年末年始のサッカーから
――2014年も2週間たちました。90回目の新年はなかなか忙しかったようですね
賀川:1月5日に関西サロンの集まりがあって、そこでお話をしました。1月13日にはデットマル・クラマーさんと福岡で会いました。寒いので外出は控えていましたが、テレビのサッカー番組が多くて見たり、録画したりで時間のたつのは早かったです。
――年末から元旦決勝にかけての天皇杯や高校サッカーといった恒例のものは当然、INAC神戸をはじめとする女子の試合が加わり、それにヨーロッパでの日本選手のプレーもテレビが見せてくれる。香川真司のユナイテッドの試合に加え、本田圭佑のACミラン入りがあった
賀川:ごく最近では女子の高校選手権をTBS系のBSで録画でまとめて見せてくれるのも、とてもありがたいことでした。
――本田のミラン入りが最大のインパクト
賀川:入団の記者会見がテレビ放映されたのは珍しいが、それをテレビ朝日が詳細に見せてくれた。近来のヒットでした。本田の落ち着いた記者会見での受け答え、やさしく、わかりやすい英語での答えはイタリア人記者だけでなく、テレビを通じて多くの人にとてもいい印象を与えたでしょう。
――翌日の日本の各局のニュースショーでも取り上げられました。コメンテイターの評判もよかった
賀川:日本に27歳のこんな若者がいるのだぞ、と誇らしくなった人もいるはずです。9月のブエノスアイレスでのオリンピック招致で日本の若い人のスピーチがとてもよかったのですが、その2020年の東京オリンピックが猪瀬さんの不祥事辞任でいささか影を落とした後だけに、本田選手の記者会見は日本のスポーツ界にとってもとてもよかったと思いました。
――これからの試合が大切です
賀川:ミランに加わった最初の試合は後半途中からだったが、まるでずーっといるような態度でプレーしていた感じ。いいシュートもした。バロテッリやカカというすごい選手がいるチームで彼が加わることでリーグでのチームの巻き返しが期待されますよ。ちょうどこの原稿を書いている時、NHKの朝のニュースで本田が第2戦のカップ戦で初ゴールし、ミランが本拠地で勝った(3-0)と伝えました。
――彼のミラン入りでイタリアのリーグ、イタリアのサッカーへの関心が高まるでしょうね
賀川:長友佑都がインテルにいる上に、同じミラノのライバル、ミランでプレーするのですからね。
――ミランは、かのベルルスコーニという政治家がからんでいますが、伝統あるチームでミラノはインテルとともにイタリアのサッカー中心地のひとつです
賀川:イタリアはローマが古代からの都ですが、北部のミラノやトリノといった街が経済力をつけた現代イタリアの経済を支えていると言われています。90年のイタリアワールドカップの時は、私はミラノを拠点にして取材をしたくらいです。本田、長友によって日本のファンの目がイタリアにも集まるでしょう。彼らのプレーを見ることで、日本にも上手で、しかも粘り強いサッカーをする子どもたちが多くなるかもしれません。
――香川はどうでした?
賀川:真司が徐々にユナイテッドの監督の信頼を得ているのじゃないかな。彼のプレーに私はまだ不満は多いが、相変わらず上手だし、その技術の高さは試合の随所で発揮されています。
――自分が得点していないのを本人は気にしているようですが
賀川:もともと凝り性で、丁寧なプレーヤーですが、ゴール前ではもう少し大ざっぱなプレーをした方がいい場面もあります。シュートのタイミングにしても、ひとつ持って相手をかわしてから蹴るのもいいが、その前のタイミングでダイレクトシュートをするのも得点のコツのひとつですよ。本人はそのうちに自分でつかむでしょうがね。
――シュートといえば、ドイツで岡崎慎司が点を取っています
賀川:岡崎はシュートする位置取り、タイミングがとてもよくなっています。ゴールを決めようという強い意識が彼の能力を高めています。左のボレーなども上手になっています。
――国内の試合は
賀川:INACの皇后杯優勝は難しい試合を彼女たちの意地で勝ち抜いたのに感嘆しました。川澄がPK戦の最後に蹴って勝負を決めた直後に「自分が一番おいしいところをもらうんだ、と思った」と言っていた。そのポジティブな考え方に女性は強いなと思いました。
――川澄はアメリカへ行きますね。INACもこれから全体のレベルアップが必要でしょう
賀川:女子サッカーのトップですからね。女子は高校選手権のテレビも見ています。個人技のしっかりしたプレーヤーが多くなっていて、日本女子サッカーの底上げが見えて、とてもうれしく思いましたよ。
――まだまだありそうですが、今日はここまでにしましょう
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