Jリーグ20周年レセプションでの感慨 〜 このときというタイミングで見事に立ち上げ、その後の発展に努力したJの関係者にまずお礼を
――5月17日のJリーグ20周年のレセプションパーティに出席されたそうですね
賀川:立派な招待状をもらったので、まずはお祝いを申し上げるだけでも、と出かけました。その前の週にも20周年について雑誌社のインタビューがありましたよ。
――まあJリーグはいまや社会現象のひとつですからね。パーティは盛会だったでしょう
賀川:すごい人でしたが、川淵さん、鬼武さん、大東さんたち歴代のチェアマンにも、大仁会長にもおめでとうだけは言うチャンスがありました。JFA名誉総裁の高円宮妃殿下にも、こういうレセプションではいつもご挨拶するのですが、たくさんの人の列で機会を逸しました。
――第2代チェアマンの鈴木さんは
賀川:顔が見えたからゆこうと思ったら、誰かにつかまって結局言葉を交わせないまま残念でした。鈴木さんは六甲高校出身、小学校は雲中小学校で私の後輩になります。
――珍しい顔に会いましたか
賀川:第1回のアジアユース大会の選手だった山田通夫くんに声をかけられました。東京高師附属で、当時2年生でしたが、上手なプレーヤーでね、1959年の紅顔の少年も白髪のおいじさんになっていたが、顔も雰囲気も昔のまま。彼は慶応を出てからサンケイスポーツへ入社し、テレビ局に移ったので、Jがスタートしたとき、私がマッチコミッショナーで試合を見に行って会いました。そんな話をしている時に成田十次郎先生に声をかけられ、先生が山田くんを教えたことがあるそうで話がはずみました。成田先生はドイツ留学中にデットマル・クラーマーの評判を聞いてJFAの野津謙会長にレポートしてクラーマー来日の道を開いた人ですからね。
――東京教育大学サッカー部史の年度別名簿を見ると、成田先生は昭和30年卒ですね
賀川:たしか亡くなった藤枝東の長池実さんや、共同通信の大記者になった村岡 博人さんたちと同じくらいのはずですよ。もっとも会場にいたセレッソの森島寛晃くん(モリシ)に1959年のユース代表に会ったよと言うと「スゴい!ボクは生まれていません」と言いましたがね。
――20年前を振り返ると
賀川:国立競技場での川淵チェアマンの挨拶もよかったし、すべてが新鮮で感動的でした。JFAの副会長だった長沼健さんが「サッカーは完全に変わりました」と言っていました。70〜80年代の低迷期に少しずつJFAの基礎を固めグローバル・スタンダードの形をとるようにして、Jの開幕に漕ぎ着けた。
――動きの鈍かったJFAが一気にプロ化に向かって動き出したという感じでしたね。関西から見ていると
賀川:後から見れば、この時期だという時に、この人だというチェアマンがいて、その仲間が一気に駆け出したという感じ。ある時、準備室を訪れて、まさに分刻み、秒刻みの仕事ぶりに感嘆したことを覚えていますよ。
――20年いろいろありましたが
賀川:関係者当事者、バックアップしてくださったスポンサーの皆さんたちの努力と智力でここまで来た。93年のプロ化とともに、2002年のワールドカップ招致に向かって動いたのも、すごいことだった。
――大づかみに言えば、プロ化で少なくとも10チームが、芝生のピッチの最低1万5千人収容のスタジアムを持つことになった。2002年のワールドカップ招致で各国代表チームの練習場を作ることになり、地方に芝生のグラウンドが整備されることになった
賀川:東京オリンピックは首都、あるいは首都圏でのスポーツ一極集中化につながったが、ワールドカップはJリーグとともに、地方に上質のピッチをたくさん生むことになった。
――プロ化によって、選手たちの意欲も上がった
賀川:プレーヤー、選手にとってはお金のこともあるが、世界と同じカテゴリーで戦えるということが大きかったと思う。もちろん家族たちにとっては子どもの素質、努力によってその子の好きな道を職業に選ばせる可能性ができた。
――Jリーグの20年の入場者が1億人を超えました。ワールドカップの本番に出ることが当たり前のようになった。女子はワールドカップで勝てるようになった。すごい成果です
賀川:まずJのファンが増え、その底力の上に、代表が世界に向かうことになる。もちろん、代表の好成績はJの値打ちを高め、ファンの興味を高めることにもなる。いまはそれが比較的にうまくいっています。指導者層、それぞれのチームやカテゴリーのコーチのレベルも上がっているし、多くの子どもたちがサッカーを好きになる環境も整っています。香川真司のマンチェスター・ユナイテッドでの活躍は、日本サッカーのレベルアップを示すものですが、まだまだ十分ではありません。
――レセプションでいろいろ考えられたことがあるでしょうから、追々Jの20年について聞くことにします
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