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AFCアジアカップ カタール2011 vsシリア

2011/01/17(月)

――すごい試合でした。日本代表は対ヨルダン戦よりも速い動きが見えて、前半に長谷部誠のシュートで1-0。この他にもチャンスをつくったから、後半もこの調子でゆけると見ていたのに、76分(後半31分)にPKで同点とされた。しかもGKの川島永嗣がレッドカードを出されて10人になってしまいました。それを、この場面の少し前から(香川真司との)交代で入っていた岡崎慎司が相手のペナルティエリアで反則をもらい、今度は本田圭佑が決めて2-1として一人少ない劣勢を切り抜けて勝点3をつかみました。

賀川:シリアは第1戦で強豪サウジアラビアに勝って勝点3を取っている。この日この試合の前に行なわれた試合でヨルダンがサウジを破って勝点4となっていたから、日本はこの試合に勝っておかないと非常に後が苦しい立場にあった。

――まあ、最後には勝って勝点は合計4。得失点でこのグループの首位(2位はヨルダン)となり、一歩前進して一息つきました。まだ最終戦にサウジを残していますが、1次リーグ突破の有利な状態にあるのは確かです。
 それにしても、日本が失ったPKの場面、線審はオフサイドの旗を挙げていたし、私もそうかと思っていたのに、イラン人の主審はPKにしました。この説明から始めて下さい。

賀川:ヨルダン戦に比べてまず右サイドの松井大輔、内田篤人の動きが良くなり、初めからどんどん仕掛けた。左の長友佑都も前へ出るようになり、本田圭と香川真司との関係もよくなって攻めはヨルダンのときより良くなっているようだった。
 35分のゴールは
(1)本田がエリアいっぱいのところを縦にドリブルして
(2)ゴールラインから中へ――エリア中央に転がったボールを
(3)香川が左から中へ走り込み
(4)右へDFを外したあと、切り返して
(5)左足でシュートした
(6)前進していたGKモサブ・バルフスが手を伸ばして防ぎ
(7)そのボールがペナルティエリアから外へ転がってゆくときに
(8)松井が走り寄って短くパスを出して、自分は相手DFの前に立って長谷部のシュートコースをあけた
(9)長谷部の右足のシュートはゴール右に飛び込んだ

――攻撃に関わった一人ひとりの仕事が素晴らしかったです。

賀川:あとでまた説明したいが、このときの連係ぶりや個々のプレーのスピードなどはなかなかのものだった。

――これなら大丈夫かなと、テレビの前のサポーターは思ったでしょう。

賀川:もちろん、この前にも後にもチャンスがあった。この勢いのあるときに複数ゴールが取れない代表チームにはやはり痛いツケがまわってくる。

――シリアの後半の頑張りもすごかった。

賀川:後半はじめに10番をつけたフィラス・アルハティブが入る(MFサメル・アウアドと交代)とスタンドの歓声が大きくなった――とテレビは伝えていた。スター選手なんだろうね。前半からシリアの意気込みはなかなかで、中東らしく手を絡める、足を蹴るなど結構ラフだったが、後半はさらに激しくなる。
 日本の攻めを防いでボールが自分のモノになると、前半よりもロングボールを多用するようになった。日本側はそれをヘディングで跳ね返すのだが、そのジャンプの際に相手が体をひっつけ、腕を絡めてくるものだから、跳ね返すボールの勢いも弱くなる。それを拾われる、という場面が増えた。

――シリアのPKはそうした流れの中から生まれました。

賀川:後半19分頃から相手の左CK、右CKさらには右からのクロスといったチャンスがあり、日本が攻め込んだあと相手のクリアボールが大きくバウンドした。高く上がったボールを日本の吉田麻也がヘディングしようとするとき、サンハリブ・マルキが体をくっつけて妨害に来る。2人が競って落下したボールをアルハティブが拾って前へ出る。今野泰幸がこれを潰しにゆき、25m中央あたりに流れたボールを長谷部が取る。相手2人に対して4人がかりで奪ったのはいいが、そのあと長谷部が中央から右へドリブルして、そこからGK川島へバックパスをした。

――ボールの勢いが弱く一瞬ヒヤリとしました。

賀川:(1)川島がペナルティエリアいっぱい近くまで出てきて左足で蹴ったとき、マルキが足元へ滑り込んできた。
(2)そして川島の蹴ったボールは右斜め前へグラウンダーで転がった。これをアルハティブと今野が競り合って、どちらかに当たったボールがゴールに向かって転がってきた。川島とマルキがこのボールを取りにゆく形になった。

