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2009年3月

ネコとストライカー

2009/03/26(木)

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 NHKテレビを見ていたら、有名な動物写真家の岩合光昭(いわごう・みつあき)さんが近いうちに映画をつくる、その対象がネコだという話が紹介された。アフリカの森林や草原、北極の雪と氷、あるいは不毛の砂漠といった世界中を飛び回って野生動物の素晴らしい映像を撮り続けてきたこの人が、“ネコは私の永遠のテーマ”とおっしゃる。

 少年のころ犬が好きで、ある時期は犬の訓練士か陸軍へ入って軍用犬の係になりたいなどと考えたこともあった私だが、84歳の今の生活のパートナーはダイ(ダイスケ)というトラ毛のネコ一匹。ネコとのつきあいはそれほど長くはなく、たかだか20年くらい。ダイはその3代目。一緒に暮らしてみると、この小さな動物の不思議な魅力を知り、世間に“犬党”と対抗する“ネコ派”がいることに合点した。

 ダイと遊んでいて感じるのは、人に飼われてペットとなって長い時代を経ているにもかかわらず、どこか野生を残していること。鳥などを襲うところはライオンやトラと同じ仲間だと思わせてくれる。そして一番面白いのは、彼が朝に小さな庭に出たとき、小鳥を攻撃するために必ず身を隠すことだ。
 家の中で“ネコじゃらし”のような遊具を相手にするときでも、攻撃する前に必ずいったん身を隠すのが習性のようである。
 戦前の日本サッカーで“シュートの名人”“得点機械”などと言われた川本泰三さん(1914-85)が、自分のシュート位置へ走り込む前にいったんマーク相手から隠れることを“消える”という表現を使ったのだが、うちのダイくんもまた、自分では消えるつもりでいるのだろう。

 そうそう、この“消える”については『週刊サッカーマガジン』の連載「我が心のゴールハンター ~ストライカーの記憶~」の釜本邦茂シリーズでもふれている。
 98年のフランス・ワールドカップ日本クロアチアに敗れた(0-1)とき、得点したのはクロアチアのFWダボール・シュケルだが、彼をマークした日本のDF中西永輔は、“シュケルがいなくなってしまった”と語っていた。左サイドから送られたアサノビッチのパスに対して、シュケルはいったん右(外)へわずかに動いて――中西の視線はアサノビッチとボールに向いていた――中西の視野から消え、次に中西の目が彼を捉えたときにはすでに得点の左足シュートの形に入っていたのだった。
 ダボール・シュケル。98年ワールドカップの得点王となったこのストライカーもまた、ネコ族の仲間なのかも知れない。
 そういえば、日本の“消える”元祖・川本さんは、“ネコがじゃれるようにボールとじゃれる”と言ったことがある。

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侍ジャパンのチームワーク

2009/03/25(水)

賀川:WBC、ワールドベースボールクラシックという名の国際野球大会で、日本代表の「侍ジャパン」がキューバ、アメリカ、韓国といった強いチームを破って前回に続いて連覇を遂げたね。試合内容も面白かったし、日本と韓国の5度の対戦でずいぶん盛り上がった。韓国チームも素晴らしいが、侍ジャパンもとてもいいプレーをした。

――サッカーの世界選手権(ワールドカップ)とはちょっと質が違っている気がしますが……

賀川:まぁ、その話は次の機会にでも――。
 テレビで川崎選手だったかが、控えで試合に出ていないときでも“ずっと試合に参加していた”から出場したときも大事な場面で働けた――というのを聞いて、やはり、日本人選手のチームに対する献身的姿勢はサッカーも野球も同じだナと思った。
 1968年のメキシコ・オリンピックでサッカーが銅メダルを獲得したとき、控えの選手たちが涙を流して喜ぶのを見たデットマール・クラマーが、ピッチに立つことのなかったプレーヤーまでこんなに喜ぶところに日本の強さがある――と私に言ったものですヨ。
 そういう立派な選手が試合をする国際イベントの組織が、少し世界常識から外れているところが、ちょっと不思議なところ。こういうアメリカ人のやや異質な“国際”感覚、“世界”感覚について探索する報道があっても良かったのではないかなと思いはしたがネ。

――その話や、セレッソの若手、ACLについてもぜひ近いうちによろしくお願いします。そう、バーレーン戦もありますね。

賀川:スポーツは面白い。関西のサッカーも日本のサッカーも面白いですヨ。

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Jリーグ入場者1億人突破おめでとう!

