強敵シリアを破って日本がEグループ首位
日本代表 3(0-0、3-0)0 シリア代表
――前半はチャンスをつくりながら得点できなかったが、後半に3点を奪い快勝しました
賀川:アジア予選Eグループでは日本が首位になるだろうと予想されていたが、第4戦でようやく3勝1分でトップに立った。勝って当たり前のように見えるが、どこの国でも、その国のナンバーワンスポーツとしてのプライドがあって、日本に一泡吹かせようと工夫し、局面でのボールの奪いなどでもがんばるから、アジア予選を突破するのは決してやさしいことではない。まあ、5ヵ国リーグの1試合ずつで、トップに立ったのだから、JFAの幹部もハリルホジッチ監督も選手たちもホッとしているでしょう。
――収穫もあった?
賀川:GKが西川周作になって、ともかく無失点できた。ディフェンダーにとって自信になったでしょう。シリアは予想通り個人的な強さもあり、しっかりしたチームだったが、後半に疲れが出たという感じだった。日本側も暑さのためか、前半終わりごろのコーナーキックのピンチの場面でも、選手たちは相当に消耗している感じが見えたが、後半に圧倒して、チームとして底力のあるところを見せてくれました。
――後半10分に先制ゴールを奪ったのがよかった
賀川:PKを本田が決めたが、これは長谷部のロングパスと岡崎の突進で生まれたもの。
――縦への速攻は監督も強調しているとか
賀川:サッカーは縦105メートル、横75メートルの広いグラウンドでの競技で、攻撃は縦も横も必要です。このゴールのもととなったのは、まず長谷部の見事なロングパスでした。相手が攻め込んできて、日本が奪い、右サイド酒井高徳、GK西川とのパスのやりとりがあり、相手がそれにプレッシングをかけてきて、そして西川から本田への高いパスを相手が強引なヘディングで奪った。ただし、そのボールを彼らはミスパスをして、日本側の吉田麻也が奪うことになった。
――シリア全体が前がかりになっていた
賀川:吉田はすぐ前の長谷部に短いパスを出し、長谷部はボールを受けて前を向き、前方にロングパスを送った。
――守勢になっていた体勢からボールを取った瞬間に相手の裏を狙ったというわけ
賀川:前方の岡崎は長谷部のキックの瞬間に動き出していた。ボールは相手側25メートルあたりに落下した。
――長谷部が蹴った位置も日本側25メートルあたりでした。
賀川:そう、50メートルのパスですね。落下点から前方ペナルティエリアの内側、右寄りに転がるボールをノーマークで追った岡崎を追走した背番号2のアルサリフが体当たりして、岡崎が倒された。レフェリーの判定はテレビではすぐにははっきりしなかったが、ファウルだった。
――レフェリーがPKを指示しました
賀川:岡崎は早いスタートで、思うところへボールが来たから余裕があったでしょう。ボールに近づく前にスピードを緩めておいて、相手が来たときに走り抜けようとした。アルサリフは腕も使ったから、当然イエローカードも出たはずです。
――このPKと本田が左足でGKアルメハの右を抜いて決めた。誰が見ても、申し分ないカウンターのチャンスメイクによるPKゴールでした
賀川:前半にもチャンスはあったがエリア内で岡崎の右足シュート、本田の左足シュートは、ともにゴールのポストの外へ出た。これらのシュートチャンスは押し込んでから短いパスとエリア内でつないだものだった。
――2点目は25分の右FKからでした
賀川:21分に宇佐美貴史が原口に代わって投入された。日本側のパスがスムースに回り始め、右サイドでの酒井高徳へのファウルでFKのチャンスとなった。
――本田が後方へパスをした
賀川:そこに宇佐美がいて、左へパスを送った。ゴール前に集まっていたその外側に香川真司がいた。ボールを受け、一人を縦にかわしてゴールラインの近くから内へドリブルし、ゴール正面へグラウンダーのパスを送った。ゴール前へのパスは死角に見えたが、香川は相手選手の股抜きのパスを通して、中央にいた岡崎が決めた。
――2-0となりました。このFKからの展開はちょっと目新しい感じでしたね
賀川:香川がゴールライン近くで内へドリブルしたとき。ゴール前の相手の一番痛いパスコースを選択したのも見どころだった。
――引き分けも考えていたシリアにとっては0-2で苦しくなりました
賀川:シリアは内戦でサッカーどころじゃないとも言える状態ですが、ワールドカップ予選に代表を送り込んで来た。シリアのナンバーワンスポーツですから代表には当然プライドも意地もあります。0-2となってから彼らの個々の競り合いでもゴール前へと飛び込みでも、気力を見せていました。
――残り10分というところでは、危ない場面もありました
賀川:日本は34分に清武弘嗣を投入(香川と交代)、40分には武藤嘉紀(岡崎と交代)をピッチへ送り出した。
――相手のFKがゴールポストに当たるというヒヤリとした場面もありました
賀川:押し込まれた状態から42分に左サイドからの反攻、3点目を取りました。
――タッチライン際の競り合いからボールを拾い、清武が縦に流すと本田がエリア内で内側へヒールパス、走り込んできた宇佐美がゴールキーパーの右を抜いて右サイドキックのシュートを決めました
賀川:清武からオープンスペースへボールが出された時の本田のスタート、それに合わせて外から内へ走った宇佐美の速さなどが見事に生きたゴールです。この試合の前に、イタリアで本田と長友が試合に出ていなかったことでコンディションがどうかと懸念されたが、2人ともしっかり仕事をしました。
――日本代表のアジア予選は今後も続きますが、まず一安心です。次は実力者イランとの強化試合がありました。それについても近い機会に話を聞きます。
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