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ハーフナー・マイク起用の効果 W杯アジア3次予選 vs北朝鮮(下)

2011/09/06(火)

●2014FIFAワールドカップブラジル アジア3次予選 GroupC
 第1節 2011年9月2日19時キックオフ
 日本 1-0 朝鮮民主主義人民共和国
   (0-0、1-0)



~右CKからの決勝ゴール。時間の迫っているなかでの冷静なショートコーナーに代表の進化を見る~



――その空中戦の決勝ゴールに、賀川さんは日本代表の進化を見たとか?

賀川:ハーフナー・マイクを後半25分に入れ(李忠成と交代)、明らかにロングボールもあるぞ――とか、空中戦もあるぞ――とかいう意思表示をした。相手もそれを警戒することになる。
 日本のMFたちにとっても、スペースがなければハーフナーの頭上へというチョイスができる。後半の終わりごろの攻撃は凄まじいものだった。

――ハーフナーを投入する前に柏木陽介に代えて清武弘嗣を入れました。このとき、岡崎慎司を左に回し、香川真司を中央トップ下の位置に、そして清武を右サイドにしています。

賀川:この配置変更は効果があったね。29分のハーフナーの右足シュートがバーを叩いたのをはじめ、いまにも“ゴール”というシーンが再三生まれた。48分には今野泰幸の左足ボレーがまたバーを叩いた。今野はヒーローになり損ねた。一般にこういうときにも、日本選手のシュートは素直だからね。
 49分にGKのファインセーブ(遠藤保仁の左CKを香川がバックヘッドで合わせたものを止めた)で右CKとなった。14回目のCKですヨ。

――この右CKを清武が後方へ、いわゆるショートコーナーにしました。

賀川:ここから決勝ゴールへのプレーが始まった。アディショナル・タイム(ロスタイム)残り少ないのにショートコーナー――つまりパスを一つ余計に入れる――を選択した。
(1)ボールを受けた長谷部誠がタテにドリブル。ペナルティエリア外側、ゴールライン近くまで行って反転し、後方へパスをした
(2)そこにコーナーから戻っていた清武がいた
(3)ノーマークの彼は、ペナルティエリアの少し外から狙ってゴール前の中央部へクロスを送った
(4)ボールは吉田麻也の前に落下、吉田が強いヘディングシュートを打ってGKを抜いた

――どこかのテレビで北澤豪(元日本代表)が、あの残り時間少ないときにショートコーナーにしてタイミングをずらしたのが良かった――といっていました。

賀川:そうだね。このときファーポスト(左ポスト側)に目立つノッポのハーフナーがいた。ニアサイドに岡崎たち、そして中央に吉田がいた。
 ショートコーナーにして、長谷部がそこからクロスを送るのでなく、ドリブルで突っかけたのがポイント【1】。長谷部はそれまで再三ドリブル突破して、エリア内に入り込んだり、ゴールラインからクロスを送ったりしていた。相手DFの目は彼のドリブルに注がれ、複数のDFが妨害に行く。そこで長谷部はターンをして後方を向き、今度はもう一度バックパスを清武に送ったから、清武はノーマークで落ち着いて狙ったところへクロスを送った。

――これまでも遠藤と中村俊輔のコンビでのショートコーナーの成功を見ましたね。

賀川:日本選手のキック力(長蹴力)ということになると、まずCKのときにコーナーから蹴ると、ニアポスト際からゴール中央まではコントロールキックできるが、ファーポストへは距離的に難しい。そこでショートコーナーにしてタッチラインからかなり内側、ペナルティエリアに近づいてクロスを上げればコントロールキックで中央部あるいはファーポストへも届く。

――前のオリンピック・チーム監督の山本昌邦さんは解説のとき、「ペナルティエリアからのクロスは短い、短いから時間も少なく相手方の対応もしにくい」とテレビでよくいっています。

賀川:まさにその通り。パスの距離が短いのは、相手に対応する時間を少なくすることですヨ。今度も清武はタッチラインからでなくエリアのラインに少し近づいたところからクロスを蹴った。それも速いボールをね。

――吉田は「キヨ(清武)からいいボールが来たので、合わせるだけだった」といっています。

賀川:いいヘディングでした。彼は前にも代表でヘディングのゴールをしている。キリンカップの対チェコ戦では惜しい場面があった。CKのヘディングは彼の主戦場になってくるでしょう。

――CKからのヘディングといっても単に蹴って合わせるだけでなく、クロスまでにいろいろな仕掛けがあり、タイミングを遅らせ、距離を近づけ、相手が守りにくくしていたということですね。

賀川:そう、相手選手の目がボールに注がれているときに、こちらは相手のマークを外す、いわゆる“消える”動きもできる。そういう攻めの面白さを、この決勝ゴールで見せてくれたわけです。

――ジーコ監督のときのアジア予選で同じような、対北朝鮮、ホームの試合であわや引き分けというのを強引にもぎ取って2-1にした試合がありました。

賀川:会場も同じ埼玉だったハズですヨ。相手に当たったリバウンドを大黒将志が決めた試合でしょう。あれもスリリングだった。※編集注:2005年2月9日/日本2-1北朝鮮
 今度のゴールには選手たちの気迫とともに技術や読みが入っていて、それだけ代表が進化したといえると思っているんです。

――今日はここまでにしましょう。

【了】

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