10月12日 日本代表 vs 韓国代表(下)
伸びる時期の日本代表に、相性のよさそうなザッケローニさん
日本サッカーをあげて“蹴る”工夫を
――2試合を見た総括的な印象は?
賀川:ザックさんという監督の全てが分かったわけではないが、この落ち着いた、真面目そうな人柄の監督さんは、南アフリカで単に1次リーグ突破というだけでなく日本代表チームとして基礎ができたところ、しかも伸びしろのある選手のいるところへ、うまくそれに適合した監督が来た――という感じがする。ザックさんにとっても代表選手にとっても、この2試合は決して悪い経験ではなかったハズだ。
――先のことは別としても、今のところはまずはよかった、と
賀川:といって、日本代表の得点力が低いことは変わりはない。多少、突っかける選手、仕掛けようというこれまでと違った攻めのタイプが出てきたのがいいという程度です。一番大切なのは、いつも言うとおり、選手が自ら工夫して上手になること。もちろん組織プレーもだが、自分の技を一段でも半段でも上げること。
――例えば?
賀川:長谷部の第1、2戦の働きぶりは南アフリカでの経験を足場としてさらに良くなっている。第1戦(対アルゼンチン)ではこぼれ球を見事にシュートして岡崎のリバウンドシュートのゴールを生み出した。右足のインステップキックで鋭く捉えたボールはちょっとアウトにかかってスライス気味に飛び、相手ゴールキーパー(GK)の判断ミスを誘い、GKは自分の前へセービングボールを落としてしまった。
あの素晴らしいシュートに比べると、ソウルで彼が2度行なったシュートはクロスバーを2度とも越えてしまった。スペースが少なく助走が短かったこともあるかもしれないが、折角ポジションへ走り上がっていながらいいシュートができないのは、彼のためにも代表チームのためにももったいないことだ。彼が走り込んでのゴールを増やせば、ドイツのクラブでの評価もさらに上がる。これは基礎的なプレーだが、年齢が高くなってからでも工夫で身につくものだ。
元セレッソ大阪のモリシこと森島寛晃も、長谷部と同じように後方からゴール前へ長い距離を走り上がる選手だったが、チャンスの場面にいながらシュートが決まらなかったことがある。それが2000年のシーズンに自らの工夫でシュートの成功率が上がり、セレッソはJリーグ・1stステージの優勝争いをしたことがある。モリシが28歳のときですヨ。
――長谷部は練習熱心のようですから。
賀川:彼はチームのために労をいとわぬ選手。その献身的なプレーに感嘆の他はないが、折角のシュートチャンスを得たときに決めることができた方がいいに決まっている。そういう点を、JFAの強化本部の優秀なコーチ達が一緒になって考えることもあっていいと思っていますヨ。
――ザック監督も、このチームはまだまだ伸びる、自分の素質に気付かない選手がいると言っています。
賀川:ステップアップする楽しみを、ベテランも若手も感じてほしいものだネ。
【了】
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