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週末の代表試合を見て(2)U-22代表

2011/06/23(木)

U-22(オリンピック予選)豊田市
日本 3-1 クウェート

――U-22日本代表、やりましたね。3-0なら申し分なかったのですが……

賀川:アウェーゴールのルール(1勝1敗、得失点差が同じのときはアウェーゴール数の多い方が勝ちとなる)があるとかで、先のことを考えると失点しない方が良いだろうが、それよりも、まずホームで先勝して勝点3を取ったことを喜ぶべきでしょう。これも6月1日、キリンカップの試合のとき(日本対ペルー、新潟・東北電力ビッグスワンスタジアム)に同じスタジアムで対U-22オーストラリアというリハーサルを行なったのが良かったと思う。

――あのときは先制され、永井謙佑の2ゴールで逆転し、大迫勇也が3点目を決めて3-1にしました。これも永井からのパスで、永井の活躍がとても目立った試合でした。

賀川:失点はDFの左サイドでのボールの処理が悪く相手に奪われ、そこからの破綻でゴールを奪われた。今度のカタール戦はDFの右サイドで、簡単に(安全に)ボールを蹴っておけばよいのに一つタイミングがずれてしまって相手に奪われ、そこから傷口が広がりシュートを決められた。

――一度はクロスをCDFがヘッドで弾き返しましたが、そのボールが相手の足下へ行ってしまった。

賀川:テレビで解説者が「悪い(ボールの)取られ方をした」と言う例ですよ。選手はこうしたミスを減らすようにしなければならないが、フル代表でもときどき、バックパスを奪われたり、高いボールを競り合った後ボールを拾われたりしてピンチを招くこともあり、ゴールを奪われることもある。

――だからこそ、攻めたときには点を取っておけということですね。

賀川:そのとおり。この試合は3点取ったからこそ、1点奪われても2点差をつけて勝つことができた。そこが大切ですヨ。それも6月1日に大活躍した永井抜きでの3ゴール。

――1点目は左から比嘉祐介がクロスを上げ、大迫が相手DF、GKと競り合ってボールが3人を越えて内に落ちたところを、清武弘嗣がダイビングヘッドで決めました。

賀川:ゴールそのものは左サイドからのクロスにこちらの2人が入っていたので生まれたが、その前に右から攻め、3人でボールを回してクロスを送り、それが相手DFに防がれたのを拾って、そこから左へボールを送ったという流れがあった。

――揺さぶったということ……

賀川:この日は右も左もサイドからよく攻めたが、やはり深く食い込んでのクロスはそれほど多くはなかった。このときは右からの攻めで押し込んでおいて、エリアいっぱいで山本康裕が拾って後ろの山村和也にバックパスした。テレビのカメラも、このときに左サイドを走り上がる比嘉の動きを捉えていた。山村も比嘉の動きが見えていたのだろう。ダイレクトでオープンスペースへボールを送り、比嘉はペナルティエリア左角あたりで受けて、いったん止まってDFの接近を待ち、タテに抜いて出し、比嘉はゴールラインいっぱいまで行ってそこからクロスを送った。比嘉のボールは、ペナルティエリア縦ラインの根っこ辺りからのクロスの定石どおり、フワリと高いボールだった。GKフセイン・カンコネとDFがジャンプし、大迫もこの空中戦に加わったが、ボールはカンコネの手にも当たらずゴール正面に落下した。そこに清武が入り込んでいて、ダイビングするような形でヘディングしゴールへ叩きこんだ。

――深くに攻め込んで短いクロス。それに大迫が飛び込み、さらにその背後に清武が入っていた。

賀川:相手の守りの人数もいたが、こちらもエリア内に数多く(4人)が入っていた。比嘉のクロスが良く、その比嘉への山村のパスがまた良かった。

――大迫はそれまで何回かチャンスがありましたがモノにできなかった。今度は自分が相手GK、DFと競り合うことで清武のノーマークを生んだわけですね。

賀川:まあ、先のキリンカップのチェコ代表のGKペトル・チェフのように大型でしっかりした選手がいれば、これだけ上手くいったかどうか分からないが、この日はチーム全体にどんどん攻めてゆこうという気構えがあったようだ。失点の原因も、簡単にクリアせずに何とか前へつなごうとしたのかもしれない。

――そこのところは難しいですね。

賀川:それはその時々の選手の判断とプレーによる。調子のいいときほど、一方では心のどこかに“用心しよう”というのがなければならない。

――U-22の年代では、ですか

賀川:経験は大事だが、若くてもそういう気配りのできるプレーヤーは世界にたくさんいる。ちょっと話がそれたネ。

――2点目は右CKからでした。

賀川:これは清武の右足のカーブのかかったスピードのある右CKと、それを捉えた濱田水輝のジャンプヘッドを称賛したいネ。

――クウェート相手に、CKやFKのヘディングもよく取りましたね。

賀川:ここのチームはアラブらしくアフリカ系もいてジャンプなどの能力が高いのが普通で、FWには17番をつけていたユセフ・ナセルのようなキープ力、突破力がありいいシュートを持っている選手もいるが、全体としてこの日の試合では淡泊だった。

――というと

賀川:イラントルコとなると一人ひとりの体が粘っこくて、ボールの奪い合いのときに絡まれるとなかなか厄介なのだが、ここの選手はそうではなかった。まあ、ホームではもっと粘るかもしれないが、中近東といってもイランなどとは違う。そしてまた韓国ほど中盤から激しいプレッシングをするわけではない。

――それで、ボールがよく回った。

賀川:この日は日本側にホームでの初戦を絶対に勝つという気迫があり、選手一人ひとりにも対オーストラリア戦は良くなかったから今度はしっかりやろう――という気が強かったハズだ。

――永井が不在でしたが、みんなでその分は取り返した?

賀川:彼のスピードは誰も真似できないから、そのFWがいないのは大きな損失だが、今回のような試合もできるというわけですヨ。もちろん相手にもよる。相手のGKのレベルにもよる。良かったのは、2ゴールに満足せず3点目を狙っていったことだ。

――シュートは前半11本、後半も11本。相手は前後半合わせて5本(前半1、後半4)でした。

賀川:3点目はDF鈴木大輔が前方へ送ったボールを山崎が取ってドリブル、右の大迫の前へ流し込むようにパスを出し、それを大迫が決めた。

――相手ボールを取ってからの動きが早かった。

賀川:大迫にとってはこの日一番いいパスがきた。彼の得意の形だった。ニアポスト側を抜いたシュートコースも良かった。

――大迫くんは、ゴールを決めて喜ぶというよりホッとしたという感じでしたね。

賀川:U-22の監督さんは大迫といういい素材の使い方が上手のように見える。スピードという圧倒的な武器を持つ永井とともに、大迫は得がたい若いFWの一人でもある。

――何か注文がある感じですね

賀川:それは、彼には色々ありますヨ。だけどこれだけ色んなことができるのだから、あとは点を取るために何をつけるか、どうするかを自分でつかむでしょう。

――チーム全体としては?

賀川:練習をそれほど見せてもらっているわけではないし、クウェートでの条件がどうか分からないが、どの選手もやれるのだから、その気になってしっかり勝って帰ってきてほしい。本当のロンドン五輪予選はそこからですヨ。

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