2009/03/24(火)

――Jリーグの通算入場者数が、3月22日で1億人を超えましたね。まずはおめでとうということでしょう。

賀川:3月14、15日のJ1、J2各第2節までの入場者数が9994万2105人となっていた。これに3月17日のACL(アジアチャンピオンズリーグ)の名古屋対北京国安(中国)、鹿島対上海申花(中国)の観客数(13,749)を加えると9995万5854人。したがって第3節の前には1億人までに4万4千人余(4万4146人)となっていた。

――ACLも勘定するのですね。

賀川:日本にプロフェッショナルがスタートして正式に試合をしたのは92年、Jリーグ開幕の前の年にJリーグカップを始めた。そこから勧請して、プロのJ加盟チームの公式試合の入場者数をカウントした。J1リーグは17シーズン目、J2リーグは11シーズン目を現在行なっているが、カップ戦もそうだ。
※Jリーグ発表の1億突破の数字の内訳はこちら

 最初、10チームでスタートしたJリーグが、いまやJ1が18、J2も18になった。J1は一昨年が1試合平均1万9,081人、昨年が1万9,278人と増加傾向にあり、ことしは第2節までの18試合で合計39万649人、平均2万2,703人となっている。

――関西も少し賑やかになってきましたね。

賀川:ガンバ大阪がいいサッカーを展開して勝っていること、そのガンバを第3節で京都サンガが破ったように、京都や神戸がようやくチームづくりの基礎が固まり始めたこともあり、入場者数も伸びてくるでしょう。
 一番大きな器(うつわ)を持っているセレッソ大阪がJ2にいて、客数はそれほど多くはないが、香川真司や乾貴士といった若いスターもいるし、ともかく開幕3連勝でJ2のトップグループを走っている。連勝すればメディアの関心も強くなり、評判になって入場者数も増えるハズですヨ。実際、3連勝の次の日の朝日新聞のスポーツ欄で2段の見出しがついていた。

 そうそう、観客動員の増加にはクラブの努力とテレビ放送も大きい。今年はACLの放映をテレビ朝日のBSで見られる。JリーグのNHK BSをはじめテレビ各局の放送も大きなバックアップですヨ。

――しんどいニュースの多いなかで、スポーツぐらいは明るい話題がほしいですよね。

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ヴィッセルが川崎に勝つ。久しぶりに宮本恒靖を見た(下)

2009/03/20(金)

――ヴィッセルのファンも、これでいけると思ったでしょうね。川崎はまた攻めて点をとらなければいけない。しかし、時間とともに少しずつ疲れが出てくる。

賀川:2点目はまさにそういう時間帯、後半20分だった。ヴィッセルは後半15分にFW須藤に代えて松橋章太を投入し、その彼がゴールした。

――金南一(キム・ナミル)のバックワードヘディングを、松橋が走り込んで決めましたね。

賀川:河本を入れたことで、金が前へ上がれるようになったのだとカイオ監督は言っていた。
 実はその前に相手ボールになるのを追っかけて、ヴィッセルのスローインにしたところがこのゴールの大きな伏線となっていた。この前の2分ばかりは攻め込まれていて苦しかった。ジュニーニョやヴィトール・ジュニオールなどの崩しだけでなく、谷口の飛び出しというこのチームの十八番も出始めていた。そんな守勢の中から右DFの石櫃(いしびつ)洋祐が左足で大きくクリアしたボールが誰もいない右前方のオープンスペースへ飛んで転がり、
(1)川崎のベテラン寺田周平がタッチライン際で追いついた。そのままボールが出ていれば川崎側のスローインだが、
(2)猛烈な勢いで追走してきた馬場賢治が寺田の後方から体を入れようとして、この絡みのために寺田の足にボールが当たったと副審はヴィッセル側のスローインを示した。石櫃がスローインし、吉田が受けて左足でペナルティエリア中央へボールを送り、そのボールを金南一がヘディングした。相手を背にして頭で背後へすらせたヘディングパスは彼の狙い通りゴールエリア内、ファーポスト寄りに落下した。そこへ松橋が走り込んで来て、ノーマークで頭で叩いた。

