90歳の冬の旅 〜 舞台に上がりFIFA会長賞を
ベストイレブン(2人欠席)の表彰を受けた9人が私の目の前の階段を降りて行くのを見て、ぼつぼつ私の出番かな、と思っていたら、女子のワールドプレーヤーオブザイヤー候補の映像が映し出された。
ドイツのナディーネ・ケスラー、25歳のボルフスブルクのプレーヤーで、クラブのドイツ女子ブンデスリーガ優勝と欧州チャンピオンズリーグ優勝に貢献、ドイツ女子代表でも活躍していて、すでに2013-14のUEFA(欧州連盟)女子ベストプレーヤーなどに輝いている。彼女のゴールシーンを何度か見せ、あわせて今回も候補に挙がっているブラジルのマルタとアメリカのワンバックの姿も映し出された。不勉強であまりケスラーに馴染みのない私はプレーの画面に引き込まれ、彼女の右足アウトサイドでのシュート場面では私の少年時代のアウトサイドでのゴールを思い出したりした。
そんな、いささか私の余分な脳の動きに「かまけ」て壇上にFIFA会長のブラッターさんが登場するのをなんとなく眺めていた。
(ここで、さあボクの出番と気付くべきなのに…)
ぼくのことだと気がついたのは、ブラッター会長のプレジデンタル・アワードという言葉を聞いてからだった。会長が私の名を呼んだので、つい立ち上がってしまい、ブラッターさんがまだ早いと手で制したようだった。映像を見せるので、そのあと檀上に上がれということでしばらく自分の写っている画面を見る。前日にビデオ撮りしたもので、日本語でインタビューし、日本女性の通訳で構成してくれることになっていたが、画面と私の語りが全く合っていない。各国語で聞く場内の皆さんはどんな感じかな、と思ったりした。不満はないではないが、クライフやマラドーナやルムメニゲやケンペスなどを見れば、日本にもいろいろなスターが来たこともわかってくれるだろうと思っているうちに、こちらが舞台へ上がることになった。出番までの時間が予想外に長かったので、少し疲れていたのか、杖をついて階段を上がるとき、一度杖が空を突いた。ブラッターさんがやんわりと迎えてくれて「重いですよ」と言いながら会長賞のトロフィーを渡してくれた。受け取ったが、ほんとうに重くて、上にかざすわけにはゆかず、すぐに台に戻すと、ひとこととアブドさんに言われ、英語でお礼を言った。
原稿は私が日本語で書き、自分で作るよりも、と若いサッカー仲間のひとり、ベン・メイブリーという英国人に英文にしてもらった。オックスフォード大学出身の彼の英語はさすがにしっかりしていたが、はじめに作ったのは5分以上になりそうなので、どんどん縮めて、お礼の言葉と、1979年に初めてブラッターさんに会ったこと、そしてちょっとしたジョークだけにした。
世話役のブラウンさんが、その文章をバロンドールの台紙に貼り付けてくれたのだが、多分檀上ではライトなどの関係で字が読めないかもしれないと予想し、中学生のころのように暗唱できるまで練習した。もともと声の通りがどうかと心配していたのが、マイクが立派なのか、わり合いに自分の耳にもいい声に聞こえて安心した。
©KaiSawabe
固定リンク | FIFA BALLON D'OR 2014 | コメント (1) | トラックバック (0)


コメント
ご無沙汰しております。
ニュースで受賞を知りました。
今後一層のご活躍を祈ります。
投稿: 赤シャツ | 2015年1月29日 (木) 16時07分