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10月12日 日本代表 vs 韓国代表(上)

2010/10/14(木)

韓国に勝てなかったが負けない気迫に敬意
ただし、ゴール奪取は双方とも未開発。負けん気は技術進化にも



――ソウルでの韓国との試合、0-0でしたが迫力満点でしたね。

賀川:両チームの伝統的なカラーが対称的で、技術のレベルも相当なものだった。なにより戦う姿勢が素晴らしく、テレビ観戦の日本のファンにも、相手側の強い強い気持ちに対して日本選手の負けず嫌い、勝ちたいという気持ちがテレビ画面にもあらわれていたから、見ていて非常に面白い試合だった。これで得点があれば、もっと良かったのだが…

――アルベルト・ザッケローニ新監督は、まず合格点ですね。

賀川:初めての強化試合シリーズ、8日のキリンチャレンジカップ 対アルゼンチンが1-0、12日のこの試合が0-0。ホームで勝ち、アウェーで引き分け。2試合とも無失点だからネ。

――対韓国でも得点できればさらに株が上がったでしょう。

賀川:得点するかどうかはその場にいる選手のプレーによるところが大きい。もちろん、そこに誰を配するかは監督の仕事といえなくもないし、またそういう能力を持つタレントを発掘し、あるいはトレーニングで磨くのも監督コーチの責任でもあるのですヨ。しかし今回は、まずは日本チームに良い結果をもたらしたことで、いい監督といわれて当然でしょう。

――2010年の2月と5月に岡田監督の下で日本代表は韓国に1-3、0-2で敗れています。どちらもホームでした。

賀川:このときは全体の調子が落ちていた。5月の韓国戦のあと、岡田監督はチームの変革に取り組み、それが成功してワールドカップの1次リーグ突破につながった。韓国との戦いは、こちらのチーム状況を映す鏡ともいえる。

――今度もそうでしたか?

賀川:たとえば香川真司。対アルゼンチンでは彼のドリブルも効いたように見えた。実際には2人目で潰されることが多かったから、私は必ずしも彼が良かったとは言わないが、自らドリブルで開拓しようという姿勢は、“天下”のアルゼンチン相手だから成否にかかわらず日本の進化の一つとみて良い。しかし、それが韓国が相手となるとそうはゆかなくなった。

――韓国側の気合の問題ですかねぇ。

賀川:一つひとつの局面での奪い合いなどで、韓国は対日本となれば、いつも以上に力を出すことが多いハズ。

――そういう韓国側の一人ひとりの粘り強さに、チーム全体が押される感じになるのですね。

賀川:まだ試合の状況を見ていないけれど、最近の大会で男子のU-19が韓国との試合で2-0とリードしながら最後は2-3で敗れた。女子もU-17ワールドカップの決勝で同点からPK負けした、というのも偶然の一致ではないでしょう。

――今回のフル代表はベストメンバーとはいえませんでしたが、負けないという気迫が見えていました?

賀川:そう言えるのじゃないかな。イレブンの一人ひとりが強い気持ちを持ち続けた。もちろん守りのときのポジショニングなども良かった。身長差が一つの懸念でもあったが、ゴール前でそのヘディングからヒヤリとした回数は少なかった。

――アルゼンチン戦でも本田圭佑の守りでの働きが目立っていました。それから長谷部誠の攻守の運動量もそうでした。

賀川:本田は今回も、攻めも守りにも、いつも“勝ちたい”という気迫にあふれていた。気迫を表面に出すことでチーム全体を引っ張ろうとしている感じもある。遠藤保仁という渋味のある選手と、無口だが自ら走りまわって範を示すキャプテン長谷部と、若いが目立つ本田といったチームの中でのリーダーの組み合わせがうまくいっている。
 駒野友一がせっかくの試合の早いうちに相手のファウルでケガをしたのは気の毒だし、もったいないけれど、内田篤人が交代で入って、第1戦とあわせて昨今の不調を脱したように見えたのは収穫。左のDFの長友佑都は守備でいよいよ自信を深めてきたようで頼もしい。ただし、攻撃に関してはまだまだ上達してもらわなくてはなるまい。

――懸念していたCDFは?

賀川:ザック監督は、長身の栗原勇蔵と、上背は低くても守りの感覚の鋭い今野泰幸の2人でこのシリーズ2試合を守り切った。今後をどうするかだね。もちろん、南アフリカ大会の2人は故障があってもまだ現役には違いないが、長身DF陣をどう作るか。

――2試合を終えて、これからザック監督がどういうメンバーを組み、どのような試合展開を考えるかが楽しみですね。

賀川:香川に本田、それに松井大輔も元気だったし、岡崎慎司もアルゼンチン戦の1ゴールで少し自信を取り戻したハズだ。前田遼一を第1戦の途中交代でピッチに立たせ、第2戦ではフルに働かせた。シュートはなかったが、前田が自分でどう切り開くかという楽しみもある。

【つづく】

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