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ベトナム戦を見て

2007/07/21(土)

 ベトナムといえば1967年秋、東京で行なわれた68年メキシコ五輪・アジア予選の最終戦で日本代表が苦戦の末、1-0で勝った試合が記憶に残っています。当時は、南ベトナムの代表でした。
 ベトナムは私が中学生のころはフランス領インドシナで、日本では仏印と呼んでいました。

 今度の開催4ヶ国のうち、タイは当時から独立していました(アンナとシャム王のミュージカル映画のとおり)が、マレーシアは英連邦の一つ、インドネシア はオランダ領インドで、略して私たちは蘭印と呼んでいました。ヨーロッパの影響でサッカーは早くから普及し、またマレーシアではセパ・ラガ、タイではタク ロウ、ビルマではチンロンと呼ばれたインドシナ半島独特のボールゲームがあり、籐で編んだボールを使っての遊びがあり、バレーボール形とバスケットボール 形(吊り下げた輪へ入れる)と、さらにはボールリフティングを落とさずに競う、日本の蹴鞠に似たタイプのものがあります。ベトナムでこの遊戯が行なわれて いたかどうかは、まだ調べがついていませんが、中国の影響が古くからつづいていたところですから当然、足でボールを扱う遊びはあったハズです。

 サッカーは、それぞれ四つの国々でナンバーワンの大衆スポーツです。
 経済発展の目ざましいベトナムにとって、今度の大会で準々決勝に残ることは市民・国民の大きな励みになるハズ。それは他の国々も同じですが、人種的に見 て、体格のうえで西アジアや中国に比べるとハンデがあり、また暑い気候が日本や韓国のような運動量の多いサッカーを続けるには妨げになっています。ただし 子どものころからのタクロウ遊びや体の柔らかさ、もって生まれた俊敏さは、私たち東アジアや欧米の人たちより上だと見られています。

 試合のはじめはベトナムの動きがよく見えました。がんばり屋の駒野が相手のドリブルのスピードに手を焼いていたくらいで、そして左CKからの失点が7分に――。
 ライナーのボールを競りに行った鈴木の体に当たってゴールへ。鈴木がのけぞるような姿勢になったところにボールが当たったのです。もとっとも、このゴールで日本にも火がついたと言えます。

 1点目はやはり左サイドから、今度も中村俊輔のクロス、ただし決めたのは巻でした。
 遠藤からのロングボールを俊輔がエリア内で受け、キックフェイントでDFを揺さぶってかわし、左足のスライスキックでファーポストへ送りました。早いボールでゴールキーパーは取れず、それを外側から内に入ってきた巻がヘッドでなく胸に当ててゴールへはじき込みました。

 実は大会前のサッカーマガジンのアンケートで、私は注目選手の項に前田遼一(ジュビロ磐田)を挙げました。彼はレギュラーでなくても、いま代表に入れておく時期と思ったからです。チームのポジションの項目では、FWに高原と巻を組み合わせています。
 高原というエースを生かすためにも巻きの献身的なプレーが必要で、同時にまたアジア勢を相手に彼の高さは必要と考えたからです。
 第1戦は1トップでしたが、第2戦では巻が起用され、私が考えたとおり働いてくれました。
 対UAEの2点目。加地が中へクロスを送ろうとしたとき、彼は右前から中央へ移り、ボールが入ってくる前に3人の位置を変えました。高原の見事なトラップシュートの前に、遠藤のノータッチフェイクと巻のポジション移動の2つの伏線があったのです。
 ゴールを奪うためには、FWのこうしたスペースを作る動き、そしてそこへいつ入るかが重要なことはすでにお話しましたが、巻は高原とペアを組むことで、こういうプレーを伸ばしてゆくでしょう。

 2点目は遠藤のFKでした。
 この日の遠藤は左CKのときに積極的にファーあるいは中央を狙いました。彼の長蹴力からゆくと、ファーポストへのコントロールキックは難しいハズですが、あえて蹴ったのは自分の力を伸ばそうとしたからかもしれません。
 その長いキックを敢行(成功しませんでしたが)してきた遠藤には、高原へのファウルが生まれたFKの位置は十分に狙える距離だったのでしょう。
 自分から蹴る意志を表した31分のFKは、彼が優れたキッカーであることをインターナショナルの舞台で示した一発でした。

 後半8分のゴールは左サイドで遠藤と駒野のパス交換から駒野がGラインまで侵入して後方へ戻し、遠藤がこれを横に流して中村俊輔が右足インサイドでコントロールされた早いボールを左ポスト際に送り込みました。

 その4分後の4点目は、駒野が倒された反則でのFKを遠藤が左から蹴ってファーポスト側へ。これを巻がヘッドで決めました。ニアサイドに高原、中央に中澤が入って相手の注意をひきつけていました。
 欧州勢やオーストラリアを相手にして体格の面で苦労する日本ですが、対ベトナムは上背では有利。こういう体格面の底上げも大切なことです。

 勝った試合、奪ったゴールシーンの話は、うれしいもの。
 しかし、問題もあります。
 今度の大会は高温多湿の条件。選手にはつらいことですが、相手もまた疲れています。従って、中盤でのプレッシングは初めはともかく、時間の経過とともに 弱くなります。そこで日本チームのボール回し、パス交換が楽になり、攻撃の組み立てにも余裕ができ、技術を発揮できるのです。

 準々決勝からは、体格も体力もこれまでの相手より上になります。
 テレビで見た、サウジアラビアの選手の早さや終盤でも衰えない体力はなかなかのもの。中国選手たちは高さ、オーストラリア勢は長身と体の強さが武器です。

 中澤、阿部、今野、駒野、加地といったDF陣、そして中村憲剛、鈴木、中村俊輔、遠藤のMF、高原、巻のFWといったメンバーでここまで戦ってきましたが、レギュラー陣に比べると、交代する選手たちが十分に働けたかどうか――。
 CDFにしても、中澤とともに守るはずの闘莉王が欠け、身長のハンデが出てくることもあるでしょう。
 私は、前述のアンケートに、「目指すは優勝」と答えています。その理由は、環境面で日本が一番だから当然、としています。果たしてそうなのかどうか――アジア各国と比べてみたいと思っているのです。

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