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日本サッカーの伝統的なよさで五輪出場を決める

2016/01/28(木)

AFC U-23選手権 カタール 2016(リオデジャネイロオリンピック・アジア最終予選)

U-23日本代表 2-1(1-0、1-1) U-23イラク代表

――勝ちました。2−1です。U-23代表のリオデジャネイロ・オリンピック出場が決まりました


賀川:手倉森誠監督とチーム全員の纏まりですね。この大会の1次リーグで北朝鮮(1-0)、タイ(4-0)、サウジアラビア(2-10と3勝した日本は、準々決勝でイラン(2-1)を破り、この日の準決勝でイラクを倒し、決勝に進出しました。決勝の相手は準決勝でカタールを破った韓国です。オリンピックには上位3チームが出場するので、日本はアジアの五輪代表となったのです。

――これまでこの世代の選手はU-17、U-20 などの年齢別の試合でアジアの壁を破れずに世界大会の出場経験はなかった。それが年齢別の最後といえる23歳以下でアジアのトップに近づきました。

賀川:U-23代表は守りが強く、イラクの攻勢を耐え忍び、前半28分と後半の終了直前に得点しました。前半のゴールは鈴木武蔵が左サイドを突破して左からのクロスを送り、久保裕也が走り込んで決めた。43分にイラクの右CKから同点とされ、後半の終了直前に決勝ゴールを決めた。右サイドからのクロスをGKがフィスティングで防いだボールを原川力がエリア外から左足のビューティフルゴールを決めたものだが、残り10分ごろからイラクの運動量が目に見えて落ちていた。この2点目の攻撃は日本のCDFからのロングボールを相手のCDFがヘディングに失敗し、それを浅野拓磨が拾ってペナルティエリアの右外(ゴールラインから8メートル)からバックパスした。エリア内で受けた南野拓実が縦にドリブルして、高いクロスを送り、それをGKファハド・ラヒームがフィスティングした。そのボールがペナルティエリア正面の外へ落ち、そこに原川がいてシュートした。落下するボールのトラッピングにも余裕があり、相手の一人が妨害してくる前に左足を強く振ってシュートした。

こういう時のトラッピングからシュートへ入る動作をテレビの録画で見直してみると、この世代の代表たちは勝てないことで評価されていないが、ひとつひとつの個人技術がしっかりしていることを改めて見ることができるでしょう。

――手倉森監督の采配、選手起用のうまさもよかった

賀川:メディアでもそのことは話題にしています。大会でのこれまでの試合を見れば、当然、監督さんの指導力を評価するでしょう。私は監督さんたち、このU-23を指導した人たちが、自分たちが選んだ「上手だがひ弱い」と言われた、ある時期のこの世代を長い目で見守って、今の強さに持ってきたところに、いまの日本のサッカーの厚さを感じています。

――もちろん、賀川さんには不満もあるでしょうが

賀川:ひとつひとつのプレーや、個々の局面については、改良の余地はあるでしょうが、なによりもサッカーはチームゲーム、それも11人だけでなく、選ばれた代表全員のゲームという感じが出た。いわば、日本サッカーの伝統的なよさがこの世代に見られたことが、とてもいいと思います。

もちろん、彼らの一人一人が相手との1対1の奪い合いでも負けまいとする姿勢も買っています。そのためファウルの多いのは育成期からのボールの奪い合いの訓練で考えなければなりませんが…

――決勝の相手は韓国です

賀川:韓国は日本と戦う時は120%の力を出すと言っています。そういう韓国に勝ってこそ、アジアナンバーワンといえるのですから、リオへゆけることで満足しないで、このステップの上にもうひとつ優勝という実績を積んでほしい。

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