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ロンドンオリンピック準決勝 メキシコ代表戦(前半)

2012/08/09(木)

U-23日本代表 1-3(1-1)メキシコ代表


◆まだ銅メダルのチャンスがある

――先制ゴールを奪いながら負けてしまった。金メダルをめざすという望みは消えて3位決定戦で韓国と対戦することになりました。

賀川:金や銀でなくても、まだ3位のチャンスも残っているのですよ。サッカーの母国でアジアの日本と韓国が3位を争うのは両国のためにもアジアのためにもすばらしいことでしょう。ヨーロッパの人たち、世界の人たちに東アジアにこんなに優れた二つの若いナショナルチームがあることを見せてほしいですね。

――そのためにもまず準決勝を振り返りましょう。試合は最良の教師でもあるとデットマール・クラマーさんも言っていますからね。U-23日本代表は何がよかったのか、何が不足だったのですか。

賀川:試合を流れを見ながら話を進めましょうか。心配された永井がスターティングラインナップに加わったのはよかった。回復ぶりは明らかでなかったが、90分フル出場だった。ただし、これまでの“躍動感”には遠かったと思う。

――彼の速さは攻めにも攻撃的防御にも効き目があった。それが体調不十分とは。

賀川:メキシコがはじめ5分間攻め、そのあとこちらが攻め返した。パスはつながってもスルーパスは通らない。パスそのものが悪いこともあるが、メキシコの守備ラインが後退しているので、裏のスペースが小さいこともあった。永井を警戒してのことだろうね。

――広いスペースに走られるのを嫌がった?

賀川:前半12分の大津の先制ゴールはその引いて守っている守備ラインの前で仕掛けた彼の会心のゴールでしょう。

――パスがよくつながりました。

賀川:永井に対するFKを後方に戻し、そこから再び永井に出て、東にわたって、彼から左サイドにいた大津にまわるというのが攻撃のスタートだった。
(1)大津は東にパス
(2)東~扇原~山口~扇原~徳永とつないで、左外の徳永から
(3)内側の東にパス
(4)その間に大津は東の内側、つまりゴール正面やや左のペナルティエリア外側に移動していた
(5)そして東からのパスが来て、大津はためらうことなくシュート体勢に入り右足で強く叩いた
(6)メキシコのDFはペナルティエリア前に3人いたが、近くの永井を警戒したのだろうか、あるいは大津のシュートを予測しなかったのか、誰も大津を妨害しようとしなかった。

――20メートルほどのすごいライナーがゴール右上に突き刺さりました。

賀川:大津はこのU-23代表のなかではめずらしくインステップ(足の甲)でシュートする選手ですよ。

――近頃の日本ではシュートをインステップで蹴る選手が少なくなってきたと前にも言っていましたね。

賀川:このことはロンドンが終わってから話した方がいいと思う。私たちの神戸一中で日本スタイルのサッカーの原型とも言うべきショートパス攻撃を始めたことは歴史上の定説で、そのショートパスで大切なのはサイドキックだった。それはいまも変わらないはずだが、近頃はシュートにもこれが多いということです。そんななかで、大津はインステップで叩くというシュートの基本の形を持っている選手です。

――小さなバウンドが落ちたところを見事にとらえたすごいシュートでした。

賀川:1点を奪われてもメキシコは気落ちの様子はなく、どんどん攻撃を仕掛けてきた。

――そして31分に彼らの同点ゴールが生まれた。右CKからでした。

賀川:左利きのドス・サントスが蹴ってニアポストのエンリケに合わせ、ゴール正面へ落ちてきたボールをファビアンが頭であわせた。ニアポスト側に永井、吉田、酒井と3人いたが、ボールに触れたのはエンリケ、ファビアンは徳永の前に入っていて、彼らには計算通りだっただろう。

――ドス・サントスはドリブルもうまいがこの短い助走で蹴ったやわらかいニアポスト際へのクロスを見るとキックも一流ですね。

(続く)

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