東アジアカップ 最後の2ゴールで勝利と自らの成長をつかんだなでしこ
8日<女子>
日本代表 2(0-0、2-0)0 中国代表
――8月の第3戦でなでしこジャパンは中国代表に2-0で勝ちました。90分の終わりの所で1点を奪い、アディショナルタイムで2点目を取りました
賀川:相手の中国が後半に疲れて動きが鈍ったことも原因だが、暑熱のなかの過酷な90分を走り抜いて、最後に点を取る形を作って2点を奪ったこと、相手の個人力の攻めを無失点で防いだこと、ピッチの選手もベンチの選手も心をひとつにした試合でしょう
――そういう経験が、何よりと言うことですか
賀川:その試合で勝ったということは、今後に大きなプラスで残るでしょう。
――なでしこらしくない試合で始まった東アジアカップだったが…
賀川:今年のなでしこジャパンは、カナダのワールドカップにしても、今度の東アジアカップにしても準備が充分だったとは思えません。いろんな理由があるのでしょうが、試合を重ね、フィールドプレーヤー全員をピッチに登場させながら、最終戦にはともかく、その総力を出すようになったのだから、監督さんも選手たちも立派だったと思います。
――危うい場面もありました。例によって中盤でのパスミスを取られて、カウンターされることも一度や二度ではなかった
賀川:INAC神戸のFWで、国内リーグでも点を取っている京川舞を右サイドバックに置くという佐々木監督の意図は理解できても、京川にとっては不慣れなポジションで、初めは難しかったと思います
――経験を積ませる時間が足りなかった
賀川:佐々木さんはおそらく京川に長い距離を走る、あるいは防ぐこと、そしてサイドでのプレーを、もちろん攻撃も含めて身につけさせようとしたのでしょう。古い時代でもたいてい優秀なストライカーは若いうちにはウィングプレーヤーで登場していることが多いのです。現在ではサイドバックがそのウィングにあたりますからね。
――第3戦の得点では京川がドリブルで持ち上がってチャンスをつくりましたね
賀川:だれしもサイドバックで初めてプレーし相手のサイドも強いとなると、守りに気がいくもの。彼女はそこから攻撃にも出て持ち味を発揮するようになった。
――つまり京川のように新しいポジションでも3試合目にはこなせるようになってきたと?
賀川:京川だけでなく、各選手それぞれが監督さんの指示なり、考えを理解するようになったのでしょう。京川を例に挙げましたがチーム全員がそういう意味で進歩したと思います。
――1点目の前に京川のドリブルからチャンスが生まれましたね
賀川:相手の動きが鈍って、中盤でボールを取れるようになると、攻めの回数が増えた。ただし中国のDFも出て来ないで守り一辺倒になるから、崩し難くなる。
――ロングシュートが多かったのは、そのため
賀川:シュート力があるといいつつも、蹴る力はそれほど高くはない。遠くからだと力むことになる。まして前方に相手4~5人のDFが見えるのだから、成功率は低い。
――増矢を投入(後半21分)していた佐々木監督は横山をピッチに送りました。後半38分です
賀川:まぁこのあたりが大会を通じてチームの力が監督の手の内に入っていた証(あかし)でしょうね。MFに川村と中島という、大きな動きをして強い球を蹴れる2人を配したのもそうです。
――京川のドリブルの持ち上がりと左足サイドキックの相手のDFラインの裏へのパスを横山がシュートまでいったがゴールキーパーが飛び出して防いだ
賀川:相手ゴールキーパーがスライディングしてくるときに、こういうボールを浮かせてゴールへ入れるようになればレベルの高いストライカーということになるのだが、さすがにそこまでは行かなかった。それでも次のチャンスを横山が決めた。
――中盤で横山のドリブル、パスを奪われたのを、また日本側が奪い返し、スペースの広い中盤でゆっくりボールをまわしたあと杉田-中島と渡って中島がドリブルで進み、相手DFの間にスルーパスを出し、横山が走り込んだ
賀川:右から攻めた横山が左に回って行った動きも良かった。横山のトラッピングをDFの一人がスライディングで止めようとしたが、ボールは横山の前に転がり、シュートした。走り込んだ横山の勢いがボールを自分のものにしたのでしょう。
――後半43分で1-0、これで勝ったと思ったが、中国も攻めに出る
賀川:開催国の意地でしょうね。アディショナルタイム5分の表示は見ている方には心配だったが、彼女たちはそのアディショナルタイムでもう1点取った。右からのパスを受けて菅澤が相手DF2人と競り合い、エリア内でバランスを崩しながらもボールをキープして、後方の杉田にパスした。杉田はペナルティエリアすぐ外から右足サイドキックで正確なダイレクトシュートをゴール右ポスト内に送り込んだ。
――2-0となりました
賀川:この自分たちの2ゴールは彼女たちにはイメージとして残るだろう。もちろんビデオでの再発見もあるだろうが、東アジアのこの舞台で自分たちが作り上げたチャンスはなでしこの財産となるはずです。3試合でなでしこの彼女たちはチームとして個人として成長できたのですよ。
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