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“GK大特集” 清水和良カメラマンの新基軸の写真集

2009/12/22(火)

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サッカーベストシーンEX.3 最強GK列伝(コスミック出版)


――フリーのカメラマン、清水和良さんのGK(ゴールキーパー)の写真集が出ていますね。

賀川:僕は今、週刊サッカーマガジンにストライカーの話を連載しているのだが、そのストライカーの対極にあるポジションがGKと言えるだろう。11人のプレーヤーの中で唯一人、手を使うことの許されているポジションでゴールを守るスペシャリストは、まあピッチの上でも特殊な存在。それをフォトグラファーの視点でまとめたらしい。コスミック出版からことし夏に出版した。コスミック社のムック版というのか、サッカーベストシーンというシリーズの一つ。「世界にただ1冊! GK大特集本」とある。

――夏の出版から、ちょっと日が過ぎていますが……

賀川:実は、この本を見てすぐこの欄で話題にしようと思ったのだが、この原稿のあしらいにと考えた清水さんと僕が一緒に写っているフォトがなかなか見つからない。最近になって出てきたので、遅ればせながら本の紹介を――ということになった。

――GKの特集という視点が面白いですね。

賀川:フリーのフォトグラファーとは何人かとときどき話をするが、彼らは書き手の記者(Written Press)よりもずっと選手に近いところにいて、スタンドの記者席とはまた違うところから、しかもレンズを通して見ている。僕にもいろいろ参考になる意見を聞かせてくれるんだよ。

――清水さんとは?

賀川:そんなに深いつきあいというわけじゃないが、初めて会ったのが1978年のワールドカップ(W杯)、ブエノスアイレスだからかれこれ30年来の長いつきあいですよ。確かあのときは、彼は宿舎の予約もしないでブエノスアイレスへ飛んできて、始めのうちはホテルの従業員の家に泊めてもらったという。

――フリーのカメラマンは行動力があると、いつも話してますよね。

賀川:言葉(外国語)のできる人もいるし、それほど話せない人もいるけれど、カメラマンは写すとなるとまるで人が変わったかと思うほど粘るし、押しが強くなる。アルゼンチンW杯の頃の清水さんは、まだボンボンのような若い感じだったが、サッカーを撮るという意欲に感心させられた。

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EURO80 イタリア大会、ローマでフリーランスカメラマンたちと食事。
テーブル左から、富越正秀、清水和良、賀川、一人おいてサッカーマガジン千野圭一編集長



――ローマでフリーのカメラマンと一緒に食事をしている写真がありましたね。

賀川:80年の欧州選手権(EURO80)のときですよ。このときは、日本からは新聞社はもちろんサッカー専門誌でもたかだか一人ずつくらいしか取材に来ていなかった。記者の数よりフォトグラファーの方が多いのだから、それも全部フリーランスだった。

――ゴール裏からGKを撮影できるのはすごいですね。

賀川:当時でもW杯などはカメラマンの数が多くて、ピッチで撮影するのに場所の割り当てが大変だった。簡単に動き回れる所じゃないから運もあるけれど、皆しっかりした写真を撮っていた。
 ゴール裏のカメラマンにしてみると、GKはいつも背中をみせて守っている。相手チーム側は自分の方へ向って攻めてくる。ただし、その相手のストライカー、昔ならセンターフォワード(CF)は、やはりフォトグラファーに背を向けていることも多い。彼らはそうした、僕たちスタンド席とは違う角度から見ているから、いっぱい面白い話を持っている。

――本の内容も、盛りだくさんですね。

賀川:いつもGKを身近に眺めている清水さんの彼らへの思い入れがぎっしり詰まっている。ピーター・シュマイケル川口能活のインタビューもあるし、各国の名GKの見事なプレーや迫力あるプレーがあって、それぞれの国のGKの系譜にも思いを馳せることができる。GKについての理解が深まり、サッカーがより楽しくなる1冊ですよ。なにしろ特別付録でヤシンやバンクスといった伝説のGKたちから現役のカシジャスにいたる名手のセービングのDVDまで付いているのだから――。

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コメント

GK大特集とあって、かつての世界的キーパーとしてヤシンやバンクスの名前が挙がっているのはわかるとしても、ウルグアイのラディスラオ・マズルケビッチの評価がもれているのがはなはだ残念です。
彼は、21歳で参加した1966年のイギリスワールドカップのときから注目されていて、1970年のメキシコワールドカップ当時は、国内に入るサッカー関連の情報は現在に比べて非常に少ない中にあって、マズルケビッチに関する雑誌の記事や試合中の写真から、彼の判断力や冷静さといったゴールキーパーとしての基本的資質はもちろんのこと、その並外れた身体的能力の高さ(特に跳躍力の素晴らしさ)に驚きを感じたものです。
彼は確かレフ・ヤシンの引退試合にも招待されて、モスクワで当時の世界的名選手たちといっしょにプレーをしているはずです。
南米サッカーに関する情報といえば、特にわが国では、ブラジルやアルゼンチンが中心となる傾向にあって、ウルグアイ選手は忘れられた存在になりがちですが、私は、ラディスラオ・マズルケビッチこそが史上最高のゴールキーパーである考えております。
現代のサッカーファンはどう思われるでしょうか?

投稿: Y-ONO | 2010年11月22日 (月) 12時06分

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