« 驚きのカウンターゴール | トップページ | 個人の決定力 パウリーニョのトーキック »

バルサ・レアルのクラシコから(続)

2012/10/18(木)


賀川:1-0の直後にレアルは2点目を取る大きなチャンスがあった。

――再開のキックオフの後、バルサが自陣でDFが横パスの交換をしていた時に、CDFがボールを止めそこなって、ロナウドに拾われてしまった

賀川:ハーフウェイラインから10メートル入ったところで、ボールを取ったロナウドは一気にドリブルした。ミスをしたマスチェラーノがなんとか防 いだが、レアルはこの左サイドのスローインから、ボールを後方へ戻して、シャビ・アロンソがセンターサークルのペペへパスをし、ペペから右のアルベロアへと展開
した。
(1)そのアルベロアが7メートル前方のケディラへ縦パスを送るところからレアルの仕掛けが始まる
(2)ケディラは止めてすぐ、右タッチライン際にいるディマリアへ。
(3)ディマリアは前方やや内側のエジルへ。
(4)エジルは内にトラップし、自分を追い越して前へ出たケディラへ。
(5)ケディラはペナルティエリア右外ゴールラインから7メートルの地点で、このボールをダイレクトで中へ
(6)エリア内に走りこんできたエジルが受けて、左足でゴール正面のベンゼマへパス
(7)PKマークの近くにいたベンゼマが、このボールをダイレクトシュート
(8)ボールはGKバルデスを抜いたが、右ポストに当たる
(9)そのリバウンドをディマリアが走りこんで右足に当てたが、ボールは右ポストの外へ外れた

――ノーマークシュートをポストに当てたベンゼマは頭をかかえていました

賀川:守備のしっかりしているぱずのバルサがレアルの攻めで誰もボールに触れることなく、フィニッシュまで持っていかれている。とても珍しいこと だった。

――モウリーニョ監督は、イグアインよりもベンゼマをファーストチョイスにしているというのに

賀川:こういう長身プレーヤーには、案外難しいシュートだったのかもしれない。右足インサイドで、あののけぞるような姿勢では、ボールをきちんと 叩いていなかったのだろう。彼本人にもレアルにもとても惜しいチャンスだったが、高額収入のトッププロでもこうした瞬間があるということ。まるで 無抵抗に見えたバルサ側にも、言えることですがね…
――だからサッカーは面白い

賀川:大ピンチを逃れた後、バルサがボールポゼッションを高め、攻め続けて同点ゴールをもぎ取る。

――ダニエル・アウベスがモントーヤに交代しました

賀川:足を痛めたとか。そのアウベスの表情がテレビに映った直後、右からのペドロの速いクロスからのバルサのゴールが生まれた。前半31分だっ た。

――このバルサの得点に至る攻めの始まりはハーフウェイラインでのFKからでした

賀川:そのFKのボールがブスケツを経由してメッシに渡る。
(1)メッシは相手側センターサークルから左へドリブルし、左サイドに渡して短いパス交換の後に
(2)再びボールが中央にもどり、今度はシャビが受ける
(3)シャビは短くドリブルし、右のイニエスタへ
(4)イニエスタは右外のペドロへ
(5)ペドロはこのボールをダイレクトで蹴り、強いクロスを送る
(6)ボールはセルヒオ・ラモスの足に当たり、さらにシャビ・アロンソに当たって高く上がる
(7)ペペがジャンプしてヘディングしようとしたが
(8)ペペの体制は悪く、ヘディングできないまま落下して倒れ
(9)ゴールエリアぎりぎりに落下しバウンドするボールにメッシが走り寄って左足ボレーシュート。カシージャスの左を抜いた。

――きれいなパスワークからのゴールではなく、ペドロの強いクロスが相手DFに当たったリバウンドをメッシが取ったという形

賀川:ペペのジャンプの踏切りがよくなかったのかどうか。空中でバランスを崩してヘディングできなかったのが分かれ目となった。ただし、こういう異変の起こったところへ走りこんでくるメッシの早さと、ボール処理の的確さは彼が優れたストライカーである証左と言えるでしょう。私たちはワールドクラブカップの決勝でも、彼のすばやいダッシュと「胸のシュート」に感嘆したことがある。このゴールもドリブルシュートやFKでの妙技とは別の「メッシの飛び込みゴール」ともいうべき系譜に入るのだろうか。

