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FIFAクラブワールドカップでサッカーの粋(すい)を見た

2015/12/28(月)

――フィギュアスケートの羽生結弦やラグビーの日本代表、そしてテニスの錦織圭などの活躍があって、2015年はとてもうれしい1年でした。その年の締めくくりにサッカーもまたすごい喜びがやってきました

賀川: FIFAクラブワールドカップ2015で、開催国代表のサンフレッチェ広島が1回戦でオセアニア代表を破り、準々決勝でアフリカ大陸代表を倒し、準決勝で南米代表リバープレートに惜敗したが、アジアNo.1の中国の広州恒大に逆転勝ちして大会の3位になりました。そのうえ大会決勝で欧州代表バルセロナがリバープレートを相手にすばらしい試合を演じて、3-0で勝ちました。そのプレーのひとつひとつは、世界中のサッカーファン、スポーツファンにこの競技の面白さを味あわせました。高いレベルの個人の技術力が結集し、足を使うフットボール特有のパスワークの妙と、ゴールを奪いゴールを守る技術と組織力の粋を見せてくれました。

――広島のがんばりは、我が意を得たりですが、バルサのプレーに賀川さんも高い評価ですね

賀川:大げさでなく、90歳をこえていきていたおかげで、12月20日という日を楽しめました。

――バルサのプレーから話してください

賀川:いくら強いと言っても、サッカーは何が起こるかわからないスポーツです。しかも今年のバルサはシーズン当初には故障者が多く、中ごろからよくなってレアル・マドリードにも4-0と完勝しましたが、この大会の準決勝ではMSNのメッシとネイマールを欠き、ムニルとセルジ・ロベルトが起用されました。イニエスタとラキティッチ、ブスケツの第2列、ピケとマスケラーノのCDFとアウベスとアルバの両サイドはそろっていたが、看板FWの二枚がいないのを懸念する人もありました。そんななかでも準決勝ではスアレスのハットトリックがあり、またバルサらしいチームプレーも随所にみられました。

相手となったアジア代表の広州恒大は、豊富な資金でブラジルから元代表選手と名監督スコラーリを招いて急速な実力アップを図り、この大会の準々決勝で中南米カリブ海代表のクラブ・アメリカ(メキシコ)を破ってのベスト4進出でした。いくつかの攻めも見せたがバルサとの間にはまだ差がありました。

――準決勝でのバルサの1点目はラキティッチのロングシュートをGKが前にはじき、それをスアレスが決めたものです

賀川:70%をこえるボールポゼッションで自在に組み立てて、バルサが39分に先制した。押し込んだ形にして、中央ゴール正面25メートルあたりにスペースをつくると、ラキティッチが十分な態勢で強いシュートを打ちました。右足インステップで、ややアウトサイド気味に叩かれたボールは、GK側から見えるとまっすぐから少し右へ行く気配から左に曲がっていたので、キャッチが難しかったのでしょう。リバウンドしたボールが転がったところへスアレスが走り込んできました。

――バルサにとって大会の初戦のこのゴールで、気分は楽になったでしょう

賀川:でしょうね。それまでもチャンスはあったが…。大会での優勝は当然というふうに見られていた彼らは、百戦錬磨であっても、やはりゴールを先取することは、とてもおおきなことのはずです。

――スアレスが後半4分にイニエスタからの浮き球のスルーパスを受け、胸でトラップして右足ボレーシュートを決めて2-0としました

賀川:自陣でボールを奪い、マスケラーノから左サイドのアウベスへ。アウベスが横パスをスアレスに入れて、スアレスはそれをイニエスタにバックパスした。イニエスタはスアレスのポジションと動きを見て、フワリとボールを上げ、DFラインの背後へ落ちるパスを送った。この短い浮き球のパスをスアレスはゴールを背にして胸のトラップで落とし、右足ボレーでシュートしました。胸でトラップする時は、左肩前のいわゆる半身で受け、トラップからシュートへのスムースな動きはさすが当代のストライカーという感じでしたね。

――スアレスはウルグアイ代表の一人ですが、モンテビデオのナシオナルのカンテラ出身です

賀川:1980年、81年の年末年始に開催された、コパ・デ・オーロのとき、モンテビデオへ取材にゆき、ナシオナルの練習グラウンドへ足を運びました。とてもいい環境で、その時もカンテラから1軍へ上がった若い選手の誕生日のお祝いがあって、とても楽しかった。スアレスもあのグラウンドで練習したのですかね。もっともスアレスの生まれる(1987年1月24日)の6年も前の話ですが…

――3点目もスアレスで、後半21分にスルーパスを受けてエリア内に走り込んだムニルが倒されたPKを彼が右足でゴール左に決めました

賀川:スアレスという個性的なストライカーがバルサ流になり、どんどん実績を積むところがバルサのすごいところですね。自分のところの育成システム、カンテラ育ちが多い中に、外から獲得する選手がレギュラーとして働くのを見ると、しっかりと選手を見る目を持った人がいるのでしょうね。もちろんイニエスタという抜群のパスの名手がいるからではありますが。

――そうですね。DFラインから第2列でのパスのやり取りなども、ひとつひとつ感心しましたね。これでメッシやネイマールが入ってくれば…と思いました。

賀川:決勝はその二人が加わった。そしてメッシが先制ゴールを決めました。このゴールはパスを受けて左足のアウトサイドでのシュートを決める、彼でなければできないプレーでした。  (続く)

賀川サッカーライブラリー「コパ・デ・オーロの旅」

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