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FIFA U-20女子ワールドカップ 準々決勝
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2012/09/03(月)

――3点目も右からの崩しでした。

賀川:この崩し方というか、右からの攻撃展開は相手のペナルティエリア内深くに侵入したもので、前回も話した3/4世紀も前の私の神戸一中のころから現代のサッカーのトップにあるバルセロナに至るまで古今東西のサッカー攻撃の典型的な形です。もちろん、それぞれのレベルでの速さやプレーの精度は違いますが、考え方としては最もゴールになりやすい、守備側からすれば最も嫌なところを突く攻めなのです。

――30分過ぎに日本側にもピンチがあった。右CKから相手のシュートを2度続けてGK池田が防いだ。ここで奪われていれば韓国は勢いづくのだが、、、

賀川:その後、日本にビッグチャンスが来た。右タッチ沿いで高木が後方からのパスを受けたところから攻撃が始まった。

――韓国側は30メートルあたりに4人のDFがラインを整え、その前10メートルに第2防御線の4人がいた。

賀川:(1)高木は自分の前のスペースへパスを流しこみ
(2)それを内側から外へ走って田中美南がキープした
(3)得意の右アウトサイドを使ってボールを止め、後方を向いて3人に囲まれながら右アウトサイドで内側の高木へ短いパスを送った
(4)誰もいない空白地帯で受けた高木は
(5)内側から奪いにくる一人をかわしてペナルティエリアに入り
(6)斜め中へドリブルしてゴールエリアいっぱい、ゴールライン1メートルから中へ強いパスを送った
(7)このパスに西川が相手のDFに絡まれながら飛び込み
(8)ゴールキーパーを含めた4人の前を通ったボールを
(9)ファーサイドのポストの前、ゴールエリアのライン上で田中陽子が右足インサイドで押し込んだ

――高木、田中美南の変形ワンツーパスから高木の突進、そしてポスト近くからのクロス、それを一人がニアに飛び込み、もう一人でファーに詰めるという、まさに原則通りの形でした。

賀川:最初に高木がボールを受けた位置もよかったし、厚くみえる守りを外側から崩していく手順もスピードもタイミングも理想的に運んだ。

――3−1となったが、日本の選手たちは油断はしなかった

賀川:私と同様選手たちは韓国選手たちの粘りとファイトをよく知っている。試合の前に友人から訪ねられた時に私は、両方の「がんばり合いになる」と話した。どういう形になるにせよ、1対1のボールの奪い合いは激しくなる。その時に韓国側は気迫がこもるとともに、ファウルも増える。ホールディング(腕で抱きかかえる)、プッシング(手で押す)、もちろんトリッピング(足をかける)なども増えるだろう。特に手を使う反則を普通にビシビシととるかどうかで、ずいぶん試合の流れに影響すると言っておいた。

――レフェリーはどうでした

賀川:きちんと処理していたようにみえました。

――それでも後半は彼女たちの勢いに日本側はタジタジとなった

賀川:これは日本側の弱点などというのではなく、こういうときの韓国との試合は押し込まれて当たり前なのです。それが韓国の強みなのですよ。しかし押し込まれてもこちらも粘り強くマークをしっかりし、その局面での対応をしっかりすれば、それほど崩されることはないのです。

――こちらの士気を維持し、疲れた体を動かせるのは?

賀川:そういう時に3−1の2点のリードが大きくプラスになります。だから私は昔から2点のリードを奪うための得点力が第一だと言い続けているのです。私たちは少年期からそういう戦いをして、勝ってきたのですから。

――今度の準々決勝はうまくいくと

賀川:U-17のときの悔しい体験をしたものが何人もいるということが、いい体験として生きていると思います。もちろん監督、スタッフもそうでしょう。しかし大会で勝つには相手は韓国だけではありません。

――ベスト4以上となれば、さらに高いレベルの相手となるかもしれません。

賀川:選手たちは運動量とともに、さらに一段上のレベルのプレーをすることになります。ここでホッとすることなく、彼女たちが培ってきた技術、体力、精神力を結集する準備が必要でしょう。準決勝で日本のファンは新しい女子サッカーの魅力を知ることになるだろうし、プレーする彼女たちも新境地へ踏み込んでゆけると思います。

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