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2013年10月

週刊サッカーマガジンがピリオド

2013/10/31(木)

――週刊サッカーマガジンが月刊になると。10月29日発行の2013年11月12日号、1483号でピリオドを打ち、1993年秋以来20年間に1058冊で終わりとなったそうです

賀川:1966年6月の創刊から長く月刊だったのが、1993年のJリーグ開幕(5月)の半年後から週刊にしたはずです。読むところの多い、いい雑誌だったが、活字離れの今の世の中では、経済的に大変だったかもしれない。創刊のころから、ずっと寄稿させてもらった。新聞社のスポーツ記者としてスポーツ全般に目を向け、幅広い読者に記事を提供する立場だったのが、サッカーマガジンではサッカーの好きな人を相手にする原稿で、とても楽しく勉強になりましたよ。

――新しい月刊誌は編集方針も違うものになるとか

賀川:どういうものを作られるのか…とても興味がある。まず成功してもらいたいものですが…

――週刊サッカーマガジンの連載はまだ途中のようでした

賀川:「日本とサッカー90年」という連載は2002年まで書いたので、あと10年余です。これは私のブログに掲載し、「90年にしたいと考えています。創刊のころから47年半世紀近いサッカーマガジンとの付き合いでした。この雑誌を通してたくさんのサッカー仲間と知り合いになりました。読者の皆さんからさまざまな指導もいただきました。機会があれば月刊サッカーマガジンの誌上でお目にかかることもあるかもしれませんが、とりあえず今後はこのブログの回数を増やすことを心掛けたいと思います。サロン2002その他でサッカー好きからの質問を受け答えするように、このブログ上でもご質問があれば、ご遠慮なくお寄せください。週刊サッカーマガジンで“旅”をはじめ、多くの連載にお付き合いいただき、ありがとうございました。改めてお礼を申し上げるとともに、今後ともよろしくお願いいたします。

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自分たちの得点の取り方 実戦的技術を持つスラブ人

2013/10/22(火)

――日本がはじめのうち勢いよく攻めたので、今日は楽しいぞと思ったら、90分で無得点、前半の終了間際に1ゴールを奪われて0-1。結局、東ヨーロッパの強化試合は2連敗となりました

賀川:ベラルーシはワールドカップの欧州予選I組で最下位(8戦1勝1分6敗、得点7、失点15)に終わっているが、強敵にもまれて徐々に力を上げてきたようです。11月11日の最終戦、対スペインが1-2、その前の9月10日の対フランス(ホーム)が2-4でした。

――しっかり調べていたのですね

賀川:いや、不勉強で予習していなかったのだが、テレビで彼らの厚い守りとボールを奪ってからのカウンターの手順がずいぶん上手、というより手馴れているという感じだったので、あわてて外国雑誌を読み直しました。

――日本がアジア予選でのアウェーでいつも手を焼きながら勝ってきたのですが、東欧まできて同じタイプの試合になるとは…

賀川:スラブ人のチームだから、アジアの相手よりは体格がよく、プレーも粘り強いところがあります。

――ふーむ

賀川:ソ連邦時代にオリンピック代表の監督だったカチャーリンから「他民族のソ連では選手の民族性も参考にします。その点でスラブ人は体が強く、辛抱強くて守備にいいプレーヤーが出ている」と聞いています。

――その守備の得意なスラブのサッカーにやられたということ

賀川:ファウルも含めて、執拗に体を寄せ、ぶつけに来る相手と競り合いながら、日本側のボールテクニックの正確さが落ちたこともあります。

――奪われたゴールは、前半の終わりごろでした

賀川:もう一つ言っておきたいのは、彼らのテクニックは決して超高度というわけではありませんが実戦的ですよ。たとえば、クロスを蹴るのに、しっかりとボールの底を蹴って高いボールを送り込むということです。日本代表でサイドからのクロスがいまも相手にはね返されますが、ベラルーシのゴールは、右から、左から送り込んできたクロスが狙ったところへ落ちていたからなんです。