――たしか松橋は国見高校で大久保嘉人と一緒でしたね。

賀川:俊敏さで知られていたネ。須藤の高さ(183センチ)とは別の、松橋の魅力を買って登場させた監督の意図が成功したと言えるネ。川崎にとって開幕からACLを含めての3戦目は辛い結果になった。

――神戸にとっては大きな勝ち星です。

賀川:そう、試合の展開を見ていると、ともかくいい攻めをしよう、動いて体を張ってしっかり守るだけでなくボールをつないでうまく攻めよう、点をとろう、という意欲が出てきている。ヴィッセルにとっては、強敵からの1勝は大きな励みになるだろう。
 ことしのJは、浦和もこれまでとは異なり、まずしっかりつないでゆくことをフィンケというドイツ人監督がテーマにしているようで、こういうまともなサッカーをチームが目指すようになってきたこと、そしてそういうチームが結果を出してくれることが嬉しい。

――セレッソもヴェルディに勝ちました(2-1)。

賀川:ボールをつないで攻めるというのは、チーム全員のテクニック、とくに蹴る――キックの技術が確かにならないとうまくゆかない。そのための技術アップ、キック力アップがひいてはシュート力アップにつながるからネ。


【了】

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ヴィッセルが川崎に勝つ。久しぶりに宮本恒靖を見た(中)

2009/03/19(木)

賀川:FM放送といっても、試合の実況はアナウンサーと加藤寛くんがした。私は試合前に少しだけ、神戸のサッカーについて話しただけですヨ。はじめからその予定で、試合はじっくり、一人で放送ブースとは別のところで見ていた。

――宮本恒靖は?

賀川:ヴィッセル神戸をナマで見たのは久しぶりだったが、ずいぶん良くなっていた。その一つは“宮本効果”、もう一つはカイオ・ジュニオールのおかげカナ。

――新しい監督さんですね。

賀川:練習を実際に見たわけではないから、彼のやり方を本当に理解するのはまだ今後のことになるが、選手たちがそれぞれの特徴を見せていた。ボールを持つか、ダイレクトでパスするかなどを自分の判断でしているように見えたのが楽しかった。点をとることと、そのシュートへの段取りには、監督さんは自分の考えを持っている人のように見えた。選手が割合にノビノビと、自分の得意なプレーを発揮しようとしていたのが良かったネ。

――宮本も、宮本らしかったと……

賀川:宮本恒靖という選手は、ガンバ大阪にいたときからよく見ていた。関西出身の出色のプレーヤーだからネ。かつての釜本邦茂、最近引退した森島寛晃ほど接触はしていないが、好きな選手の一人だった。
 それがオーストリアへ移ってからは一度も見ていなかったので、どれくらいやれるのか、彼のためにもヴィッセルのためにもいいプレーをして欲しいと思いつつも、不安はないでもなかった。むしろ大きかったと言える。

――それが実際は……

賀川:良かったネ。2002年のワールドカップの1次リーグ、対ロシア(1-0)の後で、「今日はパーフェクトだったネ」と彼に言ったことがあるが、この日の対川崎戦も、パーフェクトとは言えないにしても立派な試合ぶりだった。

