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ネコとストライカー

2009/03/26(木)

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 NHKテレビを見ていたら、有名な動物写真家の岩合光昭(いわごう・みつあき)さんが近いうちに映画をつくる、その対象がネコだという話が紹介された。アフリカの森林や草原、北極の雪と氷、あるいは不毛の砂漠といった世界中を飛び回って野生動物の素晴らしい映像を撮り続けてきたこの人が、“ネコは私の永遠のテーマ”とおっしゃる。

 少年のころ犬が好きで、ある時期は犬の訓練士か陸軍へ入って軍用犬の係になりたいなどと考えたこともあった私だが、84歳の今の生活のパートナーはダイ(ダイスケ)というトラ毛のネコ一匹。ネコとのつきあいはそれほど長くはなく、たかだか20年くらい。ダイはその3代目。一緒に暮らしてみると、この小さな動物の不思議な魅力を知り、世間に“犬党”と対抗する“ネコ派”がいることに合点した。

 ダイと遊んでいて感じるのは、人に飼われてペットとなって長い時代を経ているにもかかわらず、どこか野生を残していること。鳥などを襲うところはライオンやトラと同じ仲間だと思わせてくれる。そして一番面白いのは、彼が朝に小さな庭に出たとき、小鳥を攻撃するために必ず身を隠すことだ。
 家の中で“ネコじゃらし”のような遊具を相手にするときでも、攻撃する前に必ずいったん身を隠すのが習性のようである。
 戦前の日本サッカーで“シュートの名人”“得点機械”などと言われた川本泰三さん(1914-85)が、自分のシュート位置へ走り込む前にいったんマーク相手から隠れることを“消える”という表現を使ったのだが、うちのダイくんもまた、自分では消えるつもりでいるのだろう。

 そうそう、この“消える”については『週刊サッカーマガジン』の連載「我が心のゴールハンター ~ストライカーの記憶~」の釜本邦茂シリーズでもふれている。
 98年のフランス・ワールドカップ日本クロアチアに敗れた(0-1)とき、得点したのはクロアチアのFWダボール・シュケルだが、彼をマークした日本のDF中西永輔は、“シュケルがいなくなってしまった”と語っていた。左サイドから送られたアサノビッチのパスに対して、シュケルはいったん右(外)へわずかに動いて――中西の視線はアサノビッチとボールに向いていた――中西の視野から消え、次に中西の目が彼を捉えたときにはすでに得点の左足シュートの形に入っていたのだった。
 ダボール・シュケル。98年ワールドカップの得点王となったこのストライカーもまた、ネコ族の仲間なのかも知れない。
 そういえば、日本の“消える”元祖・川本さんは、“ネコがじゃれるようにボールとじゃれる”と言ったことがある。

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