ヴィッセルが川崎に勝つ。久しぶりに宮本恒靖を見た(下)
――ヴィッセルのファンも、これでいけると思ったでしょうね。川崎はまた攻めて点をとらなければいけない。しかし、時間とともに少しずつ疲れが出てくる。
賀川:2点目はまさにそういう時間帯、後半20分だった。ヴィッセルは後半15分にFW須藤に代えて松橋章太を投入し、その彼がゴールした。
――金南一(キム・ナミル)のバックワードヘディングを、松橋が走り込んで決めましたね。
賀川:河本を入れたことで、金が前へ上がれるようになったのだとカイオ監督は言っていた。
実はその前に相手ボールになるのを追っかけて、ヴィッセルのスローインにしたところがこのゴールの大きな伏線となっていた。この前の2分ばかりは攻め込まれていて苦しかった。ジュニーニョやヴィトール・ジュニオールなどの崩しだけでなく、谷口の飛び出しというこのチームの十八番も出始めていた。そんな守勢の中から右DFの石櫃(いしびつ)洋祐が左足で大きくクリアしたボールが誰もいない右前方のオープンスペースへ飛んで転がり、
(1)川崎のベテラン寺田周平がタッチライン際で追いついた。そのままボールが出ていれば川崎側のスローインだが、
(2)猛烈な勢いで追走してきた馬場賢治が寺田の後方から体を入れようとして、この絡みのために寺田の足にボールが当たったと副審はヴィッセル側のスローインを示した。石櫃がスローインし、吉田が受けて左足でペナルティエリア中央へボールを送り、そのボールを金南一がヘディングした。相手を背にして頭で背後へすらせたヘディングパスは彼の狙い通りゴールエリア内、ファーポスト寄りに落下した。そこへ松橋が走り込んで来て、ノーマークで頭で叩いた。
――たしか松橋は国見高校で大久保嘉人と一緒でしたね。
賀川:俊敏さで知られていたネ。須藤の高さ(183センチ)とは別の、松橋の魅力を買って登場させた監督の意図が成功したと言えるネ。川崎にとって開幕からACLを含めての3戦目は辛い結果になった。
――神戸にとっては大きな勝ち星です。
賀川:そう、試合の展開を見ていると、ともかくいい攻めをしよう、動いて体を張ってしっかり守るだけでなくボールをつないでうまく攻めよう、点をとろう、という意欲が出てきている。ヴィッセルにとっては、強敵からの1勝は大きな励みになるだろう。
ことしのJは、浦和もこれまでとは異なり、まずしっかりつないでゆくことをフィンケというドイツ人監督がテーマにしているようで、こういうまともなサッカーをチームが目指すようになってきたこと、そしてそういうチームが結果を出してくれることが嬉しい。
――セレッソもヴェルディに勝ちました(2-1)。
賀川:ボールをつないで攻めるというのは、チーム全員のテクニック、とくに蹴る――キックの技術が確かにならないとうまくゆかない。そのための技術アップ、キック力アップがひいてはシュート力アップにつながるからネ。
【了】
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