――川崎の攻撃を1点に押さえたのですからね。

賀川:CF(センターフォワード)格の鄭大世(チョン・テセ)、ジュニーニョとヴィトール・ジュニオール、レナチーニョの3人のブラジル人が絡むこのチームの攻撃力は、Jでもトップだし、神戸よりは一段上だろう。彼らの支援には中村憲剛や谷口博之がいる。
 試合前のFM放送の最後に、今日の予想は? と聞かれて、ここで予想する以上勝って欲しいと言うことになる。それには2点得点することと言っておいた。 相手は強力だから、無失点というわけにはゆかない。しかしたくさん取られれば勝てない。だから勝つためには2点が至上命題というわけだった。

――そのとおり、2-1の勝利でした。

賀川:相手にはACLの疲れがあった。日本のサッカーは何といってもランプレーで動きの量が大きい。1週間に3試合は大変ですヨ。神戸は2試合だからネ。
 試合の流れも神戸には非常にうまくいった。前半は相手の動きが速くて、巧くて、神戸はそれになんとかついていったというところ。10本以上シュートされ、2点ぐらいはとられそうなのを、GKの榎本達也をはじめ一人ひとりの粘りで何とか防いだ。それが45分続いて、ロスタイムのところで1点とられた。
 これは、神戸側のFW須藤大輔がドリブルしているのを井川祐輔に奪われたところからはじまって、ジュニーニョからのクロスを鄭大世にヘディングで決められたのだが、ジュニーニョに渡る前にはヴィトール・ジュニオールだったかのヒールパスもあって、なかなか見事な攻めだった。何しろ、ジュニーニョがノーマークでボールを受けてドリブルしはじめたら、彼を食い止めるのは難しい。小林久晃が詰めたが結局クロスボールを蹴られてしまう。そのクロスも、ニアをカバーしようとする宮本恒靖の頭上を越え、鄭大世の上へピタリと合わせてきた。これはここまで防いできたGK榎本も防げなかった。

――前半を0-0でいっておけばと、スタンドのサポーターも思っていたでしょう。

賀川:そうだろうね。しかし、これが逆に川崎には前半ようやくにしても1-0にしたという安心となり、ホッとしたのかもしれない。それが後半に影響するということもあるからね。その不思議なところが、後半2分(47分)のヴィッセルのゴールに表れていたとも言える。
 そうそう、宮本恒靖という選手のうまさは守備での統率力、DFラインの前進後退やプレーのその時々での仲間へのアドバイスや後方からの指示などと語られるが、ここでボールを奪うことが攻めにつながる点を読み、実行するのもとてもうまい。前半のヴィッセルのシュートは7本あったけれど、スタンド全体が沸いたのは33分の吉田孝行のヘッドのときだった。これは宮本が相手のパスをインターセプトしてそのままドリブルで持ち上がり、ボッティに渡して、そのリターンを受けて右サイドへ送り、そこからのクロスに吉田が飛び込んだ。彼の攻め上がりのうまさと、ボールを持って出たときの形がいいから、ボッティも宮本にまたボールを預けたのだろう。
 後半の1点目は、須藤大輔が巧みなシュートで前へ出てきたGK川島永嗣の上を抜いたビューティフル・ゴール。須藤の前のスペースへ落とした吉田のパスもまた見事だったが、この攻めの起点も宮本から――。彼のヘディングだった。その展開は、
(1)相手のヘディングのハイボールを宮本がヘディングして高いボールを送るところからはじまる。
(2)これを追った河本裕之――後半はじめからボッティと交代――が左サイドの35メートル辺りでバウンドしたボールをとらえ、
(3)右足のアウトサイドで浮き球を中央へ送った。
(4)ボールは相手DFを越え、中央のペナルティエリア外5メートルに落下、そこへ走り込んでいた吉田が、これもバウンドしたボールをボレーでやわらかく右足で左前へ落とした。
(5)エリア内にトントンとバウンドしてゆくボールに須藤が走り込み、飛び出してきたGK川島の前で下から蹴って頭上を抜いたのだった。

