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日本代表 vs カタール代表(4)

2009/06/17(水)

――一つの試合で得点できなかったチャンスを、もう一度振り返ってみることは大切ですね。

賀川:日本の多くの指導者が神様のように思っているデットマール・クラマーも、いつも言っていますヨ。もっとシュートの練習をしろ、とネ。ただし、そのシュートがなぜバーを越えたのか、なぜポストの外へ外れたのか、一本一本の失敗について選手もコーチもよく勉強してほしいと言っている。

――ウズベキスタンでは相手のシュートミスもあったし、カタール戦も、ずいぶんカタールのシュートミスに日本は救われた。それでもPKで1点を取られた。

賀川:あの落ち着いた楢崎正剛が、PKのときヤマをかけて先に左へ(キッカーから見て右へ)動いたのは損だったが……。あれはちょっと聞いてみたいところだネ。

――そのPKとなった原因は、中澤佑二のホールディングでした。“手を使う”ことについて、賀川さんはウズベキスタン戦のときにも日本選手の手の使い方が“あからさま”すぎると言っていましたね。

賀川:そう、フィリップ・トルシエというフランス人の監督が、日本人プレーヤーは手や腕の使い方が下手だといって、代表の練習で教えた。その練習がまたテレビで日本中に映しだされた。トルシエは相手が手を使うことへの対応のつもりだったかもしれないが、「世界中、手や腕を使うのは当たり前で、これが上手にならないといけない」という感じになってしまった。だからJリーグでも手を使う反則は多い。
 そしてどういうわけか、ここのところ後方から手を使う反則にアジアでもレフェリーの判定が厳しくなっているように感じる。

――JFAの審判委員会の見解を聞きたいところですね。

賀川:審判でなくても、それぞれのクラブのコーチたちが試合のビデオを見直して、笛を吹かれたファウルのうち、手を使ったファウルがどれだけあったか調べて数字に表せばいいことですヨ。いまはそういうことを抜き出せる装置も開発されていると聞いている。だが、そんな便利な機械がなくても、きちんと調べれば出てくるはずですよ。
 前にも言ったかもしれないが、昨年のJリーグ終盤の優勝に絡む鹿島アントラーズジュビロ磐田の試合での鹿島の決勝ゴールは、左FKから岩政がヘディングで決めたが、そのファウルはマルキーニョスに対する駒野の後方からのプッシングだからね。大して強く押したわけじゃないが、マルキーニョスの上手なスクリーニングに対して駒野が背後から体を寄せていったときに駒野の手が前に出ていた。接触してマルキーニョスが前に倒れたときに、笛を吹かれた――と覚えている。

――そう言われても、いまから代表選手の手を前に出す癖は直りますか?

賀川:それは心がけ次第。それとともに、若い世代が、相手にかわされたときに簡単に手を使って(ホールディングなので)相手を止めようとすることで、体の反転や足のステップといった身のこなしが発達しなくなるのが問題ですヨ。南米やヨーロッパのトップクラスでも手を使う見苦しいプレーが多い。相手に負けまいとする意識、自分の局面での責任を果たそうとする意欲は大切だが、ものには限度があり、バランス感覚がなくてはならない。手を全く使うなと言っているのではないが、いい選手というのはそういうものだと言いたい。

――ちょっと話が深いところへゆきましたが、ともかく、7戦無敗(4勝3分け)でオーストラリアでの最終戦を迎えることになりました。

賀川:岡田監督はチームをうまく導き、選手たちも徐々に力をつけて結果を出してきた。人口1億のサッカー大国の日本という観点からすれば、そのトップである代表チームの実力がこのままであってよいわけではないが、歴史とそのあゆみからゆけば、まずいいところだろう。アジアの代表になったのだから、本番ではそれこそ世界を驚かせてほしい。そのためにも、オーストラリアとはいい試合をして勝ってほしい。中村俊輔が出場できないかもしれないが、それでも勝っても不思議ではない相手だ。


【つづく】

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