――同点にしてからバルサの攻勢は強まったが、ゴールは生まれず、1-1で前半を終わり、後半はじめはレアル・マドリードの攻撃が目立った。

賀川:9分にはロナウドのFKのチャンスもあったが、壁に当てた。この後からバルサが勢いを取り戻して攻め続ける。

――16分にメッシが倒されて、いい位置でのFKとなった

賀川:セルヒオ・ラモスがドリブルするメッシにタックルに行って、トリッピングになった。ペナルティエリア外約9メートル正面の中央より少し右に寄ったところにボールが置かれた。マドリード側はペナルティエリアのライン一杯に5人が壁を作り、その横にバルサ3人が並んだ。

――短い助走でした。

賀川:3歩だったかな。左足でとらえたボールは壁を越え、カーブしつつ右ポストいっぱいに飛び込んだ。

ゴール裏のカメラの映像はジャンプしたレアルの白いユニフォームの壁、中央の6番ケディラの上を越えたボールがゴールに飛び込むのをとらえている。バルサの3人が壁に並んだことで、GKカシージャスからはキックの瞬間が見えていなかったかもしれない。カシージャスがジャンプし、伸ばした手よりも早く、ボールはゴールラインを通過した。

――パーフェクトはFKですね。

賀川:彼にとって得意の距離だったのだろうね。プレースキックはメッシの大きな武器ではあるが、こういう大試合で決めるところがやはりメッシということでしょう。倒された時にセルヒオ・ラモスにイエローカードを出すべきだとレフェリーにジェスチュアをしていた。すでに1枚もらっている彼にはカードは出なかった。

イエローをアピールするメッシを見ながら、こういう気持ちの昂ぶりもまた彼のキックへの集中力になっていくのかなと思ったりしましたよ。すごいプレーヤーですね。

――リードされたのを追いつき、勝ち越したバルサがいよいよ有利になったと思ったら…5分後にレアルが2-2にしました。

賀川:1-2となったレアルは、再開キックオフの前にベンゼマをイグアインに代えた。そのイグアインがいきなりブスケスを倒した。

――前からの守備をしっかりしようということですね。

賀川:左から攻めたレアルがエジルのクロスから左CKをとった。そのCKのときにロナウドがオーバーヘッドのキックにいって、空振りし、左半身で落下する場面があった。

――リードされて奮い立ったという感じになった

賀川:ロナウドのオーバーヘッドキック直後のカシージャスのキックから始まった
(1)右サイドの攻めが行き詰まって、ペペが長いバックパスをGKカシージャスに送った。ハーフウェイラインのレアル側には白いユニフォーム3人とバルサの赤が4人いた。
(2)ペナルティエリアの外10メートルあたりにボールを運んだカシージャスはそこから左足でロングボールを蹴った。
(3)ボールは相手のペナルティエリアとハーフウェイラインの中間、中央やや右寄りに落下し、そこでの奪い合いをレアルが制し、トップ下の位置にいたエジルにボールが渡った。彼の右前方にイグアイン、左前方ぬにロナウドがいた。
(4)ロナウドが右前方からバルサのDFの内へ走りこむタイミングをエジルは逃さずに左足でパスを送り込む。
(5)バルサのCDFラインの間を通ったパスはペナルティエリアへころがり
(6)PKマークのいすぐ手前でロナウドがこのボールを右足でシュート。GKバルデスの右を抜いた。

――低い位置でのカメラのリピートを見ると、ロナウドはオフサイドぎりぎりであってもオフサイドでないこと、そしてエジルは深い角度のキックで2人のCDFの間を通すスルーパスを出しているところを映し出しています。

賀川:昨シーズンの終盤のクラシコで右タッチ際からエジルが裏へ出して、中央を走ったロナウドが決勝ゴールしたのを覚えているでしょう。今度のホットラインもエジルの左足のパスのすごさと、それをゴールに結びつけるロナウドの実力を見せつけましたね。

――カシージャスはこういう場面を想定してロングボールを蹴ったのでしょうか

賀川:少なくとも、両チームの状態を考えれば、この場面ではつないで攻めるよりも、相手のゴールに近いところに高いボールを送ったほうが得だと考え、そのためにキックの位置を上げたのでしょう。後から思えば、メッシが2点目を決めたFKの位置に近かったのも面白い符号だったが…

そのカシージャスの意図を生かして、ボールの落下点での奪い合いを制したケディラたちの3人の強さ、競り合いの中で短いパスを、信頼するエジルに預けたところなどもやはりバルサと違った形のチームワークでしょう。

固定リンク | 世界のサッカー | コメント (0) | トラックバック (0)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/222697/55917906

この記事へのトラックバック一覧です: バルサ・レアルのクラシコから(続):

コメント

コメントを書く