ロンドンオリンピック スペイン代表戦(後半)
――後半は相手が10人だからもっと楽になれると思ったのですが苦しい試合でした。
賀川:前半のタイムアップ直前にもプレッシングからゴールのチャンスがあったが、得点できなかったけれど、後半への期待は高まったのは確か。
――相手が10人だからこちらへのプレッシングが少なくなる。宇佐美を出して、得意のドリブルで数的優位をさらに増やすということは考えなかったのですかね。
賀川:そう思った人もあるでしょう。調子がどうか、メキシコ戦の前半には動きが悪く、後半に齋藤学に代わってしまった。
――その齋藤が故障した大津に代わって投入された。
賀川:キックオフから前の選手は相当な運動量になっている。スペイン選手との接触で痛めつけられてもいる。試合の形は10人のスペインがゴールをキープして攻め、それを11人の日本が防ぐという面白い形が続いた。
――10人が攻めてくるから、11人の方のチャンスは増える。
賀川:こちらのシュートチャンスの後に相手の攻めがあって、全てスリル満点でした。スペインとすれば、なんとか同点にして勝ち点1と考えたのだろう。
――25分、酒井宏樹が左足を痛め、いったん場外へ出て戻りはしたが、またダメとなって酒井高徳が入った。
賀川:こうなると、監督としては攻撃的な選手を入れて、もう1点を取るというよりも次のけが人のことも考えなければいけないし、むずかしくなったね。
――スペインも結構ファウルしますからね
賀川:このごろのバルサのプレーからサッカーの技術大国スペインという印象が強いが、かつては激しいプレーで有名だったからね。
――EURO2012のイタリアの決勝でもイタリアのお株を奪う激しいファウルもありましたね。
賀川:1982年にバルサに移ったディエゴ・マラドーナがファウルで半年間プレーできなくなったこともあるところですよ。その気になれば、ずいぶん激しいプレーもしますよ。
――あと10分というところで、スペインは3人目の交替を入れた。ともかく点を取ろうとする気迫はすごいですね。
賀川:日本の守備はこの試合ではほぼ完璧に近かった。吉田、鈴木、徳永が落ち着いていた。あと5分のところで扇原に代えて山村和也を入れて逃げ切りを図った。
――その直後に永井が再び突破してノーマークシュートした。左足で蹴ってGKに当たってCKになった。
賀川:これだけのチャンスをつくって、点が取れないとチャンスをつくったことより決められない方が記憶に残る。せっかく攻撃陣がすごい働きをし、守りに大貢献したのだから、もう1点取ってほしかったのだが、、
――シュート力不足ですかね
賀川:これについては、別のところでも既に触れているが、まず今日はこれだけの重労働をしたのだから、別の機会にしましょう。そう、タイムアップ前に山口がノーマークになって、ボールにつまづいくようにシュートミスしたが、ぼくは山口が力を振り絞って相手ゴール前まで出て行ったことに感心したね。
――グラスゴーのスタジアムに集まった観客は10人対11人の力を出し尽くした試合を見て、そのゴール前からゴール前のスリルを十分に味わってくれたのじゃないですかね。サッカーの母国でのオリンピックの人気盛り上げにもとてもよかったと思いますよ。
――第1戦で勝ち点をあげた後、次の第2戦が大切ですね。
賀川:そう。アトランタ五輪でブラジルに勝った後、第2戦のナイジェリアに敗れましたからね。ナイジェリアはブラジルに勝った日本というのではじめは警戒していたというより、ビビっていた感じがあったのに、こちらも消極的になって負けてしまい、このため第3戦に勝って2勝しながらグループから抜け出せなかったこともある。
――68年のメキシコ五輪はナイジェリアに3−1で勝ったあと、次のブラジル戦は0−1でリードされながら、1−1の同点で引き分けた。これが効いて次のスペイン戦も引き分けて準々決勝に進みましたからね。
賀川:サッカーは何が起きるかわからない。次の試合、しっかり戦ってほしい。けが人もあり、疲れもあり、ここからが正念場です。モロッコ戦を期待しましょう。
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