健さんのお別れ会
健(けん)さん――去る6月2日に亡くなった長沼健JFA(日本サッカー協会)最高顧問のお別れ会が、7月18日正午から東京のグランドプリンスホテル赤坂で催された。サッカーの健さん、日本サッカー興隆の最大の功労者の一人であるこの人は、JFAの第8代会長(在任期間:1994-98年)を退いたあとも各種スポーツの重要なポストを引き受けていたから、主催はJFAではなく森喜朗・日本体育協会会長を委員長に、岡野俊一郎(第9代JFA会長)川淵三郎(第10代JFA会長・キャプテン)を副委員長とする「長沼健お別れの会」実行委員会が行なった。
正面に健さんの写真が飾られたホテル内の会場には、JFA名誉総裁・高円宮妃殿下、ドイツから駆け付けたデットマール・クラマー、IOC委員でスキーの銅メダリスト猪谷千春さんをはじめ700人が出席し、遺影に花を捧げた。
弔辞は森さんと岡野俊さんの2人。元総理で自らもスポーツマンの体協会長は低いがハリのある、よく通る声で故人の功労を讃え、岡野さんは“健さん”という呼びかけから、その素晴らしい業績と1947年にともに高校生であったときからの長い交流を淡々と語り、友人代表としての別れの言葉を述べた。努めて平静な口調であったが、俊さんが最後のところで声を詰まらせたとき、こちらもこみあげてくるものを押さえきれなかった。
喪主の長沼晃子さんや、兄さんの長沼博さんにもお目にかかった。私はお悔やみの言葉も出ず、ただただ「淋しくなりました。しかし、川の向こう側にいる諸先輩たちが“健さん、長い間ご苦労さん”と拍手で温かく迎えているだろうと想像しています」としか申し上げられなかった。
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