国際親善試合 日本 2-2 オランダ
――オランダに2-2で引き分けた後、すぐに話を聞いたら、今度は2試合を終わってからの片言隻句にしようということでした。WHY?
賀川:ファン・ペルシー抜きのオランダが相手でしたからね…ザックさんがずーっと求めてきたことは、世界のレベルの高い相手に何ができるかをチーム全体で確かめたいということでしょう。上のクラスと戦うためには、まず心と体の充実が大切です。今度のシリーズは中2日ですから、選手の体調によって交代起用ということもあるでしょう。
――いわば、代表の総力戦となるわけですね。控えの選手たちが起用されてどこまでやれるかということですね
賀川:面白かったのは、第1戦の対オランダは香川真司と遠藤保仁の代わりに清武弘嗣と山口螢が先発したでしょう。
――ザック監督が競争原理を導入したという人もいました
賀川:いずれにしてもオランダ代表が後半になって動きが鈍った時に遠藤、香川が入りました。2人のことだから前半の間にオランダの動きを見て、自分たちのすることをしっかり考えていたはずです。
――オランダの監督も後半に2人が入ってから変わったと言っていましたね
賀川:試合運びにこういうやり方もあることをザックさんは実際に示してくれた。
――大迫勇也を先発で起用したのは
賀川:大迫という選手は彼が鹿島に入ってからずっと誰もが注目してきました。私もサッカーマガジンのシーズン前の予想で毎年のように得点王の予想に彼の名前を挙げていました。
――一度も当たらなかったが、期待をこめてと言っていましたね
賀川:前田遼一より若く、いわゆるセンターフォワードとしてシュートもでき、パスもでき、ボールを受けることもできる。基礎的な技術がある。体の強くなるのを毎年見つめてきた。鹿島の方針かもしれないが、少し時間がかかった気もするが、今年は姿勢もよくなってゴール数も増えた。代表監督としては、柿谷とともにぜひチームに加えたいストライカーでしょう。
――オランダ戦は2失点しました。1点目はロングボールを内田篤人がヘディングで処理ミスをして、ファンデルファールトに先制ゴールを決められた
賀川:多くの日本サポーターはテレビの前で、また同じパターンで失点したと思ったでしょう。内田の気の毒な場面となったが…
――ハーフウェイラインから長いパス一本だった。ファンデルファールトのスタートが早く、ダッシュの勢いもすごかった
賀川:日本のサッカー全体の「バックパス」について、技術委員会あたりでもっと考えるべきでしょう。少し不利になるとすぐバックパスをする習慣があって、これが時にもっと悪い状態になることは98年ワールドカップ対クロアチアの失点以来、代表の失点のパターンになっているのです。ただし、今回はそういうことにひるむことなく攻める気持ちを持ち続けたのがよかった。
――口を挟ませてもらえば、2点目の失点、ロッベンが右から内へ持ってシュートするのは彼の定石なのだから、日本のDF陣にとっては反省課題になるでしょう
賀川:オランダのプレスが強く日本は苦労したが、パスをつなげばシュートチャンスを作れることも見せた。それでいて、2点を失ってしまった。ただし面白いもので、2-0としてからオランダはホッとした感じになり、勢いが止まった。
――前半44分の大迫のシュートは試合の流れから言って、とても重要でしたね。
賀川:0-2で前半を終わるのと、1-2で終わるのではずいぶん違います。相手ボールをいい位置で奪って長谷部誠がドリブルし、左前方の大迫へ送ったパスのタイミングもコースもよかった。長谷部が持って出たときに大迫が左前へ動いて相手のマークを外したのがすばらしかった。彼らしく自然にマークがずれるような動きで、そのスペースでボールを受けてダイレクトシュートを右足で決めたからね。
――オランダにとっては一瞬のミス、スキを突かれたことになる
賀川:大迫はそれまで2本シュートした。左から来るボールを左ポスト際でダイレクトシュート。もうひとつは右後方からのパスを右足だった。いずれも相手に防がれたが、こういうラッキーなチャンスをものにしたところが、今の彼の充実ぶりを示していると言えるでしょう。
――後半は日本が攻め、オランダが守ってカウンターの形になりました
賀川:日本が1点を取ったが、それ以上のゴールは生まれなかった。日本の2点目は遠藤の右へのロングパスを内田が受けて、これぞ日本代表という短いパスのつなぎから。内へ入った内田が縦にパスを出し、DFの足に当たって大迫に渡り、大迫が左へ流れながら右足アウトサイドで後方の本田にパス。本だが左足のダイレクトシュートをゴール右ポストいっぱいに決めた。
――内田が面目を発揮した攻撃参加でしたね。2-2となってからも日本にはチャンスがあり、香川の左足シュート、73分から入った柿谷のシュートもあった。前者はGKが防ぎ、後者は右ポストをわずかに外れた。
賀川:柿谷のシュート不成功は本人にとっても残念だっただろうね。
――オランダ相手に大善戦でしたが
賀川:いまのオランダはFWのファン・ペルシーとロッベン、そして中盤のファンデルファールト、N.デヨングが軸で、若い選手が多く、ヨーロッパのメディアはその点に不安ありとしている。この試合では、マンチェスター・ユナイテッドのストライカー、ファン・ペルシーが欠場していた。はじめに申し上げたようにこれが大きく響いていた。
――まあFWのS.デヨングはこれまでほとんど出ていなかったこともある
賀川:飛車と角のどちらかの駒が抜けているオランダだったから、2-2の引き分けも私はそれほどうれしくはなかった。だから第2戦を見た上で強化試合全体を判断したいと考えたのです。
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