――ボッティというチャンスメーカーを引っ込めて河本を起用した監督の交代策も当たりましたね。

賀川:ボッティはドリブルも上手で攻撃の組み立てには大切な選手だが、故障から回復したところで体調不十分とみてのことだったろう。彼の他にも2人のブラジル人がいるのだが、これも故障ということだ。ともかく、宮本のヘディングにはじまったこの1点目は、すべてワンタッチプレー、いわゆるダイレクトパスの連続だったから、川崎のDF陣も防ぐのが難しかっただろう。


【つづく】

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ヴィッセルが川崎に勝つ。久しぶりに宮本恒靖を見た(上)

2009/03/18(水)

■J1、J2の意義と地方都市の活性化

――3月7、8日のJ開幕に続いて、10、11日にはJ1の4チームのACL(アジアチャンピオンズリーグ)第1戦がありました。その次の土日、つまり3月14、15日にJの第2節――。この週の17、18日にはまたACLの第2戦が行なわれます。まさにサッカーの春ですね。
 ところで、ヴィッセルの試合を見に行かれたのですか?

賀川:J1第2節第1日のヴィッセル神戸川崎フロンターレは、ナマで見ましたよ。面白かったネ。今シーズンはワールドカップの前年で、アジア予選を突破して日本代表が南アフリカでの第19回大会への出場を決める年であるだけでなく、Jリーグ全体の質の高まる、機運の盛り上がる年だと思っている。J1、J2の1試合1試合がどれもとても楽しいものになりそうと期待している。

――何か予感があるのですか?

賀川:J2が18チームになった。北は札幌にはじまり仙台、水戸、宇都宮、前橋、横浜、平塚、甲府、富山、岐阜、岡山、徳島、松山(愛媛)、福岡、鳥栖、熊本といった、いわゆる地方の16都市をホームとする(複数の市をホームにするところもある)クラブと、東京、大阪といった大都市のチームでリーグが展開される。
 J1と違って3回戦制で、各チーム51試合。ホームでの試合数は25~26で、J初参加のファジアーノ岡山はホームで25試合(アウェー)を戦う。9ヶ月間に25試合だから、岡山の人たちは月に2~3回の割合でホームゲームを見られることになる。地方の都市でこうしたスポーツのプロフェッショナルの催しが定期的に開催されることは、サッカーにとっても、そのホームチームを持つ都市や周辺地域にとってもとても良いことだと思う。
 100年に一度の大恐慌などと経済的に困難な時期だと言われているが、そうした時期にこそ、東京だけの繁栄でなく地方の繁栄――そのための活性化が大事なんだよ。サッカーというチームスポーツが中・小都市の定期的なスポーツイベントとして発達したことは、ヨーロッパの歴史を見ても明らかで、J2もその意味で大いに貢献すると同時に自分たちのレベルアップを図ってほしい。

――そういえば、第1節の栃木のホームゲームは、観客数が5,000幾らと発表されていましたが、実際は1万をこえていたらしいですよ。入場者のさばき方が不慣れで、入場券の半券の“もぎり”ができなくて、そのまま入れてしまったという話です。

賀川:町の人にとっては、待ち遠しい試合だったといえるでしょう。1967年のメキシコ・オリンピック予選でも、国立競技場の入場券売り場が少なくて、臨時売り場の小さな建物が観客に押し倒された。東京でもそんなことがあったのだから、栃木(宇都宮)の場合も、まぁ運営の不得手というより、予想以上のお客が来たということだろう。お客さんの安全も、大事なことなんだが……。


■鹿島の敗戦、ガンバの3連勝

――第2節で、アントラーズが新潟に負けましたね(1-2)。鹿島はACLの第1戦にも勝てなかった。

賀川:鹿島にとっては、ゼロックス・スーパーカップでガンバ大阪に3-0で完勝、J1開幕戦で浦和レッズをホームに迎えて2-0で勝ったから、どこかに安心感があったのだろう。このチームの基本は、まずブラジル人のFWを含めての、前からの激しいプレッシングで奪うことからはじまる労の多いやり方で、その気にならなければなかなか“しんどい”こと。強敵に連勝してホッとしたあと、やはりよく動いてプレッシングのしっかりした韓国の水原三星とぶつかった。
 相手はホームだし、日本への対抗意識も強い。その強い気迫と接触プレーにタジタジとなった。向こうの方が走る選手が多いように見えたネ。完敗だった。水曜に韓国で試合をして、次が上り調子の新潟、しかも相手のホームだった。

