FUJI XEROX SUPER CUP 2013
FUJI XEROX SUPER CUP 2013
サンフレッチェ広島 1-0(1-0) 柏レイソル
――いよいよJリーグ開幕です。2月23日のゼロックススーパーカップはいかがでしたか。Jリーグチャンピオンのサンフレッチェ広島が天皇杯優勝の柏レイソルを破りました。佐藤寿人のビューティフルシュートが評判になりました
賀川:広島のように選手の変更が少なく(山脇の浦和への移籍はあったが)クラブで育てた若い選手を上げてくるところはチームワークの良さは当然。したがって、シーズン初めの試合は有利になりますよ。日本の多くのチームの攻撃はまず組み立ててゆくことから考えているが、広島は佐藤にどう合わせるか、つまりストライカーを中心にパスや人の動きが組み立てられているのだから有効なのですよ。
――昔から賀川さんが言っていた攻撃の基本ですね。
賀川:もちろん個々の技術や戦術眼はJではトップクラスでも、世界の水準からゆけば、それほど高いわけではない。だから昨年12月のクラブワールドカップでももう一段上にゆけなかった。最後に佐藤寿人の所へ来る確率が高いのはそこそこのチームなら注意し、守り方を工夫しますからね。
――柏も昨シーズンでも戦って広島の特徴を知っていたはずですが
賀川:今回は水本の上りが効果的だった。左DFの彼はこのゴールシーンの前の時間のほとんどを攻撃に参加しないふうをしていた。そしてドリブルで持ち上がり、エリア内で相手に奪われ、ボールはバックパスでGK菅野孝憲にわたった。
――前半28分でした
賀川:このバックパスを菅野が蹴ったのがミスキックになり、中央左より30メートルで青山敏弘がいい出足で奪い、森﨑浩司に渡して自分は左前方へ走る。ボールは森﨑浩司から再び青山に戻る。
――柏のDFラインはペナルティエリアの前にほぼ横一列に4人がいて、左外側にもう一人の5人体制で、その前に3人が右寄りにいた
賀川:広島は先ほどドリブルで突っかけた水本がエリアいっぱいのニアサイドに、中央に佐藤がいた。青山は自分の左サイドにいる清水航平に手で合図して、相手の注意を外側に向けつつ、左足でクロスを蹴った。ボールはエリア外へ戻った水本の頭上に落ち、彼はそれをヘッドでゴール正面へ送る。
――それまで柏DF2人の間にいた佐藤が青山のキックの瞬間にバックステップでマーカーの近藤直也の外へ動き、水本からのヘッドでのパスを左足ボレーでシュートした。ボールは右ポストの内側に当たってゴールに入った。ゴールキーパー菅野は手を伸ばす時間もなかった
賀川:佐藤らしいシュートだった。
――テレビも新聞も、佐藤のシュートの見事さとシュートの前の動きのうまさを讃えていた
賀川:いいストライカーがいるとサッカーがどれほど楽しく、面白いものかという見本になる場面だが、その局面を広島のイレブンは自分たちで作り上げようとする工夫のあるところがとてもうれしい。見ているものもだが、プレーしている選手たちも、どうだ見てくれたかというところでしょう。
――ゴールキーパーのミスキックからと言っていましたね
賀川:この広島の得点の直前に柏のシュートチャンスがあったのを覚えているでしょう。それも広島のゴールキーパー西川周作のキックを奪われて攻め込まれたのを
――ふーむ。そうでしたか
賀川:前半の27分に広島のDFが西川へバックパスした。西川は止めて前方から詰めてくる相手を避けて右足でキックした。踏み込みが遠かったからボールを叩く力は弱く、ハーフウェイラインで相手がヘディングし、これが工藤にそのまま渡って工藤が右足でシュートした。正面だったから、西川には幸いだった。
――ゴールキーパーのキックが奪われたプレー。それも2分間の明暗ですね
賀川:ボールを取った位置の関係もあるのだが、柏は1本のヘディングパスで正面からのシュートとなり、広島は奪った後パスが一つ入ってのクロスとなった。そしてそのサイド攻撃に「あうんの呼吸」の連携があり、柏のゴールキーパーには絶望的なシュートとなったのですよ。
――だからサッカーは面白いと…
賀川:ついでに言うなら、2月6日のキリンチャレンジで私たちに馴染みの乾貴士が後半に登場したでしょう。
――何度も仕掛けて見せて、評判がよかったようです
賀川:彼のボールタッチは香川真司と同じく、もって生まれた才能を感じさせるのですが、左外から斜めに中へ入ってくるドリブルとその後のシュートとパスがもうひと工夫あってもいいと思いましたよ。ブンデスリーガのDFは真司のいるプレミアと比べると隙間があるように見えるが、それでもここしばらく乾のドリブルは相手に読まれているようにみえる。そういうなかで、少し格下のラトビアを相手にもう少し余裕のあるプレーを見せてほしかった。
――ザック監督の前で張り切りすぎたのかもしれませんね
賀川:関西からせっかくいいプレーヤーが育っているから、つい高い注文をするのかもしれないが、十分できる選手ですからね
――開幕を飾るゲームで両チームそれぞれチームカラーを見せて戦いました。2013シーズンも楽しみ多いものとなりそうですね
賀川:選手たちは少しでも個人力アップしようと心掛けているでしょう。そうしたプレーヤーや監督、コーチの努力で広島のゴールのような、いわゆる息の合ったチームワークによるゴールシーンをたくさん見たいですね。
固定リンク | Jリーグ | コメント (0) | トラックバック (0)
コメント