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75年前のゆかりの地で“なでしこ”が大金星 ~女子W杯~ (下)

2011/07/13(水)

FIFA女子ワールドカップ・ドイツ大会2011(6月26日-7月17日)
準々決勝
7月9日20時45分キックオフ ※現地時間
日本 1-0 ドイツ



◆最後まで走った気力と技術と組織の勝利

――延長後半の丸山佳里奈のゴールも素晴らしかったです。

賀川:永里(優季)が前半に惜しいシュートチャンスを逃し、後半はじめに丸山を投入した。日本のFWは前から守備をするために結構疲れがたまる。安藤梢でも、見ていて気の毒なくらいの働きだからね。ドリブルで仕掛けられる丸山を登場させたのも成功したが、同時に、日本のランプレーに相手のバックスも疲れていた。そのときにダイレクトプレーが2つ続いて丸山がオープンスペースに走った。

――中盤でのやり取りから、岩渕真奈がアウトサイドで浮かしたボールを澤が落下点でとらえてダイレクトで前へ送りました。

賀川:丸山の動きや、前のスペースが分かっているところが、澤のすごいところだね。しかもダイレクトでひっかけ気味に蹴ったボールの回転もいい具合に丸山の前に落ちた。相手のDFには、これを奪いにゆく走力はなかった。

――シュートは易しい角度じゃありませんでしたが……

賀川:得意の角度という感じの、自信ありげなシュートに見えたヨ。

――あれだけ攻めて点を取れなかったドイツが、数少ないチャンスをつかんだ日本に負けたということですね。

賀川:そこがサッカーの面白いところですヨ。もう一度試合をしても同じように勝てるかどうか分からない相手に、大舞台で勝った。このことは選手たちにも日本の女子サッカーにも、いや日本全体にとってもとても大きい。

――賀川さんのように長い間サッカーを見てきた方にも、ドイツという舞台での女子の大金星は感慨ひときわでしょう。
 そうそう、澤さんには大会前に会っていますよね。

賀川:『Sankei SAL』というフットサルのフリーマガジンで草葉達也さんがインタビューをするときにつき合って、少しばかり話をしました。彼女は神戸の住民になって、神戸のクラブの選手ですからね。自分がひたむきにサッカーに打ち込んできたことに対して、自信を持っているのが嬉しいね。試合の流れを読み、ここで奪う、ここで攻めるということのつかみ方だけでなく、全人格的なプレーのできる選手でしょう。

――準決勝の相手はスウェーデンです。

賀川:ドイツで、スウェーデンと大事な試合を戦うというのも75年前の因縁かな。オーストラリアとの試合を見て、一人ひとりのプレーには感心した。実は私はオーストラリアのスピードの方が日本には難敵と思っていたのだが……

――そのオーストラリアより強い?

賀川:ボールをしっかり扱える選手がいる。体はドイツより平均して大きい。そして接触したときに重さがあると思う。スウェーデンはしばらく停滞していたが、協会がテコ入れを図り男子も女子も上昇中という。こちらとしては、無失点でゆくのは難しいかもしれないが、点を取ってもらえば焦りも消えるだろうし、自分たちのやり方でゆくことでしょう。この大会でシュート能力を上げ得点力を高めるぐらいの気持ちでいってほしい。
 とにかく、ここまでくれば準決勝と決勝、あるいは3位決定戦と2試合、素晴らしい経験ができる。同じ経験をするなら決勝までいってほしいネ。


【了】

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