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2013年 年初に見た香川真司

2013/01/31(木)

――年末年始は風邪で寝正月とのことでしたが、新しい年のブログをぼつぼつ始めたいと思います

賀川:長期間のブランクにして申し訳ありませんでした。12月はFIFAクラブワールドカップも取材に行きましたし、年末年始のテレビもたくさん見ました。サッカーの話題の一杯の時期だったのですが…

――高校選手権はもちろん、女子の高校選手権も皇后杯となった日本選手権もテレビがありました。ヨーロッパの各国リーグも見ていたのですか

賀川:バルサの試合はやはり見ますね。レアルもですが、もちろんマンチェスター・ユナイテッドは香川真司がいるので

――最近の彼はどうでしょう

賀川:そうそう。トッテナムとのアウェー戦があったでしょう。先発で出場し、後半途中でウェイン・ルーニーと交代した。全体としてまずまずの感じでした。

――ファンペルシーのヘディングで先制し、終わりごろに追いつかれました。1-1。トッテナムの方が攻め込みも多かった。

賀川:ファンペルシーのゴールは香川が後方からのパスを小さく右へ振ってからの仕掛けになりました。右サイドから左へのパスがつながり、左から今度はウェルベックが中へドリブルして中央からまた右へパス、そのあと右からのクロスがファーサイド側のファンペルシーへ送られ、ノーマークでヘディングでゴールが決まったのです。

――ゆさぶりがよかった?

賀川:右から左へ、左から右へ、そして右からクロスというようにゴール前でボールがサイドからサイドへ動いた。そしてウェルベックのドリブルがあってスパーズの選手の目はボールを追うことになり、その後右からクロスが来たときにはファンペルシーがポジションを外へずらしてノーマークになっているのに気がつかなかった。その最初の攻めの前の「つなぎ」のパスを出したのが香川です。アウトサイドを使った簡単に見えるパスだが、このボールで受ける側に少しのフリーの時間が生まれ、余裕を持って次の展開ができたのです。

――真司のパスのうまさが発揮された

賀川:この日の彼のパスはやはり丁寧に仲間の取りやすい位置へボールを流し込んでいた。トップ下の位置にいて、パスの経路も強弱も好調時に戻っているようでした。テレビ解説の早野さんの言っていたとおり、ゴールに絡むためにもっとシュートをすれば、という感じはありましたが…

――守備でも働いていた

賀川:競り合いにも負けず、ファウルも取られたし、ユニフォームを引っ張っているところも見られた…つまり接触プレーでもかなりがんばっていた。

――9月のトッテナム戦ではその点が弱い感じでした

賀川:トッテナム・ホットスパーズ、通称スパーズはプレミアリーグらしく体格のいいプレーヤーが多く、ロンドンの古いクラブでプレーも激しい。9月のホーム戦では香川がボールを奪われるところもあった。今度も2回くらい取られていたが、前よりは少しよくなっている。点に絡めないのは、香川のプレーへの周囲の理解が進んでいないのか、彼自身の仲間への要求や話し合いがまだ不十分なのか…

――シュートが外れた場面もあった。エリア内での彼からのバックパスのシュートチャンスでつぶされたこともあった

賀川:ルーニーやファンペルシーは彼のプレーを理解し、パスのやりとりは上手だが、けがで休んだこともあり、誰とでもうまくいっているとは限らない。

――ユナイテッドはメンバーも多く、攻撃陣のMFの組み合わせも多様ですからね

賀川:それでもベンチ観戦の選手から見ても、香川のパスのうまさは理解できるはずだから、仲間とのコンビネーションはもっとよくなるでしょう。シュートの外れ方を見ると、ゴール前でのプレーの回数が少ない、という感じですね。チームでの練習が増え、試合での出場も増えれば「やはり香川」というプレーが見られるでしょう。

――トッテナムは日本にも来たことがありますね

香川:1971年の黄金期に来日して、神戸と東京で当時の(アマチュアの)日本代表と3試合して全勝した。体格がよくて、実力ある選手がそろっていた。GKにパット・ジェニングス(北アイルランド)、MFには70年のワールドカップでペレのマーク役だったイングランド代表のアラン・ムレリーと若いスティーブ・ペリマンがいた。彼は後に日本で監督をしたこともある。攻撃にアラン・ギルジーンやマーチン・チーバースといった大型で技術もしっかりしていたFWがいた。ビル・ニコルソン監督が1958年からずっと見ていた時で60-61シーズンにリーグとFAカップの2冠を取り、71年もリーグカップで優勝していた。ホームスタジアムの通りにビル・ニコルソンの名がついているらしい。

――大監督ですね

賀川:そうだろうね。彼とパット・ジェニングスはイングランドのサッカー殿堂入りしていますよ。

――当時の日本代表は

賀川:病気からようやく回復した釜本邦茂に杉山隆一、宮本輝紀などメキシコオリンピックの銅メダル組もほとんどがまだ代表にいた。スパーズとの3連戦は神戸で0-6、東京で2-7と0-3というスコア。日本側の得点は杉山と釜本の二人だけでした。

――20年後の1991年にもスパーズは来日しています。日本代表が4-0で勝ちました

賀川:日本が進歩したこともあるが、20年前のチームに比べると、この時のスパーズはいささか見劣りした。

――100年以上の長い伝統を持つイングランドのトップクラブと30年前から交流があったのですね。いまや日本選手がその名門中の名門、マンチェスター・ユナイテッドに加わる時代になりましたね。

賀川:プレミアだけではなく、イタリアでもドイツのブンデスリーガでもオランダやベルギーのリーグにも日本選手がいます。彼らのヨーロッパでの活躍や成長がますます楽しみになりますが、同時にその働きぶりから世界基準のプレーが見えてくるでしょう。

――Jリーグの開幕が近づいてきました。代表のキリンチャレンジカップも2月に神戸で予定されています

賀川:2013年のサッカー界はいよいよ忙しく、いよいよ楽しくなるでしょう。

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