――てっきりマルキがオフサイドだと思ったのにそうではなかった。

賀川:主審のPKのジェスチャーに、日本選手はオフサイドだといった。モーセン主審は、川島の蹴ったボールを今野がまたバックパスをしたと見たらしい。プレーをした選手が相手方であればオフサイドにはならないということで、マルキはオンサイドとなり、そのマルキをファウルで止めた川島はレッドカード、そしてPKということのようだった。

――実際に今野の足に当たったのかどうか……

賀川:近くにいたレフェリーがそう判断したということだね。この問題については、日本代表は納得できないと抗議文を出すと言っていた――手続きの遅れで意見書ということらしいが。

――日本代表はGK川島の退場でFWの前田遼一に代えてGKの西川周作を投入しました。西川はPKは防げなかったが、急の交代出場だったがこのあとしっかり守った。

賀川:同点になったのが76分だから、まだ20分ばかり時間があった。アウェーの、しかも一人少ない条件で2点目を取るという大事な仕事があった。相手側は引き分けでも勝点4だからね。

――賀川さんは、2点目を取れると……

賀川:選手たちが攻めはじめたからネ。すぐに本田圭のシュートがあり、皆の動きも衰えなかった。

――遠藤からのパスを受けた岡崎がペナルティエリア内でファウルをされ、PKをもらいました。

賀川:3番のアリ・ディアブが腕で妨害して岡崎と競り合っているとき、2番のベラル・アブドゥルダイムがそこへ足を出して岡崎を倒した。

――そのPKを本田圭が得意の左足で決めた。

賀川:本田圭ほどの選手でも、ちょっと気持ちが昂りすぎていたのかな。GKモサブ・バルフスが右へ先に飛んだが本田のシュートはそのGKの足をかすめてゴール正面へ入った。足に当たっていたら……まあ彼の気迫で決めたゴールということだろう。

――現地からの話では、岡崎はファウルをよく取ってくれた――という言い方でしたね。

賀川:こういうエキサイティングな試合でああいう微妙な判定のPKで1点を取った後は、シリア側にもPKを取られる危険が大きくなるものですヨ。レフェリーはお返しをするわけではないけれどネ。
 74年ワールドカップ西ドイツオランダのときも、イングランドのテイラー主審は前半早々にオランダにPKを与えた後、西ドイツにもPKがあった。テイラーさんは重要な試合を見事にコントロールしたとして評価が高かったのだが、西ドイツのPKをもらったヘルツェンバインは自分から相手の足に引っかかって反則をもらうことの上手い選手だった。レフェリーも人の子、微妙な心理が働いても不思議はない。

――そのあとはハラハラもしましたが、波乱万丈の第2戦をよく乗り切りましたね。

賀川:選手たちの頑張りや、監督の交代選手の起用なども良かったと思う。ただしロングボールで受け身になったときの落ち着きや処理は、これまでの代表と同じ伝統手な弱さもある。そしてまた、いい攻め込みをしながらゴールが少ないのも改善されていない。

――それにしても、アジアのサッカーは大変ですね。それだけ面白いですが……

賀川:それでも、昔から見ればレフェリーも良くなっているし、グラウンドも悪くはない。西アジアのアラブやアフリカ等のプレーヤーたちと厳しい試合をすることで代表はチームも個人も伸びると思いますヨ。

――2-1としたのが82分、残り13分。それにアディショナルタイムが5分もありました。

賀川:最後のところで岡崎がペナルティエリアすぐ外でファウルされ、そのとき相手のナディム・サバクがイエローを出され、このFKを本田圭がキックするときにサバクがボールに近づいて2枚目をもらって退場になった。試合が終わったときにレフェリーに抗議してアリ・ディアブもイエローをもらった。

――第1戦のヨルダンも今度のシリアも、決して大きな国でもなく、人口も多くないのに、代表チームはなかなか力がありますね。

賀川:ワールドカップの16強に入ったといっても、アジアで勝つのは簡単なことじゃない。サッカーが世界でどれほど盛んで、各国ともにレベルアップに力を入れているかがこの大会でも見ることができる。そして同時に、それぞれの気質によって色々なスタイルのチームや選手をみることができる。その意味でも、アジアカップでテレビ朝日やNHK BSが放映してくれるのはとても嬉しいことですヨ。

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