オランダ遠征2試合を見て(4)
~得点への意欲が強まり、第2戦でそれがスコアに表れたのは何より。憲剛をはじめイレブンのレベルアップへの努力に期待~
――中村憲剛を一つの例として、日本サッカーの得点力アップの可能性を話してもらったのですが、遠征全体としては?
賀川:DFで岩政大樹をケガで使えなかったこと、新しいところでは森本貴幸も登場できなかったのは惜しい。
オランダはかつてのファンバステンやライカールト、ルート・フリットといった超大物はいないが、粒のそろったいいチームだった。プライドの高い彼らが、はじめのうち日本のメチャメチャに走り回るやり方に対応できずイライラしてファウルするのが面白かった。ただし、日本選手には気の毒。俊輔も足をやられたのだからネ。ああいうときに先制ゴールを挙げるためには、動きの落ちたガーナを相手に点を取るのとは少し違う。そのための攻めの仕掛けにも、シュートへの入り方にも、もっと積極的で、もっと賢くなくてはならない。ヨーロッパ人のいう“キツネのように”というプレーですヨ。
――騙すわけですね。
賀川:それも難しいことではない。攻め込んだら、まずボールが来たらシュートする、点を取ろうという気になること。その“気”に相手も反応する。そこでパスが生きるわけだ。はじめからパスの経路を探せば相手はすぐに見破るから……。もちろん、実績あるストライカーがいれば、それだけでも相手に威圧感を与えるけれど、いまはそうはゆかない。
――だから、相手が面食らっている間にゴールする、と。
賀川:そういうこともある。岡崎慎司という“飛び込み”型が一人定着した。シュートへのリバウンドやこぼれ球も狙える。もちろん、シュート力そのものも、いまの若いうちに向上してほしいネ。遠征で活躍できた者も、遠征にゆけなかった者も、まだチャンスはあるし、10月のキリンチャレンジカップにはスコットランドとトーゴが来て相手をしてくれる。その前にアジアカップ予選の対香港もある。
――秋はいよいよ楽しくなりますね。ヨーロッパの秋も楽しみ。レアル・マドリードもバルサもすごいですよね。
賀川:プレミアリーグも面白いし、いいサッカーを見られるけれど、そのヨーロッパで中村俊輔がなぜ尊敬されているか、本田圭佑が注目されているかをもう一度考えて欲しい。
――二人とも左利きですが……
賀川:右足、左足はともかく、共通していることはキックの上手さですヨ。本田は若いときから左足で強い球を蹴れた。浮かせるキックもしていた。俊輔については皆さんご存じのとおり。自分のキックの型を持っていて、それがチームの役に立つと、二人とも認められている。もちろん他にいくつも上手なところもあるが、まず基盤となっているのはキックですヨ。
――シュートを含めて、キック全般のレベルを上げろということですね。
【了】
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