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ブラジル-日本(続)

2013/06/19(水)

チーム全体のボール運びと攻めの緩急

――後半も開始3分に2点目を奪われました。やはりサイドから中央へ送ってきた速いクロスをパウリーニョが決めました。右サイドからのボールという点が、先制ゴールの左サイドからのパスと違っているが、まず同じ系列のチャンスづくりでした。

賀川:早い先制ゴールでブラジルは前半を余裕たっぷりという感じでプレーをした。日本にもチャンスらしきものがあったが、このクラスを相手にして、ゴールを奪えるものではなかった。

――6分の本田のFK(バウンドしてジュリオ・セザールが前へはじいた)、8分に清武のクロスをファーポスト側で本田がジャンプボレーシュート(オーバー)。17分ペナルティエリアいっぱい中央右寄りで本田が右足シュート(GKが防ぐ)とあったが…

賀川:なぜゴールを奪えなかったという話は、あとまわしにして、まず2点目を見てみましょう。日本とブラジルの違いも知ることになるはずです。

前半のゴールは、左サイドのマルセロのクロスだったことは先述の通りです。そしてそのすぐ前には、ボールは右サイドから左へ大きく動き、そこでネイマールのシュートがあり、長谷部が止めたリバウンドがマルセロに渡った形になったのを覚えているでしょう。

――そうです、右から左へ送り、そこでシュートがあり、そのこぼれを拾ってのクロスでした

賀川:今度は右のアウベスのクロスですが、そのスタートは日本の攻めを防いだ後、ブラジルが右サイドでキープし、一度左へ送ってネイマールを中心にキープし、そしてネイマールが中へドリブルしてシュートの気配を見せ、右にいたルイス・グスタボに渡し、グスタボがさらに右後方のアウベスにパスしたのです。

――1点目と似た形(左右は逆であっても)だが、時間がかかっている

賀川:そう、右から左へ送り、また右へ戻してきた。その間に縦の突破の気配を見せながら短いパスをつないで、ゆっくりした動きを多くしていった。

――ゴール前を固めた日本の前のグラウンドを横切る動きを見せつつ、チャンスをうかがっていた

賀川:その圧迫感で日本の最終守備ラインはペナルティエリア内にまで後退していた。

――ビデオを残しておられる方は、もう一度見ていただければ面白いところですね


パウリーニョのトラッピングとシュート

賀川:アウベスが右足で強い、低いクロスを蹴った時には、ペナルティエリア内に黄色ユニフォームが5人いた。ファーポスト側、一番遠くにいたネイマールでなく、その内側のパウリーニョにボールが届いた。日本側もエリア内に5人いた。遠藤がこのクロスをカットしようと足を出したが一瞬遅れた。パウリーニョはノーマークでボールを右足で止め、前方から吉田がタックルに来るよりも早く、右足のインステップでボールを叩いた。

――GK川島は左へ(川島から見れば右へ)飛んで両手に当てたが、地面に落ちたボールはバウンドしてゴールへ飛び込んだ。

賀川:この場面で私が一番強い印象を受けたのはパウリーニョが右足でバウンドボールをトラップし、立ち足の方向をゴールに向けて(それまで体はゴールに対して後ろ向きになっていた)しっかりと蹴ったことだ。スローで見てみると蹴り足のバックスイングからインパクト、そしてフォロースルーの一連の動作を見事なフォームで演じている。パウリーニョという選手は昨年のポーランドでの対日本戦の先制ゴールをトーキックで決めた時から注目しているが、守備的ミッドフィールダーである彼がペナルティエリア内でのこのような落ち着いたシュートを決めるところにブラジルのセレソン(代表チーム)のレベルの高さがあるのでしょう。

――ブラジルがいわゆる左右のゆさぶりで攻めてくるのに、日本側がジリジリと後退してシュートチャンスをつぶすには間合いが広くなっていたという見方もあります

賀川:そうですね。50センチ、1メートルつめておけばよかったということになるのでしょう。この件に関しては、ブラジル側が左右にボールを散らすことで日本の守備選手の目が外に向けられ、マーク相手との間合いがズレを生じたのかもしれません。

――攻撃を組み立てても、シュートが決まらない日本に比べると、ブラジルのこの2得点は左右からのクロスを中央で受けてシュートという形としてはごくシンプルなものでした。

賀川:それぞれのクロスが日本側に防がれることなく、目標に届く、そのボールを受けた者は、そこできちんと仕事をする。つまりシュートをするということですね。

――シンプル攻撃もこうなるとすごいです

賀川:日本だから成功したという見方もあります。ただし、そのクロスに至る全体の流れ、緩急自在のキープや突進で相手を押し込んでいくチーム全体の感覚を共有しているところがブラジルでしょう。この大会でB組のスペインとともにサッカー好きにはその1試合、1試合が見逃せないチームですね。

――日本については

賀川:奪われた3点目の話も大切ですが、まずはコンディションを整えて、イタリアにぶつかることです。アジア予選が終わったところで本田をはじめ多くの選手が口にしたのは、個の強化・向上でしたね。

――記者にも同意見が多かった

賀川:1968年のメキシコ・オリンピック銅メダルの時のレポートに同時の岡野俊一郎コーチが今後の課題は個人技アップが第一と言っています。その32年前のベルリン・オリンピックでスウェーデンに逆転勝ちした日本代表の感想にも、個人力アップをしなければ世界との差は縮まらない、とありました。私のような古いフットボーラ―は75年前から聞き続けている言葉です。

――なかでもシュート力は

賀川:日本にもストライカーが育った時もありました。諦めてはいけないのですよ。その個の力も年月とともに向上しているのですが、まだまだこれからも…ということでしょう。

――そのブラジルの2得点を振り返れば、その個々の技術、ボールを止める、蹴るの技と力の差を改めて知りました

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