反転シュート、反転パス。日本サッカーの進歩の楽しさ
――Jリーグが風雲急ですね。
賀川:鹿島アントラーズがどんどん優勝に向かってゆくのだと思っていたら、そうはゆかずに負け続けたのが大きい。まあ、あれだけ勝ち続ければどこかで調子が落ちるものなのだね。
――関西人にはガンバが盛り返してきたのがうれしい。
賀川:もちろん、根っからの関西人のボクにはとても有難いが、日本のサッカー全体を見てもガンバがJのトップ争いにいて、そのプレーを多くの人に見てもらうことはとてもいいことだと思っている。
28節のガンバ対大宮アルディージャの試合でも、とてもいいプレーがあったよ。
――前半に0-1とリードされていたのを、後半に4点取った大逆転試合ですね。
賀川:大宮は前半、プレッシングがよく利いて、これならいける――と思ったのだろうが、後半の早いうちに同点にされてしまった。それは大宮の左CK直後のカウンターだった。
左CKをファーへ蹴り、そこに長身のDFマトが待っていたが、ボールは彼を越えた。マトをマークしていた中澤聡太が拾って持ち上がった。それへのプレスはほとんどなく、余裕を持って少しドリブルした中澤は左前方のスペース、つまり左サイドのスペースへボールを送った。そこには二川孝広が走り上がっていた。彼は落下点で右足(ボレー)に当てて、いったん後方を向き、小さくバウンドしたボールをそのまま中央のスペースへ送った。そのボールがペナルティエリアすぐ外に落ちた。
――走ってきたペドロ・ジュニオールにピタリと合いましたね。
神戸からガンバへ来たレアンドロが中東へ引き抜かれ、それをカバーするために新潟から獲得したプレーヤー。彼、ペドロにとって移籍後初のゴールとなりました。
賀川:レアンドロほど芸は多くないかもしれないが、スピードがあり、右利きでそちらへ持ったときは強い。ペドロ・ジュニオールにとって注文どおりのパスが来たわけで、相手DFが来る前にシュートを決めた。新しい選手の長所を引き出したのはさすがにガンバのMF陣だが、二川のプレーは多くの人に“見てくれましたか”と吹聴したくなるほどだった。
――というと……トラップからの反転が良かった?
賀川:走っていてボールを止め、後方を向いて、前方から来る相手DF(かなり間合いは遠かった)に背を向ける形となったまま、ボールを相手DFラインの背後へ送ったところが、この一連のゴールのミソというのか、見どころです。
――賀川さんがよく言う、「ゴールに背を向けた体勢でのシュート」とか「スルーパスを出すのは相手ゴールに背を向けたとき」……
賀川:そう。いくらいい所へパスを送っても、相手が察知すれば得点となりにくい。だからパスでもシュートでもタイミングが大切。このときはまさに、このタイミングだったし、それがまた相手には読みにくい体勢からのボールだったといえる。テレビ解説をしていた金田喜稔(かねだ・のぶとし)さんも「うまい」と叫んでいた。こういうプレーが試合中に見られるようになっていることが、日本サッカーの進化の証(あかし)だと嬉しくなりますヨ。
ついでながら、こういう巧さというかパスの極意というのか、高いものを見せてくれることも大切だが、この日の4点目のときの安田理大のプレーも現代サッカーで当然といいながら運動量の大切さを示したものだった。
安田は3-1となってから左サイドの下平匠と交代で出場した。その彼はこのチャンスのすぐ前の相手の攻めのとき懸命に走って相手FWのシュートを防いでCKに逃げた。そしてその右CKのカウンターで後方から走り込んで遠藤からのパスを受け、ペナルティエリア内に深く侵入して速い平行(ゴールラインと平行)クロスを送って山崎雅人のゴールを生んだ。
――交代で入った元気な選手に、ピッチいっぱいに走られると相手も堪えますからね。
賀川:監督はそれを要求して安田や山崎を終盤に送り込み、それに選手も応えるプレーをするのだから、サポーターも嬉しくなるだろう。
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受信: 2009年10月11日 (日) 00時35分
» 森本の反転シュートにニンマリ [虹色スタジアム]
昨日は日中、暑かったので久しぶりにざる蕎麦
「ことし最後(の ざる蕎麦)かなぁ」なんて
賀川さんと話しながら注文した。
左が並盛り、右は大盛り。相変わらず豪勢な盛りっぷりでございます。
モリといえば(?)フル代表デビューを果たした森本貴幸
。
この日... [続きを読む]
受信: 2009年10月14日 (水) 15時05分
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