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羽田の積極性が生んだ、香川の会心シュート

2010/04/23(金)

――セレッソが2勝目を挙げました。香川真司が5ゴールで得点ランキングのトップですね。ガンバの新しい顔、平井将生も5得点。関西人として嬉しいのではありませんか?

賀川:まさか……。まあ得点するのはいいことだがネ。
 平井は23歳、香川は21歳。年齢からゆくとどんどん点を取り始めておかしくない頃です。平井は太ももの肉離れでしばらく休むらしい。せっかく調子が出たときに惜しいことだ。彼は左へ流れたときにシュートの一つの“角度”があるから、期待していたのですよ。

――ガンバがなかなか勝てなくて、2勝したセレッソが関西勢で順位が一番上です。

賀川:ガンバのように、技術が高く、パスをつなぐことの上手なチームは、突っかける選手がいないとボールを回すだけに終わることがある。私たちの世代の全関西チームにもそういう傾向があった。こういうときに突破力のあるハズのブラジル人の調子が悪ければなおさらですヨ。まあ、底力のあるチームだから、むしろ今は攻撃云々よりもディフェンスからもう一度建て直す方がいいでしょう。ようやく復帰した山口のもとで、中沢や高木といった大型DFの基礎からのアップを図ること。中央の守りがしっかりすれば、左右のサイドも役柄がはっきりする。あとは明神キャプテンをはじめ、役者が揃っているのだから、きっかけさえあれば戻るだろう。

――セレッソは?

賀川:先週の湘南ベルマーレ戦は面白かった。
 攻めながら(終盤まで)PKの1点だけ。ロスタイムに湘南のパワフルな攻撃で同点にされた。相手は「しめた」と、長居のサポーターは「また引き分けか」と思ったときに勝ち越しゴールを奪った。

――シンジのドリブルシュートが見事に決まり、スタンドが沸きました。

賀川:私がいつも言っている「長居へ来れば甲子園とはまた違った興奮が味わえる」というシーンだった。
 香川のプレーも良かったが、ボクは、その前に羽田が中盤(相手側センターサークル付近)でドリブルして香川へパスを出したのが良かったと思っている。彼はこの日、何度か激しいぶつかり合いで体を痛めたハズだが、チャンスと見て攻撃の糸口をつかみ、しかもまだ周囲に余裕のある間に香川に渡したのが効いた。これが決勝ゴールを生む第一のポイントだったと思う。いわば、羽田はこの日の殊勲者ですヨ。

――ふーむ。

賀川:相手のゴールキックを高橋がヘディングし、右ライン近くでが取って羽田に渡した。いわば相手のボールを奪ってからの処理だが、羽田がこのとき、仕掛けようと前に出てきた積極性がとても良かった。もう時間切れ、ここだと彼は思ったハズ。

――ずいぶん誉めますね。

賀川:いいプレーをしたときには一緒に喜ぶべきでしょう。香川はおそらく自分で決めようと思ったのだろう。中へドリブルして、3つ目のはずしでシュートへ持っていった。一つ余計のようだが、それが効いたネ。
 相手は同点にしたあと、おそらく疲れとホッとしたのとで体がついてこなかったのじゃないかな。ここらがサッカーの面白いところで、20分前なら成功しなかったプレーが、このときにはゴールに結びつくのだからネ。香川にとっても会心のシュートの一つだろう。

――この得点で、香川は5ゴールになりました。

賀川:他のゴールはあまりよく見ていないが、テレビでちらりと見た場面でも、彼は今年、パスを出したあと前へ出て、仲間のシュートのときにゴール前へ詰めようとしているのがいい。

――“ごっつぁん”みたいなゴールをもらっていると、言ってます。

賀川:ゴール前へ行こうという気が出いているのがいい。あとは、乾が意欲を燃やすことだ。

――家長も、この試合は先発で出ました。播戸はいつもどおり終わり頃からでしたが。

賀川:能力のあるプレーヤーのポジションプレーが認められるようになって、チームの組織力がつけば、セレッソは少しずつ良くなるだろう。もちろん、まだまだ不満はあるけれど……。

――それについてはまたの機会に。

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