帰国直後に試合出場、チームに勢いを与えた19歳の香川
セレッソ大阪の香川真司が、日本代表のワールドカップ予選アウェーシリーズから帰国してすぐの6月15日、J2第20節のセレッソ対ヴァンフォーレ甲府の後半から出場して、リードされていたチームが引き分け(3-3)に持ってゆくのに貢献して話題になった。
89年3月17日生まれの彼は、昨年のJ2第7節(4月7日)に18歳1ヶ月でデビュー。以来チームのレギュラーとなって昨季はリーグ戦35試合でプ レー(5得点)、その実力を買われて岡田武史監督のフル代表にも加わり、ワールドカップ2010大会のアジア第3次予選の6月シリーズに参加して、2日の 対オマーン(ホーム)で後半72分に大久保嘉人に代わって出場(ワールドカップ予選デビュー)。14日のタイとのアウェー戦にはスターティングメンバーと して83分間プレーして、予選突破のために働いた。
スピーディなドリブル、パスの巧さはこの世代の中で突出していて、1m72cmと小柄ながら自ら鍛えることを怠らない足+腰の強さもあって、セレッソの 攻撃の中心となっていた。日本代表での試合は、必ずしも満足とは言えないが、周囲からもその特色を認められはじめているから、代表レギュラーの座もやが て……というところだ。
セレッソ大阪は彼の不在のあいだ2連敗――。この15日の試合も前半は甲府の激しい潰しにパスがつながらず、2点を奪われてしまった。それが、後半に香川が加わったことでチームに勢いがつき、相手のオウンゴールで1-2、さらに香川の同点ゴールで追いついた。
後半43分に甲府の左CKから3点目を取られ、再びリードされたが、その1分後に古橋の左CKに羽田が見事なヘディングで合わせて3点目を奪い、3-3で引き分けた。
CDFの前田和哉が先の水戸戦(18節)で負傷、試合前日にはこれまたCDFの江添建次郎がケガをして、守備の中核であるレギュラーのCDFを2人とも欠いて、チームとしては苦しい時期だった。
甲府の安間貴義監督は、メンバー表の控えに香川の名前があるので、香川という選手が(セレッソに)2人いるのかと思ったほど。それが本当に後半に出てきたのだから……。
セレッソのレヴィー・クルピ監督は、本人がやりたいと言うし、ブラジルでの経験でも、別に不思議なことでもないが、それでも一応、後半からということにした。彼の勝とうとする気持ちの強さがチームに伝わり勢いを取り返したと喜んでいた。
サッカーではチームワークが第一で、全員が力を発揮することが大切だが、全体の調子が沈んでいるときに力のあるプレーヤーの頑張りでチーム全体が息を吹き返すこともまた再三見る。
それが19歳の若者だったところが面白いが、19歳といえばサッカーの世界では大人の仲間入り――昔流に言えば元服している年齢――だから決して不思議はないし、また香川自身の後半45分のプレーは彼にとっては不思議でも何でもないプレーだろう。
もっとも、私が不思議なのは、香川真司という自ら努力するプレーヤーがどんどん伸びるのはいいとしても、香川以外に、デカモリシこと森島康仁、この日の 試合に出場した青山隼をはじめ多くのいい素材が集まっているのに、そのレベルアップが遅いこと。香川の成長を喜びながらも、別の疑念も浮き上がってくる。
固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
コメント