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第1回全日本ユース(U-18)フットサル大会を見て

2014/09/10(水)

――東京で第1回全日本ユース(U-18)フットサル大会 presented by BallBallがありました。見にゆかれたそうですね

賀川:U-18の全日本大会ですからね。準決勝、3位決定戦、決勝を観戦しました。もともとシックスの本多克己さんや高校サッカーの中塚義実先生たちが中心になって、名古屋で開催されていたU-18フットサル大会をJFA主催の全国大会にしようということになりました。

――参加チームは
(1) 9 地域から各1チーム(2) 開催地(東京都)から1チーム(3) 2012年度フットサル個人登録の登録者数上位6地域から各1チーム(北海道、東北、関東、東海、関西、九州)の合計16チームでした。これを4チームずつ4グループに分けて、まずグループリーグでの上位2チームが決勝ラウンドに進み、そこからノックアウトシステムで準々決勝、準決勝、決勝へと進みます。大田区と墨田区の体育館を使い、最終日の3決、決勝は大田区体育館でした

賀川:東京はそれぞれの区の体育館や、周辺のスポーツセンターの整備が立派にできています。もちろん人口からみれば、もっと必要なのでしょうが、両体育館とも設備の良いのに感心しました。

――前にもこの大会は見ていた?

賀川:名古屋での大会を見ました。昨年でしたが、U-18といういわば高校生世代の激しさと、積極性があらわれて、とても面白かったのを覚えています。高校サッカー部でこのフットサルの大会にメンバーを送り込んできたところもあり、高校のフットサル部のチームもありました。今度も同じようでしたが、名古屋オーシャンズのU-18のチームを決勝で見ることができたのはよかったといえます。

――名古屋オーシャンズは、この大会の直前に開催されたアジアフットサルのクラブ選手権で優勝し、日本一の上に、アジアNO1のタイトルを加えています。そのユース(U-18)ですからやはり強いでしょう

賀川:そうですね。1次リーグの成績を見ても、宮崎県立宮崎工業高等学校サッカー部(9-3)、宮城・聖和学園FC(7-1)、千葉・FC幕張(3-0)と大差で破って、準々決勝へ出てきて、ここでも岡山作陽高校を7-1で破りました。

――岡山作陽のサッカー部は中国地方の実力校ですね。フットサルのこの大会でも例年注目されるところですが、名古屋オーシャンズに大差で負けたのですね

賀川:オーシャンズの準決勝の相手は、滋賀県の野洲高校サッカー部でした。私は見ていませんが、スコアは4-2と接近しています。

――野洲高校のサッカー部は個人のドリブルを重視していることが知られていますね

賀川:このフットサル大会に出てくる選手は、サッカー部の一軍ではないようですが、ボール扱いが上手で、個人的にキープ力があります。まあ、野洲高校以外のチームに大量得点を奪って勝ち上がったオーシャンズですが、面白いのはオーシャンズに大敗した相手が、そこから何かをつかんで上位へ勝ち上がってきたことです。

――1次リーグで1-7で敗れた聖和学園FCが準々決勝4-4からPK戦で勝ち、準決勝で藤井学園寒川高校サッカー部を6-4で破り、決勝でオーシャンズに3-2で勝ったのですね

賀川:Cグループで野洲高校に4-7で敗れた香川の寒川高校サッカー部が準々決勝で帝京長岡高校サッカー部に2-2からPK勝ちし、準決勝で聖和に負けましたが、3決で野洲と対戦して、8-3で勝ちました。

――大会中の敗戦をプラスに変えた証でしょうね

賀川:U-18という年齢層の吸収力の高さ、そしてまた、一方ではこの年齢層の波の大きさというか、調子の変化をも見ることができました。

――決勝は大接戦でした

賀川:オーシャンズは個人の技術もしっかりしていて、パスを回す経路もフットサルをよく教えられているという感じがしました。まず4分にオーシャンズがリードし、聖和が同点にし、28分にまたオーシャンズが2-1にした。29分に聖和が決めて2-2、そして32分聖和が3点目を奪いました。このシーソーゲームの緊迫感に親戚の大仁JFA会長、小倉名誉会長たちもすっかり引き込まれていた様子でした。ボールをつなごうとするオーシャンズに対して球際の粘りで対抗し、トップにボールを当てて、そこからシュートチャンスという攻めを聖和が見せました。高校サッカー部のプレーヤーは体力もあり、体もいいので、その特色を生かしたいのでしょうね。

3位決定戦も寒川高校が前線へのロングボールをDFを背にしたプレーで生かして、得点を重ねました。野洲高校には疲れが見え、ドリブルのキープや突破が次の展開に有効につながらなかった場面が増えました。

――フットサル特有の技術はサッカーにも通じるのですか

賀川:狭い場所でのプレーですから、ボールを正確に止めること、これは足の裏(ソール)を使うことが多く、サッカーでも必要な技術です。ボールを蹴るのはインステップもインサイドもありますが、トーキックもよく使います。昔のサッカーではトーキックは基本技術のなかでも大事なもののひとつでした。最近ではあまり教えないのでしょうかね。指導者に賀川さんのころはフットサルがなかったのになぜトーキックのことをよくご存じなのですか、と尋ねられて驚いたことがあります。

――ワールドカップでもブラジルのオスカルはトーキックでシュートを決めました

賀川:古い話では、2002年のブラジルのエース、ロナウドもトルコ戦でトーキックで得点しています。私たちの時代には、クツの先端の固いサッカーシューズを履いてトーキックで点を決めていた先輩もいますよ。この人は、コーナーキックもトーで蹴っていました。雨の日のぬかるんだグラウンドでも使えるキックでしたからね。

サロンフットボールと言われていた時代に、日本にフットサルを持ち込んだセルジオ越後は、広い場所のサッカーであっても、それぞれの局面では狭いスペースのフットサルと同じなんだから、とよく言っていましたよ。

――フットサルが盛んになるということは、サッカーにもプラス

賀川:ブラジルのワールドカップを見て、日本代表のボール技術が上手になったと言っても、外国選手より上だとは言いきれません。ボールテクニックはこちらが上でなければ、体格に恵まれた外国チームに勝てないのです。その意味でも、フットサルの経験はとてもいいと思います。もちろん、フットサルそのものの面白味は別のものがあるので、ますます盛んになるでしょう。特にU-18のイキイキとしたプレー、迫力満点の試合は見ていても面白いものです。

――U-18の大会から、見るスポーツとしてのフットサルの面白味が伝わればいいですね

賀川:足を使って、ボールをゴールへ入れる、あるいはそれを防ぐフットボールという競技は、サッカーでもフットサルでもとても面白いものです。ブラジルのFIFAワールドカップを見てきた後で、U-18のフットサル大会を見て、ますますフットボールの面白さを感じるようになりました。

――U-18大会が発展するのを見守りましょう

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