――得点になる攻めのスタートはFKからでした

賀川:香川と長谷部の小さいパスの失敗でシトコがドリブルするのを本田がファウルで防いだのが原因だった。(1)そのFKが右へ送られ、後方から飛び出した17番のチゴレフがペナルティエリア右角からファーポスト側へクロスを送った(2)その高いボールを折り返し(3)ペナルティエリアすぐ外、中央右寄りでカラチェフが受けてすぐ右前のチゴレフに渡し、(4)リターンをもらって、中央へ送る。それを(5)長谷部がヘッドでクリアしたが(6)左サイドで拾ったベレチロが30メートル左よりの地点から左足のクロスを蹴った(7)ボールは再びペナルティエリアいっぱい中央右寄りに落下し、(8)そこにいたカラチェフが後方のチゴレフにパス。チゴレフがエリア外からビューティフル・ゴールを決めた。

――クロスが狙ったところへ落ちてくるというわけですね

賀川:必ずしも中村俊輔ほどのピンポイントとは言えないが、まず狙ったゾーンへ送り込んでいます。早いカウンター攻撃を受けて、戻ってきた日本側の守りはこれで右・左とゆさぶられてマークが甘くなって、最後はノーマークシュートでした。

――カウンターもサイドからが多く、特に右サイドが働きました

賀川:シンプルにサイドを縦へ出て、そこからのクロスというのは、昔からの攻め方ですが、横から来るボールの方が、中の者には(後方からのスルーパスよりも)合わせやすいという利点があります。

――日本のパス攻撃で相手の裏へ出すスルーパスは、ヤッタ!という感じはするが、ここのところなかなか得点になりませんね

賀川:だからこそ、新しいトップ柿谷曜一朗をこのシリーズで試したかったのでしょう。

――日本のチャンスでのシュートが入らないことについては、また別にするとして、2試合とも試合の終わりごろにハーフナーを投入していますが、彼の長身を生かせるようなボールが出ていません

賀川:それは先ほどのベラルーシのクロスと比べてみることです。特に右サイドから浮かせてくるクロスは何本かありましたが、その蹴り方は参考になるでしょう。日本にはボールを高く上げて狙ったところに落とす中村俊輔という選手がいるのに彼のレベルに達する者が少ないのも不思議なことです。

――東欧の強化2試合はいろいろな勉強をしましたね

賀川:私は今の日本代表はアジア予選突破の後、大物チームとの対戦が続いて少し調子が落ちているのではないかと思っています。その点はあまり心配はしていませんが。

――FWのトップ、あるいはストライカーがまだ決まりませんが

賀川:いろんな策があるでしょうが、8月のNHK特別番組のメキシコ五輪銅メダルの試合を見ても、いいストライカーがいれば、と誰もが思うでしょう。

――今日は代表の攻撃の分析とは別に欧州予選最下位のベラルーシの攻撃を眺めることで反省点を考えた―ということにしておきましょう

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セルビア、ベラルーシ 2つの敗戦から

2013/10/21(月)

――日本代表の10月のアウェー強化試合は、11日の対セルビアは0-2、15日の対ベラルーシは0-1で敗れました。ファンの間からも不満の声があがっています

賀川:対セルビア戦のテレビの画面を見ながら、セルビアのような強い相手と戦うためのチーム全体の準備もひとりひとりの選手の心と体の準備も出来ていないと感じました。今年アジア予選を突破した後、コンフェデレーションズカップの第1戦でブラジルと対戦した時も、テレビから「天下のブラジル」と戦うのだという高揚感が感じられなかった。それとよく似ています。

――第1戦を見ながら、真司のコンディションがよくないとつぶやいていましたね

賀川:まあ、昔のユーゴスラビア連邦国家のころから、セルビアは東欧のブラジルと言われていたほど、ボールテクニックが高く、同時に伝統的に1対1の奪い合いの時の狡猾さは感心するほどです。体はしっかりしていて、ヤバいと思った時はごく自然にファウルプレーで止める。

――ワールドカップの欧州予選A組の3位で本番へは出られないセルビアだが、実力は高いということですね

賀川:その強チームを相手に新しいストライカー柿谷曜一朗を加えた攻撃のテストをし、あわせて積極的守備(前からのプレッシング)で守備力アップの自信を深めたい――そんな意図だったらしいが…

