UAE戦の2点目、3点目
もう少し、UAE戦について。
この試合の2点目も、高原のシュートでした。
右からのクロスを体で止め、右足ボレーで蹴ったビューティフル・ゴールでしたが、この攻撃の発端が高原の左サイドへの飛び出しであったことも書き添えなくてはなりません。
25分に相手のウラへ走った高原が左サイドでボールを取りましたが、まだ仕掛ける時期ではない――とみて、後方へボールを戻し、そこから右へボールが送られました。加地と遠藤の右サイドでのパス交換、そして、遠藤が右前から中村俊輔に戻し、俊輔は右後方の鈴木に。
ハーフライン手前で受けた鈴木は、すぐ隣の中央の中澤をとばして阿部に。阿部は今度は、縦にドリブルで持ち上がり、そこから左足で右の加地へ――と大きく振りました。
加地はここからまた後ろの鈴木に、鈴木から俊輔を経て再び加地にボールが戻され、加地が前方に巻、中央に遠藤と高原がそろっているのを見て、早いクロスを送りました。
このボールは遠藤が取れそうに見えましたが、彼はそのままやり過ごして前へ、ボールが高原に届いたとき、彼をマークしていたDFは一瞬、間合いを詰める のが遅れました。高原は身をかがめるようにして体でボールを押さえ、そのバウンドを右足でとらえてボレーシュート。ボールはゴールキーパーを抜いてゴール に飛び込みました。
日本のサッカー界には勉強家が多く、その外国から学ぶ姿勢にはいつも敬服しますが、昨年のドイツワールドカップのころから、一時、パスは何本以内の方が得点の効果がある――とか、奪って何秒以内の攻撃が成功率が高い――といった話が語られ、書かれていました。
それからゆくと、このときのタッチ数の多さ、パス交換の本数やキープしている時間の長さはいささか邪道に見えますが、このときは、日本のボールキープ、
ボールを動かすことで相手はその対応で体を動かすとともに神経を使って疲れを増すことになります。同時に攻撃側は、自分が狙うスペースへ入る準備をするこ
とで効果があるのです。
このゴールのポイントはまず、遠藤が自分の近くに来たボールをタッチしそうでタッチせずに高原に渡したこと。これはゴール正面にいた高原に対する信頼と、自分のフェイクによってわずかでもスペースや時間的余裕が生まれることを予想してのことだったと思います。
彼はなんといってもJリーグ首位チームのプレーメーカーで、キックの確かさはもとより、チームの動き全般への目配りと次の攻めを効果的にするアイデアの豊富さは、いま第一人者と言ってよいでしょう。
その彼の狙いどおり、高原のシュートが決まりましたが、今の高原のよさは、こうしたチャンスを逃さぬうまさ。もちろん、それはボールを止め、リバウンドをボレーで叩く間にいい姿勢でバランスを保っていられる体(足・腰・膝)の強さもあります。
ドイツで体の強いDFに絡まれながら働いてきた実績は、この大会では第1戦のあの気の毒に見えたワントップという役割で、後方から何度もファウル・タックルを受けながらポスト役を務めたことにも表れています。
こうした咄嗟(とっさ)のシュートを成功させるためのシュート練習や、それを通しての体づくりについてはまた別の機会にしたいのですが、ゴールを奪うと
いうことには、こうした個人の総合力と味方・仲間とのプレーの組み合わせが必要だということを、あらためて強調したいものです。
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