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バーレーン戦(下)

2010/03/08(月)

――1-0となった後も、チャンスはありましたね。

賀川:その前にも相当数あった。決定的とはいえないものでも、たとえば10分に左サイドから本田のスルーパスをもらった長友がゴールラインまで持ち込み短いクロスを送った場面があった。長友のリーチと速さからゆくと、この場面では彼はファーへ蹴れるかどうかだから、誰かが(岡崎になるかな)ニアに入るのが定石のハズ。そういう互いの暗黙の了解がボツボツできているころなのだが。これまではトップと左右のサイド、そして第2列の飛び出しなどがあまりできていなかった。

――それが、この試合ではそういうことが目につくほどチャンスも多く生まれそうになった、といえるのでしょうか。

賀川:いや、2月シリーズと違うのは中村俊輔と遠藤が揃っているというミソもあるね。まあ2月はコンディションが悪いからではあるが、やはりここというときに中村俊輔が絡むといい。

――関西人としては、遠藤のことを聞きたいですね。

賀川:実は遠藤保仁の素晴らしさはここのところちょっと恐ろしいほどですヨ。元旦の天皇杯もそうだったが、後方で攻撃展開のための発端をつくり、ときに間(ま)を稼ぎ、ときに自らが攻撃の締めくくりに現れる。その動きの広さ、巧妙さは、いまや随一だろう。サポーターのみなさんも技術指導に関わるコーチたちも、いまの遠藤のプレーを充分、頭の中に残してほしいと思っているくらいです。彼の攻撃展開は日本サッカーの“棋譜”として残ると思いますヨ。

――この試合でも、彼は長・短さまざまなパスを駆使しました。

賀川:ACLで水原とのアウェーで試合をして、中2日でゼロックスの試合を強敵・鹿島アントラーズと戦った。そのときに少し動きすぎじゃないかと心配したが、この試合でも90分しっかりプレーした。その間に、思わず手を叩くような場面が何回もあった。
 後半の44分に、左サイドで本田の前へスルーパスを送った場面があった。日本側の動きが落ちていたときで、玉田が俊輔に代わって入ってきた。その本田へのパスがあまりにいいタイミングだったから、本田も懸命に走った。相手のファウルで倒されてFKとなったが、どちらかというと、かつては立ち止まってのプレーの多かった本田がオランダの経験を積み、CSKAモスクワに移ってロシアのトップ・リーグでのプレーで大きく動くようになってきた。それは彼にも日本代表にもいいことなのだが、その本田の意欲に合わせた遠藤の縦パスはおそらくゴールライン付近でのFKまで想定に入っていただろう。
 パスそのもののキメの細かさは、タイムアップ直前の2点目に表れています。

――内田からのゴールライン近くからのクロスに、森本が飛び込み、彼に当たらずにゴール前に流れたのを本田がヘディングで決めたゴールですね。

賀川:ロスタイムに入ってすぐの右サイドでのプレーで、スローインから遠藤が縦にパスを出し、内田がそれに走り込みながらダイレクトでクロスを蹴った。遠藤のパスの強さといい、コースといい、申し分なかったから、内田は走った勢いをゆるめることなく余裕を持って正確に蹴り、それをニアで合わせようと森本が飛び込んだ。

――1点目は左サイド、2点目は右サイドから。1点目はファーを狙い、2点目はニアで合わせようとして、それがゴール正面へ流れる意外性あるボールとなって本田が決めたわけですね。

賀川:どちらもクロスのラインに2人、3人とプレーヤーが入ってくるのだが、クロスを蹴る者に余裕があれば精度も高まる。それには、そこへのパス、いわばラストパスの一つ手前のパスの質がモノをいう。俊輔や遠藤はマラドーナと同様にそこに絡んでもうまいプレーをする、ということです。

――不満な点は?

賀川:チームとしてはまだまだありますヨ。その前に本田圭佑にふれると――。
 意欲的に、シュートを5本打った。前半は、松井のオーバーヘッドの空振りのあとこぼれ球の小さい左足の振りのシュートと、それから自分で持ってシュート。後半は俊輔からのクロスの競り合いヘディングシュート(GKが防ぐ)と左足のシュート。そしてゴールとなったヘッドがあった。本人も最後に入ったからホッとしたといっていた。シュートそのものについてはまだまだ上達の余地ありというところだろう。

――日本のシュートは17本ありました。バーレーンは8本。

賀川:いまの日本代表は攻めても点を取れないといわれているが、シュートの力を伸ばし、ゴール前で工夫をもっとすることですヨ。それでも、シュートをしなければ点にはならないから、積極的にシュートをすることは悪くない。

――森本貴幸

賀川:後半の22分からで短い時間だったが、2点目に絡むなどゴール前のプレーはしっかりしている。彼のようにストライカーとしての技術や身のこなしを持っているプレーヤーが代表でもう少し多くの試合をこなせればいいと、誰もが思うだろう。

――ちょっと時期が遅いでしょうか

賀川:いくつかのプレーの感覚が仲間と合えば、本番の試合のたびにグングンよくなるという例もある。攻撃陣では、短い時間だったが玉田圭司が自分の特徴を発揮する役柄を覚え始めたようですネ。
 岡崎も昨年に急速に伸びたあと、ここしばらく足踏み状態のようだったが、この試合のゴールでまた上向きになってくれそうだ。

――まずはよかったということですね。この次は海外組なしで、キリンチャレンジカップでセルビアと試合をします(編集注:岡田監督は、海外組を招集したい意向を示している)。

賀川:中村俊輔がJでどのように適応しコンディションをよくしてゆくか、遠藤が昨シーズンからの疲れがたまっているのかどうかなども、1ヶ月後にもう一度見られるわけですヨ。もちろん、2人だけでなく全選手もそうだが……。

――Jリーグの中で、代表が何をプラスしてゆくかも楽しみですね。


【了】

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