカーの歴史で初めてオリンピックの本番に参加したのがこの大会です。初参加で強豪スウェーデンに逆転勝ちしたスコアが0-2からの3-2でした。チームプレーの性格は違うが、当時はほとんどが大学生で、いまのU-23と似た年齢でした。
――オリンピックの本番でもドラマが期待できますね。
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