――それには相手が上だった

賀川:セルビアのCDFのイバノビッチはプレミアリーグのチェルシーのDF、もうひとりのナスタシッチもマンチェスター・シティのCDFですよ。後半はじめに日本が左サイドで攻め、本田が柿谷へスルーパスを送ったのをイバノビッチは読んでいて先にボールを取り、ライン際で柿谷が奪いに来るのをヒールでの切り替えしで内へ外して、左足アウトサイドで仲間に短いパスを送った場面があったでしょう。

――ふーむ

賀川:背が高く、体がしっかりしていて、柿谷がぶつかっても通じそうにないディフェンダーが日本のFWのように、かかとで切り返し、大きな足のアウトサイドを使ってパスを出すのですよ。彼のプレーを見て一瞬スウェーデン代表のセルビア系FWズラタン・イブラヒモビッチを思い出しましたよ。

――ああ、バルサにもいた、いまはパリ・サンジェルマンの

賀川:2人のCDFがプレミアリーグのトップチームのCDFであることだけでなく、真司と同じマンチェスター・ユナイテッドにヴィディッチ(ケガで昨シーズンはあまり働いていないが)がいることも忘れてはいけません。

――今年の欧州チャンピオンズリーグを戦う32チームに、確かセルビアの選手は合計10人いるはずです

賀川:そういう個人レベルの高いチームを相手にするためには、日本代表はまず何をするか。

――技術を生かし、組織力で戦うことですか?

賀川:そのためには走ること。運動量を多くすることが大切です。柿谷が相手の裏を狙う一発勝負だけでは通じないのですよ。

――今回は柿谷が代表攻撃陣の一角を担うかどうかが注目でした

賀川:清武をなぜ右サイドで使わなかったのかが不思議のひとつ。柿谷のボールタッチのうまさを生かすためにも、パスの出所を増やすことが必要で、特にこの日は真司と遠藤の調子が落ちていて、左サイドが起点になりにくかった。

――賀川さんは岡崎を買っていますよね

賀川:岡崎のゴール前に飛び込む果敢さと、粘り強い守りとキープはすばらしいが、柿谷という新しい力を試す、それもプレミアリーグのレギュラーCDFを相手にしてということになれば、こちらもいいパスの出し手を揃えることでしょう。

――68分に柿谷に代えて、清武が登場しました。入れ替わりでした

賀川:清武は香川よりも長いボール、高いボールを蹴ることができる。香川と違った視野の広さもある。

――そういえば、香川、柿谷、本田、清武の揃ったナイジェリア戦は悪くなかった。それでもザックさんは岡崎に固執しましたね

賀川:その理由はそのうちに明らかになるでしょうが、柿谷にも代表にも大事なチャンスを失したと思っていますよ。

――失点は

賀川:1961年に日本のアマチュア代表が初めてユーゴスラビア代表と東京で試合したのを見て以来、ユーゴスラビア系のプレーヤーのボールの持ち方のうまさはいつも見て楽しいもの。逆に相手側にはやっかいなものだと思ってきた。彼らの特色のひとつに「切り返し」のうまさと「深さ」がある。74年のワールドカップでドラガン・ジャイッチが足元でのキープと切り返しでブラジルやスコットランドのDFを翻弄するのを見たが、今度のセルビアの先制ゴールは、右サイドの18番バスタの切り返しが効果的だった。

――相手のハーフウェイライン近く、右寄りのFKからでした

賀川:ロングボールを警戒した日本の守備ラインを見て、右サイドの浅いところでボールをつなぎ、バスタが右外へドリブルすると見せかけて内へターンして長友をかわし、ペナルティエリアに入ってさらにもう一度切り返した。日本側は長友、遠藤、香川といたが、バスタは右足でシュートを敢行。そのボールがゴール正面にいたタディッチの足元へ飛んだ。タディッチが左足で止め、右足でニアポスト側にシュートを決めた。

――バスタの2度の切り返しからのシュートとそのシュートをしっかり止めて正確に蹴ったタディッチの2人のプレーが見事に組み合わされた。タディッチの近くに今野と吉田がいたが、タックルできなかった

