秋の日本サッカー 香川真司はWORLD SOCCERの表紙に
――日本代表のワールドカップブラジル大会予選は9月の対イラク戦1-0で、まず5チームリーグの前半を終わり3勝1分でBグループの首位に立ちました。なでしこジャパン、U-23代表と、そしてU-20ヤングなでしこのメダルという夏の好成績の後、いよいよJリーグの終盤の決戦が続き、代表は10月中旬のヨーロッパでの対フランス、対ブラジルが注目されます。
同時にまた、ヨーロッパでは2012-2013シーズンに入って、イングランド、イタリア、ドイツでの日本選手の働きも気になるところです。
賀川:しばらくごぶさたになってしまいました。ヨーロッパでの日本選手のプレーぶりはそのまま代表チームにつながることもあって、Jリーグと同様にメディアの扱いも大きくなりました。
――テレビ欄で、香川真司という文字が頻繁に出てくるようになりました
賀川:マンチェスター・ユナイテッドでは、ウェイン・ルーニーが復帰してきたので、いよいよこれからが香川真司の働きの見せ所でしょう。ファンペルシーとルーニーというストライカーと真司の組み合わせはワクワクしますね。
――取材に行きたいところですね
賀川:体がきいて、時間に余裕があればね。私の今の夢のひとつは、オールドトラフォードでボビー・チャールトンやデニス・ローとともに、真司のプレーを眺めることです。
――真司にとっての2人のユナイテッドの大先輩と並んでですか
賀川:かつて訪れた時に、ここのスタンドにはボビー・チャールトン用の席があると当時の会長から聞きました。試合を見ながら、彼らの真司に対する意見を聞かせてもらえば、と想像するだけでも楽しくなります。
――ドイツにはずいぶん多くの日本選手が移っていった。それがまた、開幕早々から評価が高いようです
賀川:ヨーロッパでのプレーはなかなか大変でしょう。スタートで評価が上がるとは、とてもいいことだが、問題は試合を重ねるごとに、いいプレーを続けてゆけるかどうかでしょう。
――宇佐美がドリブル突破でゴールを決めたとか
賀川:自分の持ち味を見せられるようになったのはとてもうれしいことです。彼の速さは相手によくわからないところがあるのだが、まあこれからです。ドリブルだけでなく、清武や香川と同じようにボールをしっかり蹴れるところが有望視されるのだが、体力をつけ、守備で働くことがそれほど苦にならなくなれば、周囲からも信頼されるでしょう。
――清武は
賀川:パスのセンスと言う点では、ドイツの選手の水準を超えているでしょう。自分でゴールを決める意欲がつけば、真司と同じように人気が高まるでしょう。中距離パスや高く上げて落とすといった、チームメートにあわせた長い球、高い球も蹴ることができるので、評価はもっと高まっても不思議ではないでしょう。
ヨーロッパで成功するためには強い体が大切ですが、キックの技術をその時、その場で使い分け発揮できることが何よりです。もちろん、キープ力、ドリブル力も大切だが…
――乾がゴールを連発しています
賀川:テレビでドリブルシュートの場面を見ながら、長居でのプレーを思い出しました。直線的で、間合いの取り方がとてもいい。体が強くなって、急によくなったと思ったら、ドイツに移りましたね。縦に抜いて出る鋭さは別格です。その後のシュートの時に、冷静さがつけばという感じのドリブラーでした。右足のシュートは小さな振りでも蹴るし、変化がありますよ。ドイツの各チームのディフェンダーが彼の得意の形を知って、片側を抑えにかかった時にどうするかでしょう。自分の工夫で切り抜けてくれるでしょうがね…
――真司がここまで評価されるとみていましたか?
賀川:8月にロンドンで発売されたワールドサッカーの9月号の表紙はSHINJI KAGAWAでした。彼のプロフィールに6ページを使っていますよ。2007年のセレッソ大阪がJ2の時代からの得点記録や、ドルトムント時代、そして代表を含めてきちんと表示されています。立派な内容ですよ。
――そういうヨーロッパ組のためにも今度のフランス戦、ブラジル戦は値打ちがありますね。
賀川:ザッケローニ監督は、これまで作ってきた代表チームについて、ある程度の自信を持っているだろうが、アジアではボールポゼッションで優位に立てても、ヨーロッパの上のクラスを相手にするとどうなるかです。もちろんどこと戦うにも日本チームの敏捷さを生かすための動きの量や、個々の技術の組み合わせを高めるのは当然です。まず、大づかみにヨーロッパ組を含めて日本代表が世界のどの位置にいるのかを見てみたいと考えているはずです。
――もちろん当日の調子にもよりますが
賀川:相手をふくめて、サッカーはそういうものですが、それでも代表がフランス、ブラジルとの試合を経験することで、選手もチーム全体も監督やスタッフも多くを会得することができるでしょう。
――勉強ではなく勝つ気でね
賀川:試合する以上、当然です。私が今サッカーマガジンで連載中の日本とサッカーの90年で、ちょうど68年メキシコ五輪が終わったところですが、そのころの選手たちは今よりも国際経験も少なく、技術も低かったが、ブラジルのパルメイラスであっても、イングランドのアーセナルであっても、とにかく勝とうという意欲で試合していた。大抵は負けはしたが、技術や経験が上の相手にも何とかして勝ちたいと挑んでいた。それを横から眺めながら、分不相応と思うこともないではなかったが、その努力がやはり上達につながり、いまだに男子オリンピックで破られない記録になっているのですよ。
――いまや、こちらもプロフェッショナルですからね
賀川:そういう意味でも、ヨーロッパでの2試合のテレビはとてもサッカーファンの楽しみになるでしょう。もちろん週末のJリーグの激戦も見逃すわけにはいきません。
――浦和、柏の激戦をはじめ、エキサイティングな試合も続いています。これからはそちらの面白さも語ってもらうことにしましょう。そうそう、女子リーグも上向きになったと言っていましたね。これについても機会を見て聞かせてもらいます。
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