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2004年11月

11月22日(月) 大久保嘉人のスペインゆきに思う

2004/11/24(水)

世界のトップリーグで嘉人の切れ味を——
もちろん、そのためにこれまで以上の努力の積み重ねを——

【保養地・マジョルカのクラブへ】
◆大久保嘉人がスペインリーグで、12月以降、6ヶ月間プレーすることになった。
◆マジョルカというのはバルセロナからは南、バレンシアからは東の方向、200キロにある地中海のバレアレス諸島のなかの一番大きな島の名で、大久保が働くのは、RCD(レアル・クラブ・デポルティーボの略)マジョルカというクラブ。1916年創設、一昨シーズンはエトオ(カメルーン代表)たちの活躍でスペイン・国王杯に初優勝。昨シーズンはリーグ中位だったが、今シーズンは11月21日現在で12戦2勝4分け6敗で19位と振るわない。

◆マジョルカ島は有名な保養地・観光地(作曲家ショパンが療養のため一冬すごした)で、パルマの空港の利用客は首都マドリードの空港よりはるかに多いといわれるほどだが、島の人口は少なく、したがってホームスタジアムの収容力も2万6500程度。スペイン本土のビッグクラブに比べると経営力には開きがあって、毎年のようにチームの働き頭を放出している。にもかかわらず、これまではそこそこの成績だったのが、さすがに今度はエトオのバルセロナゆきが響いたのかもしれない。

【22歳、実績を積み上げて】
◆早くから外国でプレーしたいという願いを持っていた大久保にとっては、ようやく念願叶うというところだろう。
◆1982年6月9日生まれ。168センチの小柄でシャープな大久保嘉人は、2001年にセレッソ大阪でJ1リーグに登場、20試合で2ゴールを挙げ、次の年はJ2で18得点(29試合)。昨年はJ1・16得点(24試合)、そして今年は11月20日現在で13得点(20試合)、合計J1で31得点、J2で18得点を記録している。
◆Jでの今シーズンの得点ランキングでゆくとリーグの7位、日本人では大黒将志(20得点)、播戸竜二(15得点)に次いで3番目。アテネオリンピックの予選と本番での活躍を加えれば、まず日本では、最も実績のある若手ストライカーといえるだろう。

【外国トップリーグで成功するには】
◆さて、スペインの大久保である。マジョルカが下位だといっても、レアル・マドリードやバルセロナのいるリーグである。日本からは2人の良い選手が挑戦したが、成功とはいえなかった。大久保が“2度あることは…”になるのか“3度目の正直”になるのか——このあとの日本人プレーヤーのためにも頑張ってほしいところだ。
◆スペインに限らず、一般論でゆくと、ヨーロッパのビッグファイブと呼ばれるスペイン、イタリア、イングランド、ドイツ、フランスのトップリーグで成功するためには、何といっても、体の強さと、技術の確かさが必要である。中田英寿や中村俊輔、あるいはオランダのフェイエノールトで小野伸二が活躍しているのを見れば、そのことが明らかだろう。中田英と俊輔はそれぞれにキックの型があり、そこへボールを置けば的確なタイミングで、的確なスピードと高さのボールが味方に届く技術を持っている。小野も同様で、小野はこの2人ほどの強さやリーチはなくても、キックの多彩
さがあって、それも仲間たちの信頼を得ているように見える。
◆こういう技術の基礎を3人とも日本にいる間につくっていたからこそ、激しいプレーのなかでも体を鍛え、工夫を重ねることでチームの中でしっかりした地位を固めているのだと思う。もちろん監督との相性やチームの空気といったもの、いわゆる“水が合う”“合わない”は当然あるだろうが、まず、“このプレーヤーは、これを任せられる”と仲間や監督が思うことが第一だろう。

【自分の個性を理解させる】
◆大久保嘉人は、右のシュートにひとつの形がある。ボールキープの時に独特の“間”(ま)と、そのあとの早い動きがある。そして何より、危険なスペースへの走りこみも出来る。ただし、彼が“自分で得意だと思っている”プレーをするためには、いいパスをくれること、スペースをあけておくことなどの仲間の協力が必要である。そのためには、自らのプレーで、自分の特性を理解させること、スペイン語に習熟し、仲間と話し互いに理解を深めることが重要だろう。もちろん、自分のボールの持ち方で、相手に、どこへ、いつパスを出せるかを覚えさせることも大切だ。

◆ もうひとつ、これも一般論でいうと、小柄な選手は、大きなプレーヤーより動きが早いのは当たり前である。しかし、その早さは、早さだけでなく、どこかで緩にするか踏みとどまるかで、さらに生きることになる。そしてまた、大きな動きのなかでの小柄な選手のステップやターンが、案外、成功していることも多くの試合例で見ている。ただし、早さを生かす、緩や、ときには急停止や、そしてまた大きなランは、体力があってのことだ。
◆大久保はセレッソで過ごして4年間でずいぶんたくましくはなったが、必ずしも、予定通りに成長したとは言い難い。
◆早い話が、今シーズンの前半にセレッソはフィジカルコーチが不在で、チーム全体にこの部門でのレベルアップはなかったように見えた。
◆大久保嘉人にとって、今度のスペインゆきは、こういう自分のこれまでの流れを踏まえて、自分の得意面を伸ばし、弱点を克服することで、いよいよ本物のプレーヤーになる大切な時期になると思う。

◆セレッソで彼を見つづけてきた者には、あの切れ味のよい突破とシュートを見る快感からしばらく遠ざかるのは淋しいことだが、彼が大きな経験を得ることで成長し、私たちを驚かせてくれると期待している。
◆大阪のサポーターや大久保のファンは、マジョルカ島という景色の良い観光地で彼のプレーを見る楽しみが増え、テレビでの彼のシュートに興奮するチャンスも増えてくる。これをきっかけに、一皮むけた大久保嘉人を見ることが出来るように——。

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