賀川:ゆっくりパスを回していたのが、バスタの切り返しから一転してシュートへ持って行ったテンポの変化などはなかなかのものですよ。まあ、はじめに言ったように香川の動きの鈍いのも、こういうところで響いていた。

――遠藤の間合いの詰め方に問題という報道もありました

賀川:故障で前日まで別メニューで練習していたとか聞いたが…
コンフェデの時にも申し上げたが、新しい強化シリーズに入るときのコンディショニング―心構えも含め―がよくないのが気になりますよ。シーズン中で故障の多いのは致し方ないとしても、いい控えもいるわけだから…

――マンチェスター・ユナイテッドで少なくとも昨年は注目されていた香川がセルビア勢を相手に1対1で苦労しているのを見ると、世界は広いと思いましたね

賀川:だから日本にはラン―走ることが必要なんですよ。自分たちの敏捷性を生かすためにも…

――2点目を失ったのは後半の終了前に日本が攻めこんだ後、前方へのクロスを細貝が失敗して、相手DFの最前列にカットされ、一気にカウンターを食いました

賀川:日本が攻めるというのは、人数を多く前方へ送り込むわけだから、パスの失敗があると大変ですよ。相手はこのカウンターからゴールを左から右へ、右から中へと動かしてヨイッチが決めた。速いカウンターの攻め上がりの後、ゴールをサイドへ散らし、サイドからのボールを決めるという、点を取るための定石を知っているという感じですね。

――日本にもチャンスはあったが

賀川:前半に本田―長谷部―香川と渡り、香川は相手の守備ラインの裏でボールを取った。香川、本田に長谷部と3人になったのが生きたが得点にはならなかった。

――香川は長谷部からのパスを左足でシュートしたが、GKストイコビッチに防がれました

賀川:相手守備ラインの裏へパスを通して走りこむ攻めは、このところゴールに結びついていない。狭いスペースで相手のゴールキーパーも前進してくることもあり、これまで指摘してきたことだが、裏へ走りこんだ選手の工夫、そのパスのタイミングやスペースにも工夫があっていい。これについては、またお話ししたいと思っています。

――せっかく個人的に強い、チーム戦術のいいセルビアと対戦しながら、存分に戦ったという印象のないまま終わりました

賀川:レベルの高いチームを相手に、攻撃を組み立てて、ゴールを奪って自らの攻撃力に自信を持つという狙いは外れましたね。前半2本、後半5本のシュートのうち、ゴールの枠へ行ったのは、本田のFKと香川、柿谷の各1本(いずれもGKが防ぐ)だった。シュートそのものに原因があるのか、ラストパスに問題があったのか、精度うんぬんという抽象的な言い方でなく、何が悪かったかをプレーヤーやコーチがしっかり突き詰めることだ。

――右のCKをショートCKにして、本田―香川と渡り、香川が右ペナルティエリア根っこに持ち込み、岡崎へのパスを出してシュートしたチャンスがありました。

賀川:その岡崎へのパス、岡崎のシュート体勢にコースがあったかどうか、選手自身もテレビを見たファンも考えること、工夫することが本番でのゴール力アップにつながると思います。

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INAC神戸の優勝

2013/10/19(土)

――なでしこリーグで、INAC神戸レオネッサが4試合を残して優勝を決めました。女子サッカーの推進者のひとりでもあった賀川さんとしては

賀川:神戸のINACのようないいチームがいてくれるので、とても楽しい日々ですよ。BSフジで毎週の試合を見られるのもとてもうれしいですね。Jリーグの各クラブも力を入れるようになって、なでしこリーグ全体のレベルアップが進んでいるが、INACは澤穂希という別格の選手がいる上、川澄、近賀、海堀といったワールドカップのチャンピオンになった選手がいます。若い伸び盛りのプレーヤーも多くて、毎週の試合は見逃せないものになりました。