――一方、ガンバは第1、2節に連勝。ACLの第1戦にも勝ちました。

賀川:サッカーは面白いネ。ガンバにとっては、Jの第1節、2節はそれほど難しい相手ではなかったし、ACLの中国のチーム(山東魯能)もそうだった。必ずしもガンバが素晴らしいとばかりは言えないが、このクラスを相手に3試合とも3点差で勝ち星を残すところが、やはり地力というのか、チーム全体、各ポジションのプレーヤーがいいサッカーを心がけているからだと言える。ACL第2戦、韓国へ乗り込んでの試合(対FCソウル)が見ものだネ。

――2節を終えて、J1はガンバ、J2はセレッソと、大阪を名乗るチームがトップですよ。

賀川:まだ2試合だが、連勝は悪い話じゃない。初戦を京都で落としたヴィッセル神戸が第2節で川崎フロンターレに勝ったのは大ヒットだったネ。

――その話を待っていたのですよ(笑)。


【つづく】

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春爛漫? J開幕

2009/03/13(金)

――Jリーグが開幕しました。初戦でアントラーズガンバが勝ち、入場者数もまずまずでしたね。

賀川:今年はJ2が18チームになって、J1、J2ともに各18チームと形が変わった。93年にJが開幕したときは10チームだけで、次の年に12、その次の95年には14、96年に16、さらに98年に18。99年にはJ2ができた。

――そのときJ2は10チーム、2001年に12チームになりました。

賀川:J1はファーストステージ、セカンドステージと、それぞれ1回戦ずつでの優勝争いがあるという、世界各国から見れば独特のやり方だった。2005年から2ステージ制をやめ、18チームによる1シーズン制をとった。Jへの参入希望クラブが増えて、今度J2が18チームになった。

――開幕から17シーズン目ですね。

賀川:その間に90年代後半の土地バブル崩壊という経済危機があり、今また、アメリカ発のサブプライムローンの崩壊にはじまる世界恐慌に見舞われている。93年のJのスタートも、あれが3年遅れておれば、スポンサーの面で難しいこともあったかもしれない。今回のJ2増加も、一歩先に決めていたからネ。

――企業内のスポーツでは、日産のような大きな会社の野球部が休部するとか、西武鉄道のアイスホッケー部が解散するとかのご時勢に、J2が増えたのです。

賀川:開幕第1節は、土曜・日曜日に合計18試合が行なわれた。それもプロフェッショナルの全国リーグだから……。
 あの東京オリンピックの翌年(1965年)にプロ野球以外で日本スポーツ初の全国リーグ「日本サッカーリーグ(JSL)」をスタートさせた。44年前、8チームの企業チームでスタートしたのが28年後にプロのJリーグとなり、それが16年後に今のJ1、J2になったのだから……。

――半世紀近くかかりましたが……

賀川:J2の岡山の開幕試合は、1万人を超える観客が集まったでしょう。J1から落ちてJ2の初日を迎えた札幌では2万人を超えるサポーターが集まって、J1への再出発を応援した。

――ところで、J1はやはり鹿島の3連覇が話題ですか?

賀川:ガンバ大阪を忘れてはいけませんヨ。私は、チームとしての底力は鹿島とガンバが少し上だと思っている。両チームとも自分たちのサッカーのやり方、それが図面上の戦術やフォーメーションだけでなくて、選手たち自身が自分がどこで、こういう形でボールを受けた時には仲間がどことどこに、どれくらいの距離で来ているかを肌で感じられるようになっていると思う。鹿島は中央部の守りに自信を持っているし、接触プレーにも強いから、攻め込まれてからのカウンターにも自信を持っている。

