AFCアジアカップ カタール2011 日本4度目の優勝から(下)
――延長に入って、ザッケローニ監督は前田遼一に代えて李忠成を送りこみました。
賀川:前田はこの日、惜しいシュートチャンスを逃していた。彼は攻撃だけでなく守備でもとても働いた。ヘディングの強い彼は相手のCK、FKのときは守備でもその高さが大事な武器だからね。その高さを失うのは冒険ではあったとザッケローニ監督は試合後に語っていたが、目いっぱい働いた前田に代えて新しい戦力を送りこんだ。
――それが当たりました。
賀川:このゴールは、まず日本の攻撃のCKのあと、相手GKが前方へキックし、それを日本側が取ったところから始まった。
本田圭佑が長友佑都にパスを送り、長友がタテへ仕掛けるドリブルを見せておいて後方へ戻った。相手のDFルーク・ウィルクシャーもルーカス・ニール主将も遠い間合いにいた。
(1)そこで長友はボールを後方の遠藤保仁に渡し、
(2)遠藤はまた後ろの今野泰幸にパスをした。
(3)今野はちょっと右へ出すと見せてターンし、また左タッチ際の遠藤に戻す。
(4)遠藤はまっすぐタッチラインに沿ったパスを長友に送る。
(5)長友はゆっくりキープする形から一気にウィルクシャーを縦に外し、
(6)左足でゴール前中央へクロスを送った。
(7)そのゴール正面、エリア中央に李がいた。
(8)ノーマークで文句のないパスだったが、李はそれをボレーで見事に捉えた。
名手と言われたGKマーク・シュウォーツァーも防ぎようのないシュートだった。
――李の近くに、相手選手は誰もいませんでした。
賀川:遠藤と今野のパス交換の間にボールに視線が行って、李がマークを外す動きをしたのを見ていなかったのだろう。ここらが遠藤のタイミングの取り方のうまさだろうネ。
――大会MVPを受賞した本田が、遠藤のうまさについて話していましたね。
賀川:チーム全体も、また、日本のサッカーファンは遠藤のタイミングあるいは攻撃テンポというものについての理解をするようになっているのでしょう。
それにしても、フィニッシュへ持ってゆく長友のクロスも李のシュートもパーフェクトだった。色々反省点はあっても、こういうゴールを生み出せるようになったチームを見るのはとても楽しいことですヨ。
【了】
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コメント
Hi Mr. Kagawa,
my name is Simone Pierotti, I am an Italian freelance sport journalist and I am among the authors of "Pianeta Sport" (http://www.pianeta-sport.net).
I did not find your personal e-mail address, so I decided to leave a comment here. Could you please send me a message, so that I can ask you some informations?
Thank you in advance,
Best regards
Simone Pierotti
投稿: Simone Pierotti | 2011年2月19日 (土) 18時27分