――テレビの前で試合を見ながら、つぶやいている内容をそのうちまとめてみたいですね
賀川:13日のテレビ観戦はとりわけ力が入りましたよ。

――というと

賀川:INACのトレーナーの山田晃広さんがブログで私のことを知り、いくつかの質問があるというのでティータイムに会いました。その時、澤穂希と近賀ゆかりの2人の選手も一緒だったので、にぎやかで楽しい時間になりました。

――ふーむ。それはよかったですね

賀川:サッカーに打ち込んでいる若い人と会話をかわせば、そのプレーヤーが気になるものです。ましてワールドカップ優勝の2人ですからね。

――で、優勝決定のテレビ観戦の感想は

賀川:サッカーの質から言って、INACの優勝は当然ですが、澤のコンディションが回復し、故障で長期離脱していた近賀が復帰しての連続優勝決定だから、とてもよかった。1-1の後の決勝ゴールは、チ・ソヨンが持ち上がり、中央やや右寄りの川澄にパス、川澄がそれを右サイドを駆け上がる近賀へ。近賀がダイレクトで早いクロスを送ったところへ、チ・ソヨンが飛び込んでヘディングを叩きこんだ。後方から走りこんできた勢いそのままのすばらしいヘディングシュートだったが、近賀のクロスはパーフェクトだったし、そこへパスを出した川澄のドリブルとボールを離すタイミングも見事だった。自陣で奪ってからチームの多くがからんだこういうゴールを決めた時に、おそらく選手たちはサッカーというチームゲームをやっていてよかったと思うだろう。この日スタジアムに集まった観客にとって、サッカーの醍醐味を感じつつ、ホームチームの優勝を見つめるという幸福な時間。女子サッカーのレベルアップをリードするINACにとっては、次のステップへ上がるための励みとなる優勝決定だろう。

――なでしこジャパン、なでしこリーグについても、これから話を聞かせてもらいたいと思いますが、INAC神戸は19日の試合でも浦和に2-1で勝ちました。

賀川:テレビで見ましたよ。DFのボール処理が遅くなってボールを奪われて、先制点を取られた後、前半の早いうちに同点ゴールと2点目をもぎ取って逆転しました。1点目は右サイドにいた高瀬がライナーのクロスを送り、相手DFに当たって高くゴール前に上がったのを澤が相手とジャンプヘッドで競り合い、こぼれた球をゴーベル・ヤネズが左足でシュートを決めたもの。右からのクロスが送られた時に、ペナルティエリア内に4人が入っていて、相手に当たったリバウンドを澤が長身DFと競り合った。その時のスロービデオを見ると、身長差のある相手に精いっぱいのジャンプをして互角以上に競り合っていたのがとても印象的で、このためボールはポトリとゴール前に落ちて、ゴーベル・ヤネズのシュートとなった。彼女の左足シュートにしても、右足でしっかり立っているために、バウンドの高さにあわせてボレーを蹴っていた。こういう落ち着きと、体のバランスの良さが彼女の得点力のひとつとなっているのだろうと、改めて感服した。

――2点目は

賀川:後方でのDF間でのパスを受けた右サイドの近賀が、ボールを右足で止めるとすぐ前方に向き、縦のパスを川澄の前へ送った。例によってさりげなく正確なボールで、川澄はペナルティエリア右いっぱい、ゴールライン近くでダイレクトでクロスを送り、ファーポスト側へ入ってきた高瀬がヘディングで叩きこんだ。シンプルで美しいゴールだった。

――浦和も進歩したということですか

賀川:体力面でも、ボール扱いの面でも、個人的に上達しているのだろうが、ボールをつなぐよりも前方へ蹴って走るというサッカーだから、攻めるときにチームワークという感覚が生まれにくい。代表チームの底上げということを考えると、個人技と同時にチームゲームのセンスを高めることが大切だろうと感じた。もちろん2-1となった後、INACに追加点が生まれなかったのは不思議でもあり、男子の日本代表と同様に、シュートの練習の不足していること、またキックについての一人ひとりの工夫が足りないようにも見えた。

――その他には

賀川:気づいたことは多いが、優勝した試合直後、テレビでクローズアップされた川澄キャプテンのホッとした表情は忘れられない。いつの試合でも、最後まで運動量を落とさない彼女の責任感と努力にはただただ感嘆です。

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