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FIFA U-20女子ワールドカップ 準決勝 U-20ドイツ女子代表

2012/09/09(日)

ヤングなでしこ 0(0-3)3 U-20ドイツ女子代表


◆静かに闘志を燃やしていた?ドイツ

――完敗でした。ドイツ強しでした

賀川:不勉強でこれまでドイツのU-20代表を見たことがなかったが、リーグの運営も選手育成組織も世界で一番しっかりしているドイツのこと、まして女性だからドイツの今度のチームは強いだろうと勝手に想像していた。

――で、そのとおり

賀川:というより、最初彼女たちがピッチに散って、キックオフしボールを何人か触った時、いい選手たちだ、これこそヤングなでしこにとって全力で戦える相手だと思った。

――負けるとは?

賀川:というよりも、うれしかった。先制ゴールを取られた時もまだそういう気持ちだったが…

――いい相手どころか、いきなりガツンとやられて、こちらは縮んでしまった

賀川:そういえばキックオフ前にテレビがピッチに入場する直前の選手たちの表情を映していたでしょう。その時、ヤングなでしこたちは互いにおしゃべりし笑い合っていた。遠足にゆく感じに見えた。それを見ながら強敵を相手に彼女たちは気持ちを高めるのにこういう形をとるのかとか、あるいはこういうものを平常心と思っているのかな、などと思いました。

――というと

賀川:相手のドイツのU-20たちは皆黙っていた。互いに話もしていなかった。日本選手の笑いさざめくのにチラリと目をやるものもあったが、大半は知らぬ顔をしていた。その対比がとても面白く、また不思議だった。

賀川:準々決勝の韓国戦の時もやはりスタンド下の通路で日本選手たちはおしゃべりし、笑い合っていた。韓国もそれに対応するように、何やら互いにおしゃべりしていたのを思い出した。

――90分後のドイツは抱き合って喜びあい、日本は涙にくれた

賀川:そういう試合のあとさきの情景はともかく、試合はスタートからドイツ側の思い通りだったといえるだろう。

――なにしろ1分以内のゴールですから

賀川:このゴールの発端は、日本の左サイドでドイツ選手が3人がかりで猶本のボールを奪うところからですよ。ひとりが持ち出して、マロジャンにパスした。14番をつけた長身のストライカーです。彼女は後方からのボールを戻るようにして受け、藤田が奪いに来るのをかわして前方へいいタイミングでスルーパスを送った。ボールは日本のCDF土光の右側を通りDFラインの裏へ。それをロイポルツが後方から走り抜けて取り、右足シュートをゴール左下隅へ決めた。ロイポルツは自陣センターサークルにいたのだが、猶本のボールを仲間が奪うと、タイミングを計りながら前進し、ボールを注視していた土光の背後を走りあがったから土光は気づくのが遅かったと思う。

――先制されガクッときた日本はしばらく立ち直れなかった

賀川:事前にどれだけ情報を取り、それの対応策をどれだけ工夫したのかな。頭の中の工夫でなく、たとえば4日の間に接触プレーなどを実際にしたのかなということもある。

――たとえ付け焼刃でも

賀川:自分より大きい相手が早いぷレッシングに来る。予想より早い強い動きにとまどう、ボールを取られる、いつもなら取り返せることもあるが、相手はしっかりとキープしてしまう。いや、キープよりもどんどん突っかけてくるので混乱する――ということになる。

――気がついたら0-3になっていた

賀川:それほどでもないだろうが、何とかしようと思っても、これまでは自分たちが仕掛けて勝ってきたのが、受け身になってしまうと弱点が出てくる。こういう時にはそれが積み重なる。

――日本が少し攻める時間帯も出てきたが、12分過ぎに2点目を取られました

賀川:五分五分の攻め合いという流れのなかで、相手のマロジャンのシュートがあり、それを土光が体に当てて防いだ。そのリバウンドを左DFの浜田が前方へハイボールを蹴った。西川を狙ったのだろうが、相手ボールとなりタッチライン際からロングボールが返ってきた。このボールを木下がヘディングに失敗し、ワンバウンドしたボールをマロジャンが蹴って前進したGK池田の上を抜いた。長身の彼女に気を取られて木下がボールの落下点の目測を誤ったのだろうが、それまでハイボールを使っていなかったドイツが、日本が高いボールを蹴ったのに反応して後方からハイボールを蹴ったという感じだった。

――ハイボールの応酬がマロジャンのタナボタのようなゴールにつながった。

賀川:身長差がそのまま出る日本にとっては実に防ぐに難しく、相手にとっては誠にやさしい2点目だった。

――3点目はCKからのヘディングで、相手の得意の形でした。

賀川:先制ゴールの効き目もあるだろうが、自分たちの方が上手だと思っていた、その技術がなかなか通じないのは、選手たちの立ち直りを遅くしたのだろうね。


◆個人力アップとチームワーク向上の両方を

――後半は攻めたが、ゴールにはならなかった

賀川:ドイツは走力も落ちなかった。なでしこが勝つには技術と走力が相手以上でないと難しい。

――相手側に対する準備は

賀川:日本側もドイツの試合のビデオを見てはいたようだが、まず走り勝つという気構えが必要だったかも。

――もちろんそれを実行できるコンディション調整がどうだったか、ということになるが
賀川:こういう相手とほんとうに全力を出し切る試合をしてほしかったとも思うが、こういう負け方をして、その悔しさをバネに、もう一度自分たちの素質や技術を見直すチャンスを得たと思うこともできる。通用したプレーもあったのだから、個人力アップに努めてきたこれまでのキャリアの上に、チームゲームとしてのサッカー、個人技をチームでどれだけ役立たせるかを工夫すること、そしてこれまでと違って不得手なプレーの克服をもう少し考えることだろうね。

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