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日本代表 vs カタール代表(3)

2009/06/16(火)

――ゴールというのは、クリーンシュートや豪快ヘッドばかりではないわけですね。

賀川:こういう地味なゴール、相手から頂いたゴールもまた大事な得点の一つですよ。
1960年代のマンチェスター・ユナイテッドの名FWデニス・ロー(Denis Law)も「輝かしいプレーの集積のゴールもあれば、混戦から生まれるものも、オウンゴールもPKもあるが、すべては1点となり、ゴールはとても重大なものだ」と言っている。

――デニス・ロー……いま、サッカーマガジンで連載している『我が心のゴールハンター ~ストライカーの記憶~』の、デニス・ベルカンプ(オランダ)の憧れの人ですね。

賀川:6月10日のこの右サイドの攻めからのオウンゴールも、最後のところは相手選手であっても、その過程はデニス・ローのいう輝かしいプレーの集積だからネ…。それはともかく、このゴールは場内の6万のサポーターを喜ばせ、2点目への期待を高めたが、なかなかそうはゆかなかった。

――9分に、左サイドから攻めて2点目のチャンスがあったのですが…

賀川:これは左サイドの今野泰幸と田中マルクス闘莉王のパス交換から、闘莉王が左前のスペースへロブのボールを送り、玉田圭司がいいタイミングでDFラインの裏へ走り抜けて、ペナルティエリア左からゴールライン近くまで入り込んでクロスを送った。完全に裏を取った玉田の走り込みからノーマークのクロスだったのだが…。

――GKブルハンが体に当て、そのリバウンドを岡崎が走り込んで左足に当てたが、左ポスト外へ出ていった。

賀川:玉田がDFラインの裏でボールタッチしたときには、ニアサイドに岡崎、ゴール正面に俊輔がいた。パスのボールの強さもあったのだろうが、ボールはわりあい速く転がって、玉田はスピーディにエリア内に入り、ゴールライン近くまで来た。

――賀川さんがいつもいうエリア内ゴールライン近く、絶好のチャンスですね。

賀川:ただし、この位置へ来ると角度が狭くなってクロスは難しくなる。GKブルハンは超ノッポときている。通常、このあたりからのクロスは少し後ろ目へ戻すグラウンダーか、GKの上を越えるフワリとしたクロスか、そしてGKとDFラインの間を通す速いクロスかのどれかになる。玉田は自分の位置から見て、GKとDFラインの間を抜こうとしたのだろうが、左足サイドキックで蹴ったボールはGKに当たってリバウンドした。それに岡崎が反応したが、DFに絡まれて出した左足ではきちんと叩けず、足に当たったという感じで左外へ出てしまった。

――こういう場合、評論家は「狙いは良かったが…」という言い方をしますが…。

賀川:左ペナルティエリアの根っこ、つまり左ゴールポストから16.5メートルとゴールエリアの根っこつまり5.5メートルまでの間、ゴールライン近くからのクロスは、先に言ったとおり、DFはCKと同じでボールを見れば相手FWの動きを見失うという難しさがある。だから、正確なパスが味方にゆけば絶好機になるが、この位置へ入り込んできたプレーヤーが何通りかプレーを正確にできなければならない。

――玉田はそれほどのバリエーションは持っていなかった?

賀川:この位置でパスのバリエーションを持っているプレーヤーは日本では少ないヨ。玉田選手は体が強く、ドリブルも速く、またかなり強い持ち方もできる私の好きなタイプのFWだが、得意の左足シュートでもバリエーションは少ない。

――となれば、

賀川:もう少し早く、角度が狭くならないうちに左足でシュートをするか、DFラインとGKの間を速いボールを通すか、だろうね。彼は左足でニアサイドを抜くシュートはほとんどしない。2006年のW杯、対ブラジルの先制ゴールは、彼の数少ないサイドへのシュートの得点だが、その後もほとんど見ていない。練習すれば、彼のように運動能力の高い人ならすぐできるようになるだろうがね。
 もちろん、あの角度でもクロスを出すと見せてニアサイドへシュートすることも熟達したFWならできるはず。大事なことは、この日は裏へ飛び出した彼が自分のフィニッシュプレーをイメージして最初のタッチをしたか、そしてそのイメージが、ゴール前に詰めた岡崎と俊輔と同じものだったかどうか――知りたいところだネ。

――試合の後で話し合っているでしょう。

賀川:現代のサッカーは守りの組織が良くなり、守備の選手の個人能力がアップした。特にゴールキーパーの体格が良くなって、守る範囲も広く、体の動きもスピーディになっている。したがって、ゴールを決めるにはシューターの個人能力アップとともに攻撃側の何人かのプレーヤーがフィニッシュについてのイメージを共有することも必要となってくる。この9分のチャンスは、玉田のスピードを生かしての左からの突破であっただけに、モノにしておきたい一つだった。なぜゴールできなかったかを、皆で考えたいところだね。

――こういうチャンスをモノにできれば、試合は楽になる。

賀川:ウズベキスタンでも2点目を取れなかったために苦しくなった。この日も同じ。特に、本番へ行けるという、“ひと山”を越した後だから、疲れるとそれがまともに響いてきた。


【つづく】

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