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アルガルベカップ

2013/03/21(木)

――ポルトガルで開催されたアルガルベカップでなでしこジャパンは5位といういささか不満な成績でした。新しい代表チームを作り上げるために新メンバーの経験を積ませようとしたのでしょうが、試合内容もパッとしなかった。

賀川:もともとこの大会はヨーロッパの一番西にあるポルトガルの一番南のアルガルベ県一帯が気温温暖なのに目をつけたノルウェーの申し入れで20年前に国際親善試合が生まれたのです。

――20年前と言えばノルウェーは女子サッカー先進国でしたね

賀川:スウェーデンもそうだが、これら北欧は3月はまだ冬だから、この地方の暖かい気候が魅力だったのでしょう。なにしろ海の向こうはアフリカのモロッコですからね。

――それで1994年に米国、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、ポルトガルの6カ国が参加して国際大会を開催した

賀川:2002年には12チームが集まるようになった。12チームのうち、レベルの高い8チームがA、Bグループに分かれ、各グループ内の上位で優勝を争うことにして、ポルトガルを含むC組は下位リーグとしている。

――ポルトガルは男子はクリスティアーノ・ロナウドをはじめワールドクラスの選手をたくさん生み出し、ヨーロッパの競合のひとつだが、女子はまだ強いとはいえない。それでもこういう大会をするだけの数多くの芝生のグラウンドがあるのですね。それも大都市でなくてね

賀川:テレビを見ても、観客は少ないようですね。今年は風雨の強い日もあったが、親善試合で交代も6人できるということもあって、各国の代表強化の大事な大会となっているのです。日本にとっても一昨年はワールドカップの前に、昨年はロンドン五輪を控えて、いい経験の場となったね。

――佐々木則男監督は2年後のワールドカップ(カナダ)を目標にする代表の新しいスタートの場にしたわけですね。

賀川:今度のなでしこジャパンには澤穂希をはじめ宮間あや、大野忍、阪口夢穂たちを招集しないで、若い新しいメンバーを加えてきた。その合計23人のプレーヤーを、1次リーグ3試合と5位決定戦の合計4試合に全員をピッチに送り込んだ。ゴールキーパー人を含めてです。

――選手に経験を積ませるという意味ではまずまずですか

賀川:先述のベテランたちがもう必要ないというのではなく、将来に備えて新しい顔ぶれを実際に試合させようということと同時に澤や阪口、宮間たちがいなくても、これまでの中堅選手たちがどれだけやれるかを監督さんは見たかったのだろうね。

――賀川さんの評価は

賀川:DFは岩清水(3試合)、熊谷(4試合)のこれまでの2CDに長船加奈(仙台)が2試合に出場した。サイドはレギュラーで故障中の近賀ゆかりと3試合に出た鮫島彩に、加戸由佳(湯郷)、有吉佐織(日テレ)がそれぞれ3試合、2試合に起用されてまずまずでした。

――第1戦の対ノルウェーで2失点しましたが

賀川:これは相手の左サイドの攻撃に対して当方の右サイドの守りの相性が全く悪かったためで、これは5人の新顔を先発に起用したことで、むしろ采配ミスでしょう。

――監督さんもそう言っていましたね

賀川:日本の選手育成は個人能力、特にポジションプレーの向上ということに未発達な部門があります。男子代表が今度のイタリア人監督ザックさんになってポジションプレーという考えが強くなっているようですが、守でも攻でもポジションプレーの基礎ができなければチームワークは成り立ちません。

――MFは大ベテラン陣がいたところだったから…

賀川:今回もここが問題でした。守備的MFとしては田中明日菜(INAC)と宇津木瑠美(モンペリエ)が主力になり、攻撃的MFにはおなじみの川澄と高瀬愛美のINAC勢、田中陽子と中島依美の若手INACも起用された。若い2人はこれからの可能性が見えましたが、川澄と高瀬がこれまで実績があるだけにもう少し成長を見せてほしかったところです。

――FWではドイツにいる大儀見優季の評判がよく、小柄なドリブラー田中美南(日テレ)がドイツ戦でゴールしてヒーローになりましたが…

賀川:フランスのリヨンにいる大滝麻未は期待の割には働けなかった。フランスの試合でどれくらい出場しているのかな。大儀見の妹の永里亜紗乃は技術もあり、体がお姉さんのようにしっかりしてくれば…

――ゴールキーパーは187センチの山根恵里奈が2試合に出場し、これまでのレギュラー海堀と久野吹雪が1試合ずつ。

賀川:日本人の女子代表で初の180センチを超える大型ゴールキーパーですね。

――ということになると、今度は少し体格の点ではこれまでより少し大きくなっています。

賀川:それは悪くないが、日本のサッカーの特色であるボールテクニックの高さ、動きの早さという点でどうでしたかね。体格、体力という点ではヨーロッパ勢や中国選手に比べると見劣りしますが、技術と早さと運動量で買ってきたことを忘れては行けないでしょう。小さくても田中美南の早さがドイツ選手に通じていたのです。

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