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キリンチャレンジカップ プレビュー

2012/07/10(火)

――ロンドンへの壮行試合としてなでしこジャパンとU-23代表の試合が同じ日に東京国立競技場で開催されます。

賀川:第20回ロンドンオリンピック大会にサッカーは男女がそろって出場できる。その壮行試合で両チームを声援できるのだから、サポーターにもまたとないチャンスですね。大会本番はU-23代表が26日にグループリーグの第1戦(スペイン)、なでしこが25日にやはりグループリーグ第1戦(カナダ)と2週間後ですよ。

――U-23代表は英国に移動した後、18日にU-23ベラルーシ代表と、21日にはU-23メキシコ代表と親善試合を組んでいます。

賀川:なでしこも対フランス(19日)を予定している。こちらの方はいったんフランスで合宿してから、ロンドンへ向かうことになっている。いずれにしても、ヨーロッパへ入ってから仕上げに入るのだろうが、まずはその出発前に元気なプレーを日本のファンに見せてほしい。

――男子代表はオーバーエイジ枠に徳永悠平と吉田麻也を加えた18人、なでしこは昨年のワールドカップ優勝のメンバー18人ですね。男子はこれまでよりも海外組が多くなっています。

賀川:移籍したばかり、契約したばかりという人もいるが、新しい傾向ですね。

ーーメンバーを見た感想は?

賀川:なでしこは佐々木監督が言っているように、故障上がりの多いこと。本番までに完調まで持ってゆけるかどうか…ヨーロッパ合宿を含めて注目したいところです。

ーーアメリカに完敗した試合もあって、ワールドカップに続いての金メダルに黄信号という見方もありますが

賀川:なでしこの昨年のドイツでの世界王座獲得はすばらしいこと。選手たちはすごい仕事をするのに、心身ともにすりへったことでしょう。その後の環境激変もあり、この1年はなかなか大変だったと思う。本番前のこれからの合宿生活でもう一度落ち着いたサッカー漬けの日々にして、昨年全員が100%働いた時の気持ちと体を取り戻すことが一番でしょう。

――なでしこリーグにお客が増え、いいことも多かったがそれだけ負担も多かったと

賀川:いろいろな事情が重なって、日本のトップ選手が昨年の優勝を足場にもう一段進化したかということになると、必ずしもそうではない。

――ふーむ。

賀川:これまで何度も話したように、あれだけ大仕事をして、すぐそこから再スタートで上に向かえというのはとても難しいこと。アメリカやドイツやブラジルやスウェーデン、フランスといった、日本に刺激を受けた国々の巻き返しが目立つのは当たり前でしょうかね。

――ドイツが出ないので、一つ強敵は少なくなったといえますが

賀川:6月8日の神戸の試合で、澤穂希選手が何回か彼女らしいプレーを見せていた。彼女にかつてのキラリとした動き(早さ、読みの質、切れ味)がもどりはじめたのは、とても大きいことですよ。このキリンチャレンジカップでも、その澤選手の復活の足取りと、各選手のコンディショニングづくりの過程を見せてもらえるでしょう。

――U-23代表男子の方は?大迫選手がはずれましたね。

賀川:アジア予選を勝ち抜いて、いよいよヨーロッパ、南米、アフリカなどの代表と戦うようになると、どうしてもフィジカル面がクローズアップされる。フル代表で本田圭佑といういい見本があったように、攻撃の軸となる何人かは、技術や走力の上に、少々当たられてもバランスを崩さない体の強さが大切な要素となる。今度はその点を考えたように見える。監督さんも苦心したと思いますよ。

――19歳の俊足、宮市選手が落ちたことを監督に尋ねた人もいました。

賀川:大型で足が速いということは素材としてはとてもいいのだが、その足の速さを活かしてどこで何ができるか、ということになるとまだこれからだとみたのでしょう。

――清武弘嗣や扇原貴宏、山口螢などセレッソの選手もいます。

賀川:清武は故障もあり、海外移籍の件もあった。フル代表との掛け持ちもあって、必ずしもU-23では十分に働いてきたとはいえないが、ロンドン大会で一段上に上がってほしい選手ですよ。これは誰も同じことですが、清武にとっては今度が本当の勝負になる大会だと思いますよ。

――宇佐見貴史は?

賀川:体力不足、守備不足と言われてきた。自分の特徴であるテクニックを活かすとともに、全力を出し切ることを覚えてくれるのじゃないかとみています。齋藤学というやる気満々の突破型もいる。上昇中の名古屋の俊足、永井謙佑もいる。

――いい素材がそろっていますね。

賀川:DFの補強でチームの後方がしっかりして、終盤から前もいいプレーヤーが揃っています。ちょっとの伸びの遅いのが不満だったが…

――U-23だからまだ若いと思っていたが

賀川:23歳といえばプロサッカーではもう一人前ですよ。彼らにとってオリンピック本番はこれ以上ないすばらしい舞台なのです。だからここで勝ちを目指すことで自分の力も伸ばすことですよ。歴史に残る1963年のベルリンオリンピック、スウェーデンを3−2で破った日本代表の主力は22〜23歳のアマチュアだった。

――メダルはもちろん、ロンドンで伸びることです

賀川:勝ちにこだわること。勝つために守ること、点を取ること、チームが一体となること。それを実現するために個人力を最大限に発揮することです。

――そういうU-23の意気込みをキリンチャレンジカップで見たいものですね。

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