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いいパスも展開もすべてゴールを奪うため(下) ~AFCアジアカップ カタール2011 vsヨルダン~

2011/01/12(水)

◆多数防御のヨルダンに手を焼き苦戦したが、0-1から1-1にしたのでまずまず

――前半の終了直前にゴールされたのですが、日本側にもいくつかチャンスはありましたね。

賀川:前半15分頃に、長谷部誠からのクロスが本田圭佑に渡ったが、相手2人に体を寄せられモノにできなかった。

――南アフリカの対カメルーン戦の再現!! と思ったのですが…

賀川:ゴール正面だったし、相手の守りの厚いところだからね。あとから考えれば、長谷部は外にいた香川へクロスを送るべきだったかな……。しかしこの辺り、ヨルダンはしっかり守っていた。
 25分には左CK(遠藤)の相手クリアから長谷部のボレーシュートがあり、GKアメル・シャフィが防いだリバウンドを吉田麻也が決めたがオフサイドだった。

――解説の山本昌邦さんが、「ヨルダンDFが前に出てオフサイドを取ったところが意識統一ができている」と言っていました。

賀川:そういうことをしっかり訓練したのだろうネ。

――27分には左サイドから長友佑都、遠藤保仁とつなぎ長谷部からのパスが右へ出て、内田篤人が胸でトラップしてゴールラインぎりぎりから中へ送ったパスを、FBとGKとに防がれたのがありました。

賀川:大きな揺さぶりのあと、右サイドのゴールラインまで食い込んで、しかもエリア内までという攻め方にはいい形だが、多数防御の相手だから……

――内田のパスをDFが辛うじて左足で止め、それをGKが取った。

賀川:こういうときのパスのスピードだネ。例えば相手に当たることも頭に入れて強いシュート性にするとか、膝の高さに浮かせるとか。

――1936年の話もありますね。

賀川:ベルリン・オリンピックの頃のCF川本泰三さんが、同じ早大の加茂正五さんに要求したのは、ペナルティエリアの根っ子のところから後ろ目のクロスを出せ、それも相手DFのスライディングなどに引っかからない脛(膝)の高さに浮かして――ということだった。まあ、一番のチャンスメークのポイントへ入ってくるようになったワケだが、そこからの出し方もこれからの工夫であり楽しみでもあるわけですヨ。
 その3~4分後に、左から香川がクロスを出している。強いライナーだった。仲間に通らなかったが、彼はおそらくエリア内にたくさん守っている相手を見て強い球を選んだハズですよ。



◆不満はあっても、日本代表のサッカーは面白い

――40分に香川が中央で裏へ出て打ったシュート(GKが防いだ)も惜しかったです。

賀川:ああいう狭いスペースでの彼のプレーの上手さが出たけれど、ここで決めておくべきだっただろう。ゴールに近いところからのシュートは叩きつけるのもいいが、高さがあってもいいし、ファーでなくニアを狙ってもいい。香川にはちょっと口惜しい場面だった。

――その香川が後半、中へ入ってトップ下に、本田が右に移ってからチャンスも多くなりました。

賀川:本田が内へ持ったときには左足のキックという強い武器があるし、彼が左へ流れれば相手にはとても脅威になる。
 香川は、右前へ出るときのスピードとボールタッチの上手さはすでにブンデスリーガで証明されている。それだけでなく、左へ持っても左足のシュートまで行けるようにもなっている。そういう自信は相手にも反映し、相手の対する威嚇にもなる。そういう心理的なものも試合の中では作用してくる。

――攻撃の柱の組み合わせですね。

賀川:監督さんも色々考えて組み合わせるだろう。いま伸び盛りの二人が代表チームの攻撃を担うのだが、その特徴を仲間がしっかり掴むこと、そしてまた岡崎慎司前田遼一、李忠成たちが自分がどこでどういう特色を出すかを工夫していくことでしょう。
 もちろん、この2人にとっても守備は大事ですヨ。守備をすることは次の攻撃の第一歩だからネ。

――DFの吉田は2つの得点に絡みましたが、良かったですね。

賀川:長身でボールを扱う形がいい。やはり新しい日本のサッカー選手だネ。高校選手権を見ても、彼のような選手がいれば滝二のFWのように頑丈でシュートのできる若者もいる。日本のサッカーはいま多彩なプレーヤーが育ち、充実期にある感じがする。だからこそ、アジアカップで、そのいいところを出してほしい。

――今回は、点を取ろうという全員の意欲が最後に吉田のヘディングになって表れ、どうにか引き分け勝点1を取れました。

賀川:引き分けと負けではずいぶん違うからね。その点は選手も監督もしんどい試合をともかく引き分けたのは良かったと思いますよ。
 こちらも疲れ、相手も疲れていたときの左CK、キッカーの香川へ長谷部が駆け上がってニアでもらい、ファーポストへ高いボールを送って吉田が素晴らしいジャンプヘッドでゴールを決めた。その前の右CKのときにキッカー遠藤の方へ香川が寄ってショートコーナーにしようとしたが、途中で止めた。

――この試合では、そういえばショートコーナーは初めてでしたね。

賀川:多数防御の相手に対して、CK一つをとっても手を変え品を変えという工夫や着意が必要なのだが、今回は久しぶりにそういう試合になって、皆の気の配り方が足らなかったのかもしれない。

――いい反省点になったでしょう。

賀川:多数守備を破ることについては、私には前から言っているやり方もあるが、それはまたの機会に。第2戦を楽しみにしておきましょう。

【了】

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