――そういえば、サッカーマガジンの51人の記者の順位予想で、賀川さんは1位ガンバ、2位アントラーズとしていましたね。

賀川:ちょっと付け加えると、私は両チームを1位と書いた。編集部がそれでは困るというので、ガンバが1位になった。

――この両チームにも弱点はあるのでしょうか。

賀川:今年のチームの春の練習をそれほど見たわけではないが、ガンバはいい補強をしたことは素晴らしいが、逆にその補強、例えばセンターバックのところ、山口智という柱のパートナーがどうなるかに不安定要素がある。
 プレシーズンマッチでJ2のセレッソに0-1で負けたのは、合宿その他のコンディション調整を開幕に持ってゆく途中のことで極めて動きが鈍かったのだからあまり問題にはしていない。しかし、オヤッと思ったのは、CDFの頭上へきたボールをGK藤ヶ谷(陽介)が飛び出して叩けず、こぼれたボールを香川真司に決められた失点。これと似た形で1点目を奪われたのが、ゼロックススーパーカップの対アントラーズ戦(2月28日、鹿島 3-0 G大阪)だった。中央部に新しい長身のCDFを備えることになったのだが、DFはそこにおればいいだけでは済まないこともあるのだから……。
 鹿島の場合は小笠原(満男)がいつ復帰するか、そして彼らしいプレーができるかどうかが大きいだろう。

――チームとしてはソツがない?

賀川:マルキーニョスというストライカーに代表されるとおり、速さと動きの量、守備の強さでしょう。
 昨年のリーグ終盤のジュビロ磐田戦(11月29日、1-0)で、終了間際にFKから岩政大樹のヘディングで勝ち越した場面があったでしょう。このFKは、攻め込んでペナルティエリア左外へ転がったボールを鹿島のマルキーニョスが俊足で奪い、その後方から駒野友一(磐田)が手で押して反則となった。いわば、相手ボールになりそうなのも奪い取るというマルキーニョスの速さと動きの量で生まれたFKだった。もちろん、背後からいった駒野が両手を自分の体の前へ持ってゆくのも困った習慣だが……。

――その接触プレーの姿勢や構えの話は別の機会にしましょうか。今は賀川さんの頭の引き出しを開ける時間はないから(笑)

賀川:そう、マルキーニョスのような素晴らしい技術と速さを持つプレーヤーがこういう守備(ボール奪取)をするところに、今の鹿島の強さがある。

――だから鹿島は強い?

賀川:いや、こういうプレーは全部の試合に皆がそろってやれるかどうかは疑問。そのためには小笠原が早く戻って、彼特有のタイミングを計るプレーが加わるといいのだが。

――先に紹介した順位予想表の中で、得点王に大迫勇也を書き込みましたね。

賀川:また別の引き出しを開けるのかネ(笑)。
 誰が考えても、希望的観測に見えるだろう。また、優勝を狙う鹿島の今のFWに大迫をすぐに使うことは難しいだろう。私自身も、シーズン前半の彼はむしろ、しっかりしたフィジカルトレーニングと、もう一度基礎技術の反復をして欲しいと思っているよ。それでも、シーズン後半に出てくれば点を取る才は持っているハズ。
 開幕試合に得点が多く華やかな感じだったが、上位クラスのチームのFWの多くはまたカタカナが増えている。それでは日本代表のFWはどうなるか――ということですヨ。

――その話は次にして、J2のセレッソはどうですか?

賀川:このクラブとしては、今年は珍しくブラジル人がそろった方だ。どういうわけか、ここほど外国人の当たり外れの多いチームも少ないが、今度は前からいるカイオは別として、新しいDFのチアゴは落ち着いているし、マルチネスはMFらしい左利きのMF。それに、香川真司と、昨年の後半から体がしっかりしてきた乾貴士という、いい若手がいる。開幕戦で鳥栖に4-1で勝ったが、まずはいいスタートといえるネ。

――京都や神戸などについては、また別としましょう。
 そういえば、次節は神戸へ行くそうですね。

賀川:スタジアムのFM放送で、何か古い話をすることになっているとか。とにかく、今季のヴィッセルを初めて見ますヨ。

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