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強敵イランを倒して準決勝へ、リオ五輪も目前に

2016/01/25(月)

日本 3(0-0、0-0、1-0、2-0)0 イラン

――難関の対イラン戦に勝って準々決勝を突破しました。次の準決勝に勝って大会のトップ2に入れば、リオのオリンピック行き、もし負けても3位決定戦で勝てばやはりオリンピックに行けます

賀川:ともかくイランに勝ったことをまず喜びましょう。1次リーグの初戦で体格・体力も上の北朝鮮に勝ちましたが、今度のイランは体格・体力だけでなくその粘り強いプレーに定評がある。手や腕を使ってのファウル、遅れたタックルなども多い、戦いにくい相手に勝ったのです。

――90分間よく負けなかったという感じでした

賀川:90分間に日本にもチャンスはあった。イランにも、彼らには「惜しい」というチャンスもあった。しかし、90分のうち、後半30分を過ぎてからイランの選手の運動量は落ち始めていた。90分終わって延長戦に入ってからは、その兆候が目立ちましたね。

――倒れてすぐ立ち上がれない選手も増えた

賀川:日本の選手も疲れはあったはずだが、動きの質も落ちなかった。日本の交代も効きましたね。

――後半37分に久保に代えて浅野を投入し、43分に矢島の交代として豊川を送り込んだ

賀川:1次リーグの3試合で23人のメンバーのうち、22人を試合に起用した。バランスよく休養が取れて、選手のコンディションも良かったのでしょう。

――監督は、持久力はイランよりこちらが上だと言っていたようです

賀川:延長はまさにその通りになった。イランは中盤で人数をかけて日本をつぶしたのに、それができなくなった。延長に入って、まず2分に右サイドの室屋側から攻めた。3分には相手ボールを右サイドで奪って、左へ展開し、オナイウ阿道がノーマークだったが、タイミングが合わずボールは右へ流れるという場面もあった。相手のロングパスでオフサイドがあり、そのFKから左に回し、ここからボールが中へ、右へと移って、4分47秒に右タッチライン際、ゴールラインから17メートルで室屋がキープした。

――右から左、左から右と攻撃展開の幅が広く、動きの鈍ったイラン側はボールへの寄せが遅くなっていました

賀川:室屋は余裕を持ってキープし、タテにフェイントをかけ、後方へ切り替えして左足でクロスを送った。

――ボールはペナルティエリアの中央へ飛び、赤いユニフォームのイランの2人のDFを越え、ゴール正面、ゴールエリアのすぐ前へ落ちてきた。そこに豊川がいた

賀川:相手CDF 4番のチェシュミの上を越えたボールをノーマークでヘディングした。室屋のクロスもスピード・高さともに申し分なく、豊川が一旦ニアに寄ってマーク相手を牽制しておいて落下点へ入る動きも良かった。ビューティフルゴールでしたね。

――そういえば初戦の対北朝鮮の1点は山中の右からのCK、左足で蹴ったカーブボールでした

賀川:CDFの植田がボレーで蹴りました。同じ質のカーブキックでしたね。

――日本がこの1点で元気づくのは当然ですが、イランはこのあともがんばりましたね

賀川:元気を奮い起こすようにがんばりましたね。

――日本のGK櫛引の素早い飛び出しやすぐ近くからのシュートのキャッチなど大事な働きがありました。その前半の動きが終わって延長の後半に入りました

賀川:イランのキックオフから始まった後半の4分に日本が2点目を取りました。

――相手の2人がオフサイドになった日本のFKからの攻撃がその始まりです

賀川:FKからのロングボールが相手ペナルティエリアの左角近くに落ちて、高くバウンドしたのを浅野が取りました。ゴールライン近くまで動き、そこからバックパス。ペナルティエリア左角近くで受けた中島が後ろへドリブルして相手のマークを外し、ペナルティエリア左角からシュートしました。

――GKアハバーリの意表をついた?

賀川:後方へドリブルする感じだった。シューターの方はそのつもりでも、ゴールキーパーからは予想外だったでしょう。相手DFを前にして右足、左足のタッチでボールを動かすフェイントのあと少し大きく右へボールを動かしておいてシュートしました。ペナルティエリア内に日本側が2人入っていたから、クロスがくるかも…とは予想したかもしれないが。

――ゴールラインから少し前に出ていたゴールキーパーは、戻ってジャンプしたが、その右手の20センチ上を通ってボールはゴールに飛び込みました

賀川:蹴った方は会心のシュート。日本中がテレビの前で安心したでしょう。サッカーの醍醐味の一つと言えるロングシュートでしたね。

――さすがのイランも2ゴールにはガクッと来たはずですが

賀川:次のキックオフからイランはボールを左サイドへ送り、ハーフウェイライン手前からロングボールを送ったが、日本はこれを奪ってハーフウェイラインに戻し、中島が取って、前方のスペースへパスを送り込む。浅野が走ったが、相手DFがGKにバックパス、GKはダイレクトでクリアしたのを日本側が取って、再び左サイドの中島にボールが渡る。

――その中島のドリブルからの攻めが3点目を生む

賀川:中島はドリブルして相手DFと向かい合いペナルティエリア左角で中へドリブルで持ち込み、エリアライン上から右足でシュート。

――今度はGKもシュートしてくると見たハズですが

賀川:ドリブルを始めてからシュートまであっという間だった。GKのニアサイドの上を向いて飛び込んだ。

――そのあと浅野のシュートは相手GKに止められましたが、立て続けにチャンスがきました

賀川:浅野の速さに相手DFがついていけないという感じになった。彼は自分の得点はなかったがやはり「効いていた」という感じですね。

――イランがそれでも1点でも奪おうとしたこともあって120分の試合は最後まで緊張感があったが、3-0。日本の快勝となりました。

賀川:延長後半10分のイランのノーマークシュートがバーに当たりました。全員のがんばりと、ほんの少しの幸運で日本は大きな関門を突破しました。

――監督はチーム一丸の勝利と言いましたが…

賀川:日本の監督さんの選手起用の巧さと、23人全員の能力の高さがうまく合ったのでしょう。

――ただし、まだオリンピック予選を通過したわけではありません

賀川:「しびれるような試合」と誰かが言っていたが、こういう試合を勝つことでU-23代表が強くなっていく。若い彼らが、自分たちの力でこれまでの実績を越えて、一歩一歩、オリンピック本番に近づくのを見るのは本当